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第六章
第一話 ななつの
しおりを挟む「ねえレインー、学園の七不思議って知ってるー?」
授業と授業の合間の小休憩の時間。眠気もあまりなかったので、机に肘をついて手に顎を乗せてボーッと窓の外を見ていると、トパがそんなことを聞いてきた。
「…………」
彼女を一瞥だけして、何も言わずにまた窓の外に目を向ける。
どうせまた、その七不思議を調べよう、とか言い出すつもりなのだろう。
「この学園には七つの不思議なことがあるってうわさだよー。面白そうだから、放課後に調べてみないー?」
ほらな。
面倒なので無視する。
「なんでもその七不思議を全部体験すると、願い事が一つだけ叶うって話だよー。レインの大好きなお金もたくさんもらえるかもー」
ギロリ。トパをにらむ。
「ひとを守銭奴みてえに言うんじゃねえ。それで? どれくらいの金がもらえるんだ?」
「守銭奴じゃん! でも、興味は持ってくれたみたいだねー」
「……まさか、俺を釣るためのウソじゃあねえだろうな」
「ウソじゃないよー。けど、こういう話ならレインも興味を持ってくれると思ってー」
にへら、とトパが笑う。
「だが、おまえはウソを言っていないとしても、その話、本当に願いが叶うのかは眉唾だな。そもそも、なんで七不思議を全部体験したら願いが叶うんだよ」
「知らないよー、そんなのー」
「つーか、漫画にそんなのがあったな。あっちは七不思議じゃなくてボールだが」
「この七不思議を考えた人が、その漫画が好きだったりしてねー」
「……てめえ、ハナから信じてねえじゃねえか」
「信じてるってー」
にへにへとトパは笑いながら言っている。
そこで休憩時間の終わりを告げるチャイムが鳴り、教室のドアが開いて教師が入ってきた。
教室内の生徒達が三々五々、自分の席へと戻っていくとき、トパは最後に。
「それじゃあ、またあとでねー。放課後は七不思議ツアーの始まりだよー」
そう言って、自分の席へと戻っていった。
参加することは強制的に確定かよ。まあいい。願いが叶うというのが本当なら、やる価値はあるだろう。
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