転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す

エルリア

文字の大きさ
302 / 1,738

300.転売屋は夏を迎える

しおりを挟む
夏が来た!

まぁ、暦の上で夏が来ただけなんだけど、なんだか嬉しくならないか?

暑いのは嫌いだが、この世界の夏はそれほど暑くならないので好き。

そう思っていた頃が俺にもありました。

この世界に来てまだ一年経ってないけどな。

「暑いわね。」

「あぁ、18月に入ってすぐコレだもんな。」

「ちょっと急すぎて体が追い付かないんだけど。」

「風呂に水張ってあるから体を冷やして来い。さっきミラが入りに行ったからそろそろ戻って来るだろ。」

暑い時は水風呂だ。

キンキンに冷えた水は体に悪いが、それなりの温度であれば体が落ち着く。

因みに俺もさっき入った所だ。

「ただいま戻りました。」

「さっぱりしたか?」

「はい、おかげ様で。エリザ様もよろしければ。」

「やった!」

椅子にかかっていたタオルをひっつかんでエリザが二階へと駆け上がる。

そんなに急がなくても・・・。

ま、いいか。

「アネットは?」

「夏風邪の薬を処方しに出ています。この気温の変化で体調を崩している人が多いようですね。」

「後で寝室に置いてる風の魔道具持って行ってやれ、熱中症になるぞ。」

「わかりました。」

去年は氷を併用していたが、今年はこの暑さの為に供給が追い付いていないらしく中々こっちまで回ってこない。

報酬の割に過酷な職場だからなぁ、やりたがらない冒険者が多いんだろう。

「冷感パッドの製造も急いだほうがいいかもな。」

「アイスタートルの甲羅は明日ギルドから納品されます。今回は全部で200個との事ですが、よろしいのですか?」

「よろしいも何もこの暑さなら必須だろう。前回お願いした奥様方には連絡取れたか?」

「はい。前回の方と追加でもう16人ほど来られます。」

「はい?」

「話を聞いた他の奥様方からも参加希望の連絡が来まして。二倍作るのであれば問題ないと判断しました。」

「あ、そ。」

まぁ需要は多いだろうし、夏は始まったばかりだ。

四カ月あれば十分売れるだろう。

なんなら輸出してもいい。

隣街なら良い値で買ってくれそうだ。

「甲羅200個ですから全部で二万個、工期は前回と同様一週間と行った所でしょうか。賃金は前回同様銀貨1枚で了承頂いています。販売価格はどうしますか?」

「ん~数を売るなら銅貨20枚か。25でも売れそうだけどなぁ。」

「この暑さですから20枚の方が喜ばれると思います。」

「じゃあそれで行くか。台紙とか蒸留水は大丈夫なのか?」

「台紙は手配済み、蒸留水はカーラ様とビアンカさんからも納入頂く運びとなっていますので問題ありません。場所はこの前お借りした倉庫を利用する予定です。」

「あそこなら干せるし、雨除けにもなるし問題ないな。まさかこんな事で使用することになるとは・・・。」

「お借りして正解でしたね。」

「だな。」

一ヵ月銀貨50枚。

今回の儲けだけで一年分の賃料は十分に稼げるだろう。

まてよ?

夏が来るたびにこれだけ稼げるならプラス?

さらに言えばジムが始まればもっと稼げるわけで・・・。

うん、最高だな。

「販売数を確認して余るようでしたら隣街への出荷も検討中です。また、足りなければ増産できるようにギルドに追加の発注もかけてあります。最大個数は300個、六万個あればひと夏もつのではないでしょうか。」

「もはや産業だな。他の製作者から文句を言われないかが心配だ。」

「そこは大丈夫だと思います。安いのを求めている方はそちらを買われますから。」

なるほどなぁ。

「ただいま戻りました。」

「お帰り、往診とは大変だったな。」

「寒暖差が激しいのでお子さんは体調を崩しやすそうです。幸い悪化するような感じでは無かったので、普通の風邪薬で対応出来そうですね。」

「材料は足りるか?」

「はい。あ、念の為にカニバフラワーの種をいくつか貰ってもいいですか?」

「倉庫にあるから適当に持っていってくれ、どうせ勝手に増える。」

「普通は増えないんですけど、でも助かります。」

畑の北側に植えられているカニバフラワー。

この暑さで若干元気が無くなったようだが、アネットの調合した肥料で元気を取り戻した。

それどころか前よりも活発になったぐらいだ。

主人と認識されている俺でも近づくのが怖い。

当分は気を付けて種を回収するとしよう。

「アネットさん、お水をどうぞ。」

「ありがとうございます。あぁ、冷たくて美味しい。」

「エリザ様が今沐浴中ですが、もうすぐ空くと思います。交代でサッパリしてください。」

「風呂が終わったら、引き続き風邪薬の量産を頼むな。」

「蒸留水を作らなくていい分余裕があります。でも、本当に手伝わなくていいんですか?」

「カーラとビアンカが頑張ってくれるそうだ。でも、余裕があったら作っておいてくれ。何かに使えるだろう。」

「そうですね、機器を遊ばせてももったいないですから。」

「アネットも随分こっちに染まって来たなぁ。」

金儲けになるのなら休ませる理由はない。

もちろん使いすぎると故障の原因になるので連続使用は厳禁だが、稼げる時に稼ぐという考えはしっかりと染みついているようだ。

「あ~サッパリした。あ、アネットお帰り。」

「ただいま戻りました。ではお風呂頂きます。」

「いってらっしゃ~い。」

ショーツ一枚に首からタオルをぶら下げて手を振るエリザ。

手を振るたびに乳が揺れる。

全体的に筋肉質で尻なんかはきゅっと上がっているが、それでも乳は揺れるんだよなぁ。

後ろから鷲掴みにしてもいいんだが、思いっきり肘鉄されるのが目に見えているのでミラの乳を替わりに揉む。

うん、柔らかい。

「こう暑いと食欲も無くなるわね。」

「嘘つけ、昨日肉の塊にかぶりついていただろうが。」

「それはそれよ。この前シロウが作ってくれた素麺がまた食べた~い。」

「のど越しが良く、ほのかな塩気とめんつゆ?でしたか、あれが絡んで美味しかったです。」

「またモーリスさんの所で売ってたらな。」

この間店を覗くと素麺が売ってた。

あるんじゃないかと思ってはいたが、実際目にすると何ていうかテンションの上がり方が半端ないな。

10束しかなかったので速攻で買い占め一晩で食べ切ってしまった。

また仕入れる予定があるそうなので、入り次第買い占める約束をしている。

醤油があればめんつゆを作れる。

ショウガもネギもダンジョンで手に入るから薬味には困らない。

最高だ。

夏はやっぱり素麺だよな。

「夏かぁ。」

「夏だな。」

「今年こそ水着が着たいわ。」

「はい?」

「水着よ水着、水に入る時に着るやつよ。」

「いや、それは分かるがこんな草原のど真ん中でいつ着るんだよ。」

「え~でもでも、この前色々捨てたから新しいのが欲しいの!」

「本音はそれかよ。」

「買ってくれるんでしょ?」

水浴び程度なら街中でもできるが、残念な事に海や川が近くにない。

なので水浴びする時も大抵は服のままだ。

ガキ共は裸だが、いい年した大人がそれはまずい。

せめて下着、それを考えると水着がいるか。

どんなのが似合うだろうか。

エリザはビキニ、ミラはワンピースが良さそうだ。

アネットは・・・競泳用水着とか似合いそうだよな。

なんだかんだ言って結構引き締まった体してるし。

ミラは上がビキニで下がパレオでもいいかもしれない。

うん、想像するだけで色々と楽しくなる。

「機会があれば買ってやる。」

「約束したからね!ミラ、聞いた?」

「確かに聞きました。今からどんなものにするか考えておかなければいけませんね。」

ミラまで本気になっている。

そんなに欲しかったのなら言えばいいのに。

いや、着る機会がないから話題にも挙がらなかったのか。

「高くないよな?」

「ん~、オーダーするから銀貨10枚ぐらい?」

「高いのか安いのか微妙だな。」

「良い素材になると銀貨30枚のもあるわよ。」

「石でもついてるのか?」

「撥水性のいい魔物の革を使うのよ。肌触りが良くなるように内側は何度も何度も鞣して、色々が浮かないように胸当てとかも付けると結構するのよね。」

「女は色々大変だな。」

ただ着れればいいってわけではない。

女の服が高いのは色々な機能がついているからだと、最近になってようやく理解した。

ま、金はあるしどれだけ高くても問題ない。

なんなら水着用の素材を仕入れてもいいぞ。

もっとも、仕入れた所で売る場所が無きゃ意味ないか。

物を売るためにはブツと場が必要になる。

今回で言えば・・・水着を着る場だ。

いっそのことプールを作るか?

でも50mプールなんてどうやって作るんだ?

それに水をどうする。

循環とか塩素とか色々と必要だろう。

そう考えると面倒なんだよなぁ。

この暑さなら小型のプールでも売れると思うんだけどなぁ。

ビニールプールとか。

水が漏れなくてそれなりの大きさがあって柔らかくて空気を入れることが出来て・・・。

「なぁエリザ、でかいスライムっているのか?」

「大きなスライム?ビープルニールかしら。」

「そいつって倒すとどうなるんだ?」

「中の液体が漏れ出してただの革になるわ。革って言うかゴムね。」

「ガキ共がこの前空気を入れて遊んでいたのもスライムだよな?」

「うん、穴をあけてストローを差して膨らませるの。子供ってあぁ言うの好きよね。」

「・・・ミラ。」

「倉庫にビープルニールの革でしたら二つほど眠っています、出してきますか?」

「あぁ、頼む。それと風の魔道具と大きめのストロー、それと接着剤も頼む。」

「すぐに用意します。」

もしかするともしかする。

これが上手くいけば・・・。

そうだ、水着用の素材も仕入れないとな。

「またシロウが悪い顔してるわ。」

「良いだろ別に。さっき言ってた水着用の魔物、何か教えてくれ。」

さぁ金儲けの匂いがするぞ。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

七億円当たったので異世界買ってみた!

コンビニ
ファンタジー
 三十四歳、独身、家電量販店勤務の平凡な俺。  ある日、スポーツくじで7億円を当てた──と思ったら、突如現れた“自称・神様”に言われた。 「異世界を買ってみないか?」  そんなわけで購入した異世界は、荒れ果てて疫病まみれ、赤字経営まっしぐら。  でも天使の助けを借りて、街づくり・人材スカウト・ダンジョン建設に挑む日々が始まった。  一方、現実世界でもスローライフと東北の田舎に引っ越してみたが、近所の小学生に絡まれたり、ドタバタに巻き込まれていく。  異世界と現実を往復しながら、癒やされて、ときどき婚活。 チートはないけど、地に足つけたスローライフ(たまに労働)を始めます。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

処理中です...