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449.転売屋は感謝祭に売り込む
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カニはやばい。
もう一度言おう、カニはマジでやばい。
何がやばいかって、全部だ。
淡泊過ぎず程々にカニの旨さがあり、さらに大きさもあるので食べごたえもある。
塩ゆでから上げた瞬間のあの香りは食欲を思いっきり誘うし何より酒に合う。
二日酔い覚悟でガンガン飲めるぐらいに合う。
だから、この街が空前のカニブームに沸いているのも致し方ないのだ。
何処に行ってもカニカニカニ。
流石のドルチェでもカニのお菓子は作れなかったようだが、料理関係はどこでもカニを出している。
まず量が手に入る。
魔物だけあって繁殖は不要、勝手に増える上に元々の数が多い。
一回根絶やしにしてもまたすぐに湧いてくるものだから、需要と供給のバランスが見事にマッチしている。
その分高騰はしないのだが、継続的に数がはけると薄利多売でもかなり儲かってくるんだよなぁ。
まさにカニ様様。
だが、こんな事で満足する俺ではないのだよ。
「カニを感謝祭に?」
カニが地上に出てから今日でちょうど一週間。
俺はある作戦を携えてギルド協会へと足を運んだ。
「あぁ、絶対に流行る。」
「でも後二ヶ月です、今年はスパイシーラムで決まっていたと思いますが・・・。」
「あれも美味い。それは分かるが、カニの方がもっと美味い。」
「気持ちは分かります。」
「なら一種類ではなく二種類流行らせればいいじゃないか。」
「そんな強引に行きますかね。」
「とりあえず近隣の町にはカニを出荷しておいた。後は向こうの出方を待つだけだ。」
ハーシェさんに手伝ってもらい、近隣の取引先にカニを送り付けて置いた。
もちろん料理方法も書いてある。
といっても塩ゆでするだけだが、岩塩ではなく海塩を使うのがポイントだ。
しかも大量に。
もちろんその分の塩も一緒に送り付けてあるからあの味の再現は容易だろう。
これが流行ればカニだけでなく塩も売れる。
一石二鳥いや、一石四鳥ぐらいの利があるはずだ。
「相変らず仕事が早い。」
「カニの出荷はあくまでも冒険者ギルドから、その約束は守る。」
「その代わり塩を売らせろ、ですね?」
「話が早いじゃないか。」
「っていうか、海塩に関してはシロウさんとモーリスさんしか扱ってないんです、そうせざるを得ないでしょう。」
「ま、それもそうだな。」
「カニが売れればギルドにお金が入る上に、冒険者にもお金が降りる。で、その金を冒険者が街で使えばシロウさんの思うつぼというわけですね。」
「自分達で金を回すよりも外貨を増やす方が格段に消費量が変わるからな、もちろん税金もたんまり入るわけだ、文句はないだろ?」
「問題は輸送です。さすがに王都までは持ちませんよね。」
近隣の町ならばそこらに積もっている大量の雪を一緒に入れれば即席冷蔵庫が作れるので問題はないが、さすがに二日三日となると鮮度も落ちる。
鮮度が落ちれば不快なにおいが出て味も半減。
あの美味しさは味わえないだろう。
「ふっふっふ、そこは必殺技を使えば問題ない。」
「はい?」
「あのカニってかなり生命力があるんだよな。だから半殺しにして縛り付けてやれば生きたまま一週間は鮮度を維持できることが分かった。その間若干痩せるようだが、エサをやればそこまでひどい事にはならない・・・はずだ。」
「はずっていったい何やってるんですかシロウさん。」
「ちょいとした実験だよ。」
「買取屋が実験って、冒険者ギルドは何も言わなかったんですか?」
「言うわけないだろ、もっと売れるかもしれないんだから。」
てっきりニアから羊男に情報が行っている物だと思ったが、どうやらそうでもないらしい。
リレーションが取れていないのか、それとも意図して言わなかったのかはわからないが、ともかく冒険者ギルドの許可は取ってるから違法でも何でもないぞ。
因みに場所はダンジョンの最上階、ベッキー監修の元での実験だ。
エサやりもしてくれるし寝ずに監視してくれるので非常に助かった。
「はぁ・・・、お金儲けに対する熱量が半端ない。」
「念のために輸送には冒険者も同行させれば万が一の可能性も潰せる。なんせ瀕死の状態でぐるぐる巻きだ。新人でもなんとかできるから、コストも最小限に抑えられるぞ。」
「それでも様々なコスト分を加算して王都でここの二倍、いや三倍で売ることになります。売れますか?」
「売れる。」
「即答ですね。」
「甲殻類アレルギーでもない限りあの味は万人に受け入れられる。酢醤油がなくても茹でた肉がアレンジし放題なのは街の状況を見たらわかるだろ?」
「それは・・・まぁ・・・。」
たった一週間で数多くの料理が生まれている。
この街でこの状況だ、出荷した他の街でももしかすると同様の現象が起こるのは間違いない。
「で、どうなんだ?感謝祭の食材にしても構わないよな?」
「もちろんこの街では問題ありません、ですが・・・。」
「シープ様商談中失礼します!」
と、羊男と話をしている最中にギルド職員が部屋に飛び込んできた。
かなり慌てた顔をしている。
「商談中・・・まぁ、シロウさんだからいいか。」
「おい。」
「それで、何があったんです?」
「ナミル様、アイル様より大至急つないでくれとの連絡がありました。他にも近隣のギルド協会より緊急の入電が入っております。折り返しと伝えていますがどれもかなりの慌てようでして。」
「あ~・・・。とりあえずすぐに行きます。」
「なら俺は帰ろう。因みに今日も冒険者が根こそぎ狩っているから今頃冒険者ギルドの倉庫はパンク寸前じゃないか?破産する前に手助けしてやれよ、じゃあな。」
「あ、シロウさん話はまだ・・・。」
何か言いたげな羊男を残して俺も会議室を出る。
本人は職員に引きずられるようにして反対の廊下へと消えて行った。
さて、準備は整った。
あの感じだとかなりの反響があったようだ。
ならば早めに動く方がいいだろう。
急ぎ店にもど・・・る前に向こうに寄った方がいいな。
ギルド協会をでたその足で向かったのはモーリスさんの店だ。
「あ、シロウさんいらっしゃいませ。」
「モーリスさんは?」
「たぶん今は倉庫に・・・あ、アナタ!シロウさんが来られてますよ。」
「おぉちょうど良い所に、奥に来てくれ。」
いつもと変わらない笑顔で迎えてくれるアンナさんの横を通り抜けて、巨大な手が手招きするパーテーションの奥へと移動した。
「忙しいのに申し訳ない。」
「いやいや、君には儲けさせてもらっているからね。おかげ様でこの前買い付けた塩は無事に捌けそうだ。」
「もう在庫が無いのか?」
「今の在庫はないが来週には追加分が届くと昨日連絡があった所だ。もちろんそっちにも納品されるだろう。」
「来週、何とか足りそうだな。」
「というと?」
「この前出荷したカニの返事がさっきギルド協会に入ったんだ。大当たりだよ。」
あの連絡はどう考えても催促だ。
俺の名前があるとはいえ、勝手に送ったものが気に入らなかったら連絡なんてしてこないだろう。
「それは・・・。」
「それと、今年の感謝祭にカニを追加する予定にもなってる。日持ちする技術も確立したから後は売り込むだけだ。」
「つまり塩が大量にいるわけだね?」
「そうなる。値段は今の二割増しでも行けると思う、もちろん別のルートで仕入れがるやつはそっちから仕入れるだろうけど、稼げるときに稼がせてもらおうじゃないか。」
「はぁ、今更だけど君と仕事をすると普通に働くのがバカらしくなるよ。」
「そんなこと言うなって、アンナさん喜んでるだろ?」
「そりゃあまぁね。」
モーリスさんが大好きなアンナさんとしては、夫が買い付けで出ていくのが寂しくて仕方がなかったようだ。
それが今は向こうから勝手に品を送ってくるぐらいに商売が大きくなった。
それもまぁ俺が絡んでいるわけだけども、旦那が家にいてくれるようになるのはアンナさんにとって大きなプラスになったようだ。
「お腹の子の為にも金は必要だ、稼げるときに稼ぐそれでいいじゃないか。」
「それを言われると何も言えないよ。」
「うちも同じ時期に生まれるんだ、せいぜい頑張ろうぜお父さん。」
「僕が父親か。」
家にいる時間が増えた事で必然的に出来るものはできる。
ハーシェさんの妊娠と時を同じくしてアンナさんの妊娠も発覚した。
俺としては知り合いが同時期に父親になる事で妙な安心感を感じてしまっている。
一人では不安だが二人ならという奴かもしれない。
「ともかく、塩が売れるんなら醤油も売れる。今のうちに追加発注入れておくよ。わざわざすまなかったね。」
「いいってことよ。」
「もう帰るのかい?」
「あぁ、追加が来るならうちの塩も出荷する準備をしないと。これから一か月忙しくなるな。」
「はは、せいぜい倒れないように頑張るよ。」
お互いに固い握手を交わし、店を出る前にピクルスの注文をするのも忘れない。
最近すっぱいものが欲しくなってきたというハーシェさんへのお土産だ。
売れる時に売る。
今が旬のカニを国中に広めるんだ。
忙しくなるだろう。
モーリスさんの言うように倒れないように頑張らないとな。
もう一度言おう、カニはマジでやばい。
何がやばいかって、全部だ。
淡泊過ぎず程々にカニの旨さがあり、さらに大きさもあるので食べごたえもある。
塩ゆでから上げた瞬間のあの香りは食欲を思いっきり誘うし何より酒に合う。
二日酔い覚悟でガンガン飲めるぐらいに合う。
だから、この街が空前のカニブームに沸いているのも致し方ないのだ。
何処に行ってもカニカニカニ。
流石のドルチェでもカニのお菓子は作れなかったようだが、料理関係はどこでもカニを出している。
まず量が手に入る。
魔物だけあって繁殖は不要、勝手に増える上に元々の数が多い。
一回根絶やしにしてもまたすぐに湧いてくるものだから、需要と供給のバランスが見事にマッチしている。
その分高騰はしないのだが、継続的に数がはけると薄利多売でもかなり儲かってくるんだよなぁ。
まさにカニ様様。
だが、こんな事で満足する俺ではないのだよ。
「カニを感謝祭に?」
カニが地上に出てから今日でちょうど一週間。
俺はある作戦を携えてギルド協会へと足を運んだ。
「あぁ、絶対に流行る。」
「でも後二ヶ月です、今年はスパイシーラムで決まっていたと思いますが・・・。」
「あれも美味い。それは分かるが、カニの方がもっと美味い。」
「気持ちは分かります。」
「なら一種類ではなく二種類流行らせればいいじゃないか。」
「そんな強引に行きますかね。」
「とりあえず近隣の町にはカニを出荷しておいた。後は向こうの出方を待つだけだ。」
ハーシェさんに手伝ってもらい、近隣の取引先にカニを送り付けて置いた。
もちろん料理方法も書いてある。
といっても塩ゆでするだけだが、岩塩ではなく海塩を使うのがポイントだ。
しかも大量に。
もちろんその分の塩も一緒に送り付けてあるからあの味の再現は容易だろう。
これが流行ればカニだけでなく塩も売れる。
一石二鳥いや、一石四鳥ぐらいの利があるはずだ。
「相変らず仕事が早い。」
「カニの出荷はあくまでも冒険者ギルドから、その約束は守る。」
「その代わり塩を売らせろ、ですね?」
「話が早いじゃないか。」
「っていうか、海塩に関してはシロウさんとモーリスさんしか扱ってないんです、そうせざるを得ないでしょう。」
「ま、それもそうだな。」
「カニが売れればギルドにお金が入る上に、冒険者にもお金が降りる。で、その金を冒険者が街で使えばシロウさんの思うつぼというわけですね。」
「自分達で金を回すよりも外貨を増やす方が格段に消費量が変わるからな、もちろん税金もたんまり入るわけだ、文句はないだろ?」
「問題は輸送です。さすがに王都までは持ちませんよね。」
近隣の町ならばそこらに積もっている大量の雪を一緒に入れれば即席冷蔵庫が作れるので問題はないが、さすがに二日三日となると鮮度も落ちる。
鮮度が落ちれば不快なにおいが出て味も半減。
あの美味しさは味わえないだろう。
「ふっふっふ、そこは必殺技を使えば問題ない。」
「はい?」
「あのカニってかなり生命力があるんだよな。だから半殺しにして縛り付けてやれば生きたまま一週間は鮮度を維持できることが分かった。その間若干痩せるようだが、エサをやればそこまでひどい事にはならない・・・はずだ。」
「はずっていったい何やってるんですかシロウさん。」
「ちょいとした実験だよ。」
「買取屋が実験って、冒険者ギルドは何も言わなかったんですか?」
「言うわけないだろ、もっと売れるかもしれないんだから。」
てっきりニアから羊男に情報が行っている物だと思ったが、どうやらそうでもないらしい。
リレーションが取れていないのか、それとも意図して言わなかったのかはわからないが、ともかく冒険者ギルドの許可は取ってるから違法でも何でもないぞ。
因みに場所はダンジョンの最上階、ベッキー監修の元での実験だ。
エサやりもしてくれるし寝ずに監視してくれるので非常に助かった。
「はぁ・・・、お金儲けに対する熱量が半端ない。」
「念のために輸送には冒険者も同行させれば万が一の可能性も潰せる。なんせ瀕死の状態でぐるぐる巻きだ。新人でもなんとかできるから、コストも最小限に抑えられるぞ。」
「それでも様々なコスト分を加算して王都でここの二倍、いや三倍で売ることになります。売れますか?」
「売れる。」
「即答ですね。」
「甲殻類アレルギーでもない限りあの味は万人に受け入れられる。酢醤油がなくても茹でた肉がアレンジし放題なのは街の状況を見たらわかるだろ?」
「それは・・・まぁ・・・。」
たった一週間で数多くの料理が生まれている。
この街でこの状況だ、出荷した他の街でももしかすると同様の現象が起こるのは間違いない。
「で、どうなんだ?感謝祭の食材にしても構わないよな?」
「もちろんこの街では問題ありません、ですが・・・。」
「シープ様商談中失礼します!」
と、羊男と話をしている最中にギルド職員が部屋に飛び込んできた。
かなり慌てた顔をしている。
「商談中・・・まぁ、シロウさんだからいいか。」
「おい。」
「それで、何があったんです?」
「ナミル様、アイル様より大至急つないでくれとの連絡がありました。他にも近隣のギルド協会より緊急の入電が入っております。折り返しと伝えていますがどれもかなりの慌てようでして。」
「あ~・・・。とりあえずすぐに行きます。」
「なら俺は帰ろう。因みに今日も冒険者が根こそぎ狩っているから今頃冒険者ギルドの倉庫はパンク寸前じゃないか?破産する前に手助けしてやれよ、じゃあな。」
「あ、シロウさん話はまだ・・・。」
何か言いたげな羊男を残して俺も会議室を出る。
本人は職員に引きずられるようにして反対の廊下へと消えて行った。
さて、準備は整った。
あの感じだとかなりの反響があったようだ。
ならば早めに動く方がいいだろう。
急ぎ店にもど・・・る前に向こうに寄った方がいいな。
ギルド協会をでたその足で向かったのはモーリスさんの店だ。
「あ、シロウさんいらっしゃいませ。」
「モーリスさんは?」
「たぶん今は倉庫に・・・あ、アナタ!シロウさんが来られてますよ。」
「おぉちょうど良い所に、奥に来てくれ。」
いつもと変わらない笑顔で迎えてくれるアンナさんの横を通り抜けて、巨大な手が手招きするパーテーションの奥へと移動した。
「忙しいのに申し訳ない。」
「いやいや、君には儲けさせてもらっているからね。おかげ様でこの前買い付けた塩は無事に捌けそうだ。」
「もう在庫が無いのか?」
「今の在庫はないが来週には追加分が届くと昨日連絡があった所だ。もちろんそっちにも納品されるだろう。」
「来週、何とか足りそうだな。」
「というと?」
「この前出荷したカニの返事がさっきギルド協会に入ったんだ。大当たりだよ。」
あの連絡はどう考えても催促だ。
俺の名前があるとはいえ、勝手に送ったものが気に入らなかったら連絡なんてしてこないだろう。
「それは・・・。」
「それと、今年の感謝祭にカニを追加する予定にもなってる。日持ちする技術も確立したから後は売り込むだけだ。」
「つまり塩が大量にいるわけだね?」
「そうなる。値段は今の二割増しでも行けると思う、もちろん別のルートで仕入れがるやつはそっちから仕入れるだろうけど、稼げるときに稼がせてもらおうじゃないか。」
「はぁ、今更だけど君と仕事をすると普通に働くのがバカらしくなるよ。」
「そんなこと言うなって、アンナさん喜んでるだろ?」
「そりゃあまぁね。」
モーリスさんが大好きなアンナさんとしては、夫が買い付けで出ていくのが寂しくて仕方がなかったようだ。
それが今は向こうから勝手に品を送ってくるぐらいに商売が大きくなった。
それもまぁ俺が絡んでいるわけだけども、旦那が家にいてくれるようになるのはアンナさんにとって大きなプラスになったようだ。
「お腹の子の為にも金は必要だ、稼げるときに稼ぐそれでいいじゃないか。」
「それを言われると何も言えないよ。」
「うちも同じ時期に生まれるんだ、せいぜい頑張ろうぜお父さん。」
「僕が父親か。」
家にいる時間が増えた事で必然的に出来るものはできる。
ハーシェさんの妊娠と時を同じくしてアンナさんの妊娠も発覚した。
俺としては知り合いが同時期に父親になる事で妙な安心感を感じてしまっている。
一人では不安だが二人ならという奴かもしれない。
「ともかく、塩が売れるんなら醤油も売れる。今のうちに追加発注入れておくよ。わざわざすまなかったね。」
「いいってことよ。」
「もう帰るのかい?」
「あぁ、追加が来るならうちの塩も出荷する準備をしないと。これから一か月忙しくなるな。」
「はは、せいぜい倒れないように頑張るよ。」
お互いに固い握手を交わし、店を出る前にピクルスの注文をするのも忘れない。
最近すっぱいものが欲しくなってきたというハーシェさんへのお土産だ。
売れる時に売る。
今が旬のカニを国中に広めるんだ。
忙しくなるだろう。
モーリスさんの言うように倒れないように頑張らないとな。
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