529 / 1,738
527.転売屋は買い付けた品を売りまくる
しおりを挟む
一週間ぶりに街に戻ってきたが、前回のような大騒動にはならなかった。
そりゃ買取を待っていた冒険者は多数いたが、どれも武器や防具などで数が少ない。
素材系はギルドへという流れはちゃんとできているようだ。
もちろんメルディも頑張った。
戻ってきた日は半泣きで不安な一週間について愚痴られもしたが、それでも自信には繋がったようだ。
今後は少しずつ武具系の鑑定も覚えさせたいところだが、やはり鑑定スキルがないと難しいんだよなぁ。
その辺は今後の課題ということで。
「さて、メルディには三日間の有給休暇を与えたし俺達だけで頑張るとするか。」
「俺達じゃなくてミラだけでしょ?」
「俺も働くぞ?」
「シロウ様には一日でも早く買い付けた品を捌いていただかなければなりません。幸い急ぎのお客様は昨日のうちに終わりましたので、こちらはお任せください。」
「大丈夫か?」
「これぐらいできなければお店を任せて頂いている意味がありませんから。」
ミラも久々の仕事で気合が入っているようだ。
エリザは冒険者ギルドへアネットはたまった製薬の注文を一気に片付けている。
それぞれがしっかりと自分の仕事をしているのに俺だけサボるわけには行かないよな。
ってことで店を任せてまず向かったのはモーリスさんの所だ。
「あ、シロウさんお久しぶりです。」
「モーリスさんはいるか?」
「ちょっと待ってくださいね。アナタ~シロウさんが来ましたよ~。」
「ちょっと待って貰ってくれー!」
「だ、そうですので中でお待ちください。」
勝手知ったるなんとやら。
そのまま奥に進み応接用のソファーでくつろいでいるとモーリスさんが慌てた様子で戻ってきた。
「シロウさんお帰りなさい、いつ戻られたんですか?」
「昨日の夜だ。」
「今回は港町に行かれたそうですね。塩はどうでしたか?」
「予定通りの量を買い付けできた、いつもどおり折半でいいか?」
「むしろ6:4でも構いませんよ?」
「倉庫を借りるしいつもどおりでいい。それよりも今回はこれをもってきたんだ。」
塩の買い付けは前々から話していたので折半で問題ない。
手間をかけたということで一割分気を使ってくれたんだろう。
そんなモーリスさんの前に買い付けたばかりの柚子を転がす。
「これは・・・。オレンジかと思いましたが違うようですね。」
「柚子っていう果物なんだが、知ってるか?」
「名前は存じています。なるほど、コレがそうですか。いい香りですね。」
「そのまま食べてもいいが加工してジャムにもできるし、料理の香り付けにも使える。三箱買い付けたんだが、一箱どうだ?」
鼻に近づけ香りを楽しむモーリスさん。
だがその目は真剣そのものだ。
「もちろん何かされるんですよね?」
「レレモンも大量に買い付けたからそれらを使ってジャムを作るつもりだ。それと柚子は化粧水の香り付けにも使うつもりでいる。こっちは時間がかかるだろうから消費されるとしたらジャムのほうだな。」
「ジャムですか。」
「ちなみにドルチェの新作に使って貰えるよう提供するつもりではいる。」
「買いましょう。」
「即決だな。」
「使用方法がわかっているのであれば売れます。それにこの香り、春先の花粉症の時にも楽しめそうです。」
そこまで読むとは流石モーリスさん。
普通新しい商材をポンと決めることは中々ないが、売れると判断してくれたみたいだ。
「一箱100個入りで一個銅貨35枚。少々高めだが50で売れると思うか?」
「加工次第では売れるでしょう。次回はもう少し安く買い付けていただけるなら大丈夫かと。レレモンも二箱程いただけますか?」
「いいのか?」
「一緒にすれば安く見えますから。」
「ならレレモンは銅貨20枚で。」
「ありがとうございます。」
レレモンと柚子で各銀貨10の利益だ。
それに塩の代金を加えればコレだけで銀貨40枚稼いだ計算になる。
もちろん輸送費やら何やらあるが、運んできて売るだけでこの利益なんだから、ぼろい商売だよなぁ。
「他に何かありますか?」
「そうだな、魚の干物に香辛料が少しって所か。」
「では干物も半分買わせていただきます。シロウ様のおかげでこっちもよく売れるんです。」
「そりゃありがたい。売れなかったら毎日干物尽くしになる所だった。」
追加で銀貨20枚。
モーリスさんの所で銀貨60枚ほど稼ぎ、次に向かったのはマスターの店。
「お、やっと帰ってきやがったか。」
「前と一緒で一週間あけただけだぞ?」
「それでも冒険者(あいつら)は待ちわびてたみたいだぞ。で、今回は何を買ってきたんだ?」
「マスターといえば酒だろ。それとつまみになりそうな奴をいくつか。」
「とりあえず見せてみろ、話はそれからだ。」
初日に買い付けた異国の酒、それとサラミのような肉の塩漬けと魚の干物。
どれもこの店にぴったりな商材だ。
「ふむ、コレは西方の酒でこっちがエール、んでコレは・・・火酒か?」
「強さでいえば近い感じだが、芋で作ってるから風味が違うだろ?」
「クセは強いがどうやって飲むんだ?」
「お勧めはお湯割りだな。」
「ほぉ、割るのか。」
「暖められるとより香りが強くなる、加えて飲む量も増える。」
「なるほどな。全部でいくらだ?」
「酒が銀貨30枚、つまみが銀貨50枚でどうだ?」
「つまみの方が高いのかよ。」
「酒は量が必要なら追加で注文できるよう掛け合ってある。それで許してくれ。」
酒はあえて量を少なめにしておいた。
売れるなら追加で仕入れればいいが、買い付けたものの売れなかったじゃ面倒になる。
うちに返品されても困るしその辺も一応考えてるんだよ。
「銀貨75枚。」
「その代わり今日の酒代はおごりな。」
「なら80でいい、どうせエリザ連れてくるんだろ?」
「ばれたか。」
あいつと飲むと余裕で銀貨10枚ぐらいかかるんだよな。
食事も一緒ならもう少し少ないが、酒だけとなると遠慮なく飲みやがる。
出費を抑えようとしたが生憎マスターにはお見通しだったようだ。
酒とつまみは各銀貨20枚ずつなのでここで銀貨40枚。
二件で金貨1枚の儲けになる。
使った金額からはまだまだ回収できていないが、それはこの後からだな。
マスターの店を出て次に向かったのは・・・。
「あら、戻ってきたのね。」
「お久しぶりですアナスタシア様。」
「デビットから聞いたわよ、彼の船で港町まで行ったそうね。船旅はいかがだったかしら。」
「思った以上にいい旅だった。時間的な面でも乗り心地でも申し分ない。」
「随分と気に入ったようでよかったわ。それで、私の所に来たって事は何か持ってきてくれたのよね?」
「最近街で話題になっている発光石は知ってるか?」
「子供の間で流行っているそうね。それが何か?」
「それの大人向けを作ってみた。あぁ心配しなくても特に怪しい効果は付いていない、ただ高価な間接照明だと思ってくれたらいい。」
カバンから取り出したのは布でしっかり包まれた箱。
焦らすようにゆっくりと布をほどくと、桐のような木で作られた箱が姿を現した。
「随分と綺麗な箱に入っているのね。」
「箱だけじゃなく中身も気に入ってもらえるとうれしいんだがな。」
上部をスライドさせて取り出したのは、鮮やかな切子細工の施された赤いグラスだ。
キラキラと輝くグラスにアナスタシア様の目が細くなる。
まるで獲物を見つけた肉食獣のような感じだ。
「素晴らしい出来ね、でもグラスとして売るんじゃないんでしょ?」
「あぁ、これはこうやって使う。」
発光石の埋め込まれたスライムの核をグラスの上に置き、それを軽く叩いてやる。
すると石が光りだし、切り込みに反射してキラキラと輝きだした。
「確かにこれは大人向けね。」
「回転する道具に乗せても面白いが・・・こんな感じですぐに消える。僅かな明りが欲しい時なんかに使えると思うんだが、その感じだとグラスだけのほうが売れそうな感じか?」
「そうね、万人受けするのはグラスの方でしょうね。でもこれ自体も嫌いじゃないわよ、一瞬の為だけにわざわざ燃料を付けるのって面倒だし、その為に魔道具を使うのもねぇ。」
「ふむ、やっぱりそうか。」
「ちなみにグラスはいくつあるの?」
「このサイズで20個、後は花瓶と一輪挿しが一つずつだな。それと・・・。」
思い出したかのように最後の一つをカバンから取り出す。
同じように布をほどき木箱からゆっくり取り出したそれは最初に見せてもらった一点物のグラスだ。
大きさはぐい飲みほど。
鮮やかな青色に鮮やかな花の細工が施されている。
「こっちはアナスタシア様専用だ。もちろん値は張るが・・・。」
「買うわ。」
「値段は聞かないのか?」
「金貨5枚までなら即決よ。」
「ならその値段でいい。後は小さい方が一つ銀貨20枚で花瓶は金貨3枚、一輪挿しが金貨2枚ってところだな。」
「買い手は私の方で見繕っていいのよね?でもすぐに追加が必要になるわよ、大丈夫?」
「月40が限界だ。このサイズだしショットグラスにしか使えないと思うんだが?」
「ソレを決めつけるのはよくないわね。これは売れるわ、私が保証する。」
「ならお任せする。代金はまた時間のある時に持ってきてくれ。」
グラスだけで金貨7.2枚の儲け。
これだけで今回の買付分を全て支払ってもおつりがくる。
加えてさらに売れるというお墨付きまでもらった。
これは今後も期待できそうだ.
でもこれで終わりではない。
一度店に戻り、最後のブツを回収して目的の場所へと向かう。
「シロウか、わざわざ私の所に来るという事は・・・大きいな。」
「港町で素晴らしい物を見つけたんでね、ローランド様にふさわしいと思って買い付けてきたんだ。もちろん絶対に買ってくれとは言わないが、損はさせないつもりだ。」
「お前がそこまで言うのならば素晴らしいものなのだろう。誰か、これを。」
持ってきたのは最初に買い付けた絨毯だ。
メインは布の方なんだが、こっちはローランド様にふさわしいと思って買い付けた。
もっとも、売れなくてもうちの応接室に使うので何も問題はない。
使用人が二人係りで絨毯を運びどこかへと運んで行った。
ちなみにここまで持ってきたのは俺ではなくてメルディだ。
家にいるはずが暇ですることがないとの事で手伝ってくれた。
仕事熱心というかワーカホリックというか。
別に俺みたいにならなくてもいいんだけどなぁ。
絨毯は応接室へと運ばれ無事にローランド様のお眼鏡にかなう事となった。
最初金貨10枚と吹っかけてみたんだが、流石に怒られてしまい結果金貨8枚で買ってもらえた。
南方の一点物という単語がよかったらしい。
どの世界でも限定品には皆弱い。
布関係が全部で金貨3枚だったので、これで儲けが金貨5枚。
後は売れば売るだけプラスが出る計算だ。
あの布をどうやって売るかしっかり考えるとしよう。
まだまだ買い付けた品は山ほどある。
手間ではあるが売れば売るだけ金になるんだ、その手間を惜しむのはバカのすること。
さぁ、残りもしっかり売っていかないとな。
そりゃ買取を待っていた冒険者は多数いたが、どれも武器や防具などで数が少ない。
素材系はギルドへという流れはちゃんとできているようだ。
もちろんメルディも頑張った。
戻ってきた日は半泣きで不安な一週間について愚痴られもしたが、それでも自信には繋がったようだ。
今後は少しずつ武具系の鑑定も覚えさせたいところだが、やはり鑑定スキルがないと難しいんだよなぁ。
その辺は今後の課題ということで。
「さて、メルディには三日間の有給休暇を与えたし俺達だけで頑張るとするか。」
「俺達じゃなくてミラだけでしょ?」
「俺も働くぞ?」
「シロウ様には一日でも早く買い付けた品を捌いていただかなければなりません。幸い急ぎのお客様は昨日のうちに終わりましたので、こちらはお任せください。」
「大丈夫か?」
「これぐらいできなければお店を任せて頂いている意味がありませんから。」
ミラも久々の仕事で気合が入っているようだ。
エリザは冒険者ギルドへアネットはたまった製薬の注文を一気に片付けている。
それぞれがしっかりと自分の仕事をしているのに俺だけサボるわけには行かないよな。
ってことで店を任せてまず向かったのはモーリスさんの所だ。
「あ、シロウさんお久しぶりです。」
「モーリスさんはいるか?」
「ちょっと待ってくださいね。アナタ~シロウさんが来ましたよ~。」
「ちょっと待って貰ってくれー!」
「だ、そうですので中でお待ちください。」
勝手知ったるなんとやら。
そのまま奥に進み応接用のソファーでくつろいでいるとモーリスさんが慌てた様子で戻ってきた。
「シロウさんお帰りなさい、いつ戻られたんですか?」
「昨日の夜だ。」
「今回は港町に行かれたそうですね。塩はどうでしたか?」
「予定通りの量を買い付けできた、いつもどおり折半でいいか?」
「むしろ6:4でも構いませんよ?」
「倉庫を借りるしいつもどおりでいい。それよりも今回はこれをもってきたんだ。」
塩の買い付けは前々から話していたので折半で問題ない。
手間をかけたということで一割分気を使ってくれたんだろう。
そんなモーリスさんの前に買い付けたばかりの柚子を転がす。
「これは・・・。オレンジかと思いましたが違うようですね。」
「柚子っていう果物なんだが、知ってるか?」
「名前は存じています。なるほど、コレがそうですか。いい香りですね。」
「そのまま食べてもいいが加工してジャムにもできるし、料理の香り付けにも使える。三箱買い付けたんだが、一箱どうだ?」
鼻に近づけ香りを楽しむモーリスさん。
だがその目は真剣そのものだ。
「もちろん何かされるんですよね?」
「レレモンも大量に買い付けたからそれらを使ってジャムを作るつもりだ。それと柚子は化粧水の香り付けにも使うつもりでいる。こっちは時間がかかるだろうから消費されるとしたらジャムのほうだな。」
「ジャムですか。」
「ちなみにドルチェの新作に使って貰えるよう提供するつもりではいる。」
「買いましょう。」
「即決だな。」
「使用方法がわかっているのであれば売れます。それにこの香り、春先の花粉症の時にも楽しめそうです。」
そこまで読むとは流石モーリスさん。
普通新しい商材をポンと決めることは中々ないが、売れると判断してくれたみたいだ。
「一箱100個入りで一個銅貨35枚。少々高めだが50で売れると思うか?」
「加工次第では売れるでしょう。次回はもう少し安く買い付けていただけるなら大丈夫かと。レレモンも二箱程いただけますか?」
「いいのか?」
「一緒にすれば安く見えますから。」
「ならレレモンは銅貨20枚で。」
「ありがとうございます。」
レレモンと柚子で各銀貨10の利益だ。
それに塩の代金を加えればコレだけで銀貨40枚稼いだ計算になる。
もちろん輸送費やら何やらあるが、運んできて売るだけでこの利益なんだから、ぼろい商売だよなぁ。
「他に何かありますか?」
「そうだな、魚の干物に香辛料が少しって所か。」
「では干物も半分買わせていただきます。シロウ様のおかげでこっちもよく売れるんです。」
「そりゃありがたい。売れなかったら毎日干物尽くしになる所だった。」
追加で銀貨20枚。
モーリスさんの所で銀貨60枚ほど稼ぎ、次に向かったのはマスターの店。
「お、やっと帰ってきやがったか。」
「前と一緒で一週間あけただけだぞ?」
「それでも冒険者(あいつら)は待ちわびてたみたいだぞ。で、今回は何を買ってきたんだ?」
「マスターといえば酒だろ。それとつまみになりそうな奴をいくつか。」
「とりあえず見せてみろ、話はそれからだ。」
初日に買い付けた異国の酒、それとサラミのような肉の塩漬けと魚の干物。
どれもこの店にぴったりな商材だ。
「ふむ、コレは西方の酒でこっちがエール、んでコレは・・・火酒か?」
「強さでいえば近い感じだが、芋で作ってるから風味が違うだろ?」
「クセは強いがどうやって飲むんだ?」
「お勧めはお湯割りだな。」
「ほぉ、割るのか。」
「暖められるとより香りが強くなる、加えて飲む量も増える。」
「なるほどな。全部でいくらだ?」
「酒が銀貨30枚、つまみが銀貨50枚でどうだ?」
「つまみの方が高いのかよ。」
「酒は量が必要なら追加で注文できるよう掛け合ってある。それで許してくれ。」
酒はあえて量を少なめにしておいた。
売れるなら追加で仕入れればいいが、買い付けたものの売れなかったじゃ面倒になる。
うちに返品されても困るしその辺も一応考えてるんだよ。
「銀貨75枚。」
「その代わり今日の酒代はおごりな。」
「なら80でいい、どうせエリザ連れてくるんだろ?」
「ばれたか。」
あいつと飲むと余裕で銀貨10枚ぐらいかかるんだよな。
食事も一緒ならもう少し少ないが、酒だけとなると遠慮なく飲みやがる。
出費を抑えようとしたが生憎マスターにはお見通しだったようだ。
酒とつまみは各銀貨20枚ずつなのでここで銀貨40枚。
二件で金貨1枚の儲けになる。
使った金額からはまだまだ回収できていないが、それはこの後からだな。
マスターの店を出て次に向かったのは・・・。
「あら、戻ってきたのね。」
「お久しぶりですアナスタシア様。」
「デビットから聞いたわよ、彼の船で港町まで行ったそうね。船旅はいかがだったかしら。」
「思った以上にいい旅だった。時間的な面でも乗り心地でも申し分ない。」
「随分と気に入ったようでよかったわ。それで、私の所に来たって事は何か持ってきてくれたのよね?」
「最近街で話題になっている発光石は知ってるか?」
「子供の間で流行っているそうね。それが何か?」
「それの大人向けを作ってみた。あぁ心配しなくても特に怪しい効果は付いていない、ただ高価な間接照明だと思ってくれたらいい。」
カバンから取り出したのは布でしっかり包まれた箱。
焦らすようにゆっくりと布をほどくと、桐のような木で作られた箱が姿を現した。
「随分と綺麗な箱に入っているのね。」
「箱だけじゃなく中身も気に入ってもらえるとうれしいんだがな。」
上部をスライドさせて取り出したのは、鮮やかな切子細工の施された赤いグラスだ。
キラキラと輝くグラスにアナスタシア様の目が細くなる。
まるで獲物を見つけた肉食獣のような感じだ。
「素晴らしい出来ね、でもグラスとして売るんじゃないんでしょ?」
「あぁ、これはこうやって使う。」
発光石の埋め込まれたスライムの核をグラスの上に置き、それを軽く叩いてやる。
すると石が光りだし、切り込みに反射してキラキラと輝きだした。
「確かにこれは大人向けね。」
「回転する道具に乗せても面白いが・・・こんな感じですぐに消える。僅かな明りが欲しい時なんかに使えると思うんだが、その感じだとグラスだけのほうが売れそうな感じか?」
「そうね、万人受けするのはグラスの方でしょうね。でもこれ自体も嫌いじゃないわよ、一瞬の為だけにわざわざ燃料を付けるのって面倒だし、その為に魔道具を使うのもねぇ。」
「ふむ、やっぱりそうか。」
「ちなみにグラスはいくつあるの?」
「このサイズで20個、後は花瓶と一輪挿しが一つずつだな。それと・・・。」
思い出したかのように最後の一つをカバンから取り出す。
同じように布をほどき木箱からゆっくり取り出したそれは最初に見せてもらった一点物のグラスだ。
大きさはぐい飲みほど。
鮮やかな青色に鮮やかな花の細工が施されている。
「こっちはアナスタシア様専用だ。もちろん値は張るが・・・。」
「買うわ。」
「値段は聞かないのか?」
「金貨5枚までなら即決よ。」
「ならその値段でいい。後は小さい方が一つ銀貨20枚で花瓶は金貨3枚、一輪挿しが金貨2枚ってところだな。」
「買い手は私の方で見繕っていいのよね?でもすぐに追加が必要になるわよ、大丈夫?」
「月40が限界だ。このサイズだしショットグラスにしか使えないと思うんだが?」
「ソレを決めつけるのはよくないわね。これは売れるわ、私が保証する。」
「ならお任せする。代金はまた時間のある時に持ってきてくれ。」
グラスだけで金貨7.2枚の儲け。
これだけで今回の買付分を全て支払ってもおつりがくる。
加えてさらに売れるというお墨付きまでもらった。
これは今後も期待できそうだ.
でもこれで終わりではない。
一度店に戻り、最後のブツを回収して目的の場所へと向かう。
「シロウか、わざわざ私の所に来るという事は・・・大きいな。」
「港町で素晴らしい物を見つけたんでね、ローランド様にふさわしいと思って買い付けてきたんだ。もちろん絶対に買ってくれとは言わないが、損はさせないつもりだ。」
「お前がそこまで言うのならば素晴らしいものなのだろう。誰か、これを。」
持ってきたのは最初に買い付けた絨毯だ。
メインは布の方なんだが、こっちはローランド様にふさわしいと思って買い付けた。
もっとも、売れなくてもうちの応接室に使うので何も問題はない。
使用人が二人係りで絨毯を運びどこかへと運んで行った。
ちなみにここまで持ってきたのは俺ではなくてメルディだ。
家にいるはずが暇ですることがないとの事で手伝ってくれた。
仕事熱心というかワーカホリックというか。
別に俺みたいにならなくてもいいんだけどなぁ。
絨毯は応接室へと運ばれ無事にローランド様のお眼鏡にかなう事となった。
最初金貨10枚と吹っかけてみたんだが、流石に怒られてしまい結果金貨8枚で買ってもらえた。
南方の一点物という単語がよかったらしい。
どの世界でも限定品には皆弱い。
布関係が全部で金貨3枚だったので、これで儲けが金貨5枚。
後は売れば売るだけプラスが出る計算だ。
あの布をどうやって売るかしっかり考えるとしよう。
まだまだ買い付けた品は山ほどある。
手間ではあるが売れば売るだけ金になるんだ、その手間を惜しむのはバカのすること。
さぁ、残りもしっかり売っていかないとな。
41
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる