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812.転売屋は気持ちを送り合う
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「ルティエ、来たぞ。」
「あ、シロウさん!ちょっと中で待っててください!」
先日ルティエの所に寄ったのだが、渡したい物があるとの事で別の日を指定された。
その指定日に来たのだが・・・ふむ、忙しそうだな。
勝手知ったる工房なので中に入り乱雑に散らかった机を片付けていく。
商談に使うはずの机は素材やら書類やらで埋め尽くされていた。
こんなになるなんて珍しい。
そこまで仕事は増えていないはずだが、何かに熱中するとすぐにこんな風になるからなぁルティエは。
まぁ人のことは言えないんだが。
すぐに書類で埋まる執務机。
決してさぼってるわけじゃないんだ、でもアレを見ると急にやる気が・・・。
「出来たぁぁぁぁ!!」
机を片付け箒で床を掃いていると、作業台にかぶりついていたルティエが大きく手を上に伸ばしながらを大きな声を出す。
達成感たっぷりの雰囲気、仕事が終わって何よりだ。
「お疲れさん。」
「あ、お掃除ありがとうございます。」
「ここまでなるなんて珍しいな、仕事が溜まってたのか?」
「そういうわけじゃないんですけど、やりだしたら止まらなくて。あ!仕事は順調ですよ、大丈夫です。」
「その辺は信頼している。」
出会った頃と違って今はしっかりと仕事をこなす一流の職人だ。
納期もしっかりと管理するようになったし、出来ない仕事はしっかりと断っている。
なんでもかんでも受けたりするとどうしても下に見られたりするのだが、出来ないと断る勇気とそれに見合う仕上がりがあれば客はしっかりとついてくるものだ。
それを実体験したからこそルティエは一人前になったと言えるだろうな。
「シロウさん。」
「ん?」
「これ、良かったら受け取ってください。」
「買取じゃないのか?」
「違いますよ!シロウさんにつけて欲しくて作ったんです。」
急に真面目な顔になったルティエが俺に両手を伸ばしてくる。
両手の下に手を差し入れると上から冷たいものが落ちてきた。
金属のぶつかる音が小さく響く。
『聖銀のネックレス。聖水に長時間晒され邪悪な気配を打ち払う事ができる聖銀は、アンデッドに効果があり不浄なる者を寄せ付けない。ガーネットがつけられている。最近の平均取引価格は金貨2枚。最安値金貨1枚と銀貨22枚、最高値金貨3枚、最終取引日は134日前と記録されています。』
聖銀製のネックレス。
売ればかなりの値段になるものだが、これを俺に?
「かなりいいものじゃないか。」
「本当は別の人に依頼されて手に入れた素材なんですけど、急に変更になっちゃって。今までお世話になってるし、折角ならって作ったんです。」
「いいのか?」
「はい、材料費は向こうに支払ってもらってますから。」
聖銀はかなり高価なものだが、それをポンと渡せるなんて中々の金持ちのようだ。
せっかくルティエが俺の為に作ってくれたものだ、その場でフックを外して首に着ける。
冷たい感触に思わずぞくっとしてしまったが、しばらくするとじんわりと温かくなってきた。
なんだろう何かに守られているような感覚すら覚える。
これが聖銀の効果なのかもしれない。
「どうだ?」
「えへへ、良く似合ってます。」
「デザインはシンプルなだけに普段から着けていられそうだ、ありがたく貰っておく。」
「気に入ってもらって良かったです。」
嬉しそうに笑うルティエ。
そういえばそろそろクリスマスか。
貰ってばかりなのもあれだし、俺も何か考えないとなおぁ。
「ひとつ聞くが、今何欲しい?」
「え、今ですか?そうだなぁ、美味しいお菓子が食べたいです。」
「安いなぁ。」
「え、もしかして指輪とかいう所でした!?やっぱ無し、さっきの無しで!」
慌てて変更しようとしてももう遅い。
菓子が食いたいというのならばそれにしようじゃないか。
「これから暇か?」
「ひ、暇ですけど。」
「ドルチェの店に行くぞ。」
「えぇぇぇ、お菓子やだぁぁぁ!」
「いや、自分が欲しいって言ったんだろうが。」
世の中巻き戻しは出来ないようにできてるんだ。
なので発言は慎重に。
もちろん菓子以外の贈り物も考えてはいるが、一人にあげると他の全員にも渡す必要が出てくるので俺の動きも慎重にしなければならない。
はてさて何を贈るか。
「いらっしゃいませ、あれシロウさんじゃないですか。なんでルティエちゃん凹んでるんですか?」
「選択を誤って絶望してるだけだ。」
「じゃあ甘いもの食べて元気出さないとね!今日のお勧めはチーズケーキとカヌレだよ。」
「カヌレ、珍しいな。」
「アーロイさんにお願いして型板を作ってもらったんです。ハチミツたっぷり、美味しいですよ。」
ショーケース代わりの囲いの向こうには、良く焼けたカヌレがいくつも並んでいた。
個人的にはチーズケーキを行きたい所だが、こういうシンプルなのも捨てがたい。
クリスマスこそ甘い菓子だよなぁ。
「・・・カヌレください。」
「はちみついる?」
「いる。」
「オッケー、すぐに準備するね。そんな顔しなくてもシロウさんならちゃんとフォローしてくれるよ。」
「何の話だ?」
「え、何かミスしたんじゃないんですか?」
ミスと言えばミスだが、まぁもう少しへこませておいてもいいだろう。
ハチミツたっぷりのカヌレが木皿の上に載せられる。
それを弱々しく受け取り静かに口に運ぶルティエ。
すると、さっきまで澱んでいた目に一瞬にして輝きが戻ってきた。
「美味しい!」
「元気出た?」
「出た!」
「そりゃ何よりだ。俺の分も12個頼む。」
「え、一人で食べるんですか?」
「馬鹿いえ、持って帰るんだよ。」
エリザじゃあるまいし、どんだけ食いしん坊なんだよ俺は。
持ち帰りとは別にもらったカヌレは想像以上に美味しかった。
はちみつはやはりシロップさんの奴を使っているらしい。
やっぱり甘い物は食べるだけで幸せな気持ちになるな。
疲れている時も欲しくなるし、日持ちする奴を備蓄したくなる。
となるとケーキなんかよりも焼き菓子の方が都合がいい。
よし、決めた。
「ルティエ、俺は先に帰るけどチーズケーキも食って帰っていいぞ。」
「え、いいの?」
「ってことで食わせてやってくれ、これ代金な。」
「ありがとうございます!」
カヌレを手に急ぎ屋敷に戻る。
そうと決まれば準備が必要だ。
菓子作りは俺よりもエリザ達の方が上手いからな、色々手伝ってもらわないと。
ってことで急ぎ屋敷に戻り事情を説明する。
俺が突然何か始めるのはいつもの事、今年もモニカの所で何かしようと考えていたらしくすぐに菓子作りは了承された。
「配るのは子供たちだけでいいんですよね?」
「後は執務中に俺が食う分だな。歳暮みたいにすると大変だろ?まぁ、そっちも考えないといけないんだけど。」
「そちらは別に考えてありますのでご安心ください。」
「さすがセラフィムさん、仕事が早い。」
世話になった人に何を贈るか、それを考えるだけで頭が痛くなる。
誰もが喜ぶものってなかなかないんだよなぁ。
甘いの嫌いって人もいるし。
「材料はハチミツとバター、それとワイルドカウのミルクね。甘さ控えめって感じだけどそれでいいの?」
「普通のはちみつじゃなくシュガービーのを使うから大丈夫だろう。」
「あー、そっか。でも取りに行く冒険者は大変ね。」
シュガービーは名前の通り甘いはちみつを作る蜂の魔物。
蜂系の魔物のほとんどは体長30cm~1m程の大物が多いのだが、こいつは体長10cmに満たない元の世界に近いサイズ。
それでも十分大きいのだが、体が小さい分花の蜜を繊細に回収できるようで雑味の少ない甘みの強いはちみつを巣に蓄える
他の魔物と違って体長が小さい分一つの巣で生活する数が膨大で、巣を回収するのにも何倍もの労力を必要とする。
燃やせば早いのだが巣がかなり燃えやすいため火気厳禁。
大量の蜂を処理しつつ巣から蜜を回収するのは至難の業というわけだ。
その分報酬はしっかり出すし、この時期は何かと物入りなので頑張る冒険者も多いだろう。
還年祭での飲食は無料だが、祭りだけにテンションが上がって色々と散在する冒険者は多くいる。
ほら、彼女や嫁さんに見栄を張りたくなるじゃないか。
ってことで金はいくらあっても困らない。
そして金が回ればうちの品やルティエ達の品が売れるというわけだ。
金は天下の回り物ってね。
さて、俺は俺で別の奴を届けに行くか。
「それじゃあ素材の発注は任せた、俺は倉庫に寄ってからおっちゃんの所に寄るから。」
「了解、ルティエちゃんによろしくね。」
「はいよ。」
折角屋敷に戻ってきたのだが、別件で再び屋敷の外へ。
次に向かったのは北側の倉庫だ。
資料を見る限りでは確かここにあるはず・・・。
お、あったあった。
そして目的のブツを手に再びルティエの店へ舞い戻る。
あー忙しい忙しい。
「え、あれ、シロウさんなんで?」
「ちょっと待て、息が苦しい。」
「え、走ってきたんですか?」
あっちこっちに動き回るだけで息を切らすとか、運動不足もいいところだ。
呼吸を落ち着かせて何事かを目を丸くするルティエに見つけてきた物をそのまま手渡す。
ラッピングするとかそういうセンスのあるようなことはしない。
っていうか渡そうと腕を伸ばしてから気が付いた。
「え、私に?」
「こいつの礼だ。流石にドルチェの菓子だけじゃ釣り合わないからな。」
「わ!わ!可愛いブレスレット!」
「それだけじゃないぞ、技巧と集中の効果付きだ。」
「え、本当にこんなすごい物貰っていいんですか?」
「それに見合うものはもうもらった、大事に使ってくれ。」
「はい!」
『匠のブレスレット。手先が器用になる技巧の効果が付与されている職人垂涎の品。素材となる銀には不酸化魔法が施されており、匠の名にふさわしく小さな花が多数彫刻されている。集中の効果が付与されている。最近の平均取引価格は金貨1枚。最安値銀貨78枚、最高値金貨4枚、最終取引日は451日前と記録されています。』
レイラから買い取った時にルティエに相応しいと思っていたやつだ。
いつ渡そうかと思っていただけにいいきっかけになった。
早速左手に着けてニヤニヤしている。
「喜んでもらって何よりだ。」
「これを着けてもっともっと頑張りますね!」
「あぁ、これからの活躍に期待してる。春の新作は失敗できないからな。」
「大丈夫です、ブロッサムシリーズは絶対に成功します。いえ、させます。」
「流石言う事が違うな。」
「えへへ、頑張ったらまた褒めてくれますか?」
「あぁ、これからもよろしくな。」
頭をポンポンと撫でてやると花が咲いたように満面の笑みを浮かべるルティエ。
喜んでもらって何よりだ。
さて、もう一つの贈り物も準備しないとな。
「あ、シロウさん!ちょっと中で待っててください!」
先日ルティエの所に寄ったのだが、渡したい物があるとの事で別の日を指定された。
その指定日に来たのだが・・・ふむ、忙しそうだな。
勝手知ったる工房なので中に入り乱雑に散らかった机を片付けていく。
商談に使うはずの机は素材やら書類やらで埋め尽くされていた。
こんなになるなんて珍しい。
そこまで仕事は増えていないはずだが、何かに熱中するとすぐにこんな風になるからなぁルティエは。
まぁ人のことは言えないんだが。
すぐに書類で埋まる執務机。
決してさぼってるわけじゃないんだ、でもアレを見ると急にやる気が・・・。
「出来たぁぁぁぁ!!」
机を片付け箒で床を掃いていると、作業台にかぶりついていたルティエが大きく手を上に伸ばしながらを大きな声を出す。
達成感たっぷりの雰囲気、仕事が終わって何よりだ。
「お疲れさん。」
「あ、お掃除ありがとうございます。」
「ここまでなるなんて珍しいな、仕事が溜まってたのか?」
「そういうわけじゃないんですけど、やりだしたら止まらなくて。あ!仕事は順調ですよ、大丈夫です。」
「その辺は信頼している。」
出会った頃と違って今はしっかりと仕事をこなす一流の職人だ。
納期もしっかりと管理するようになったし、出来ない仕事はしっかりと断っている。
なんでもかんでも受けたりするとどうしても下に見られたりするのだが、出来ないと断る勇気とそれに見合う仕上がりがあれば客はしっかりとついてくるものだ。
それを実体験したからこそルティエは一人前になったと言えるだろうな。
「シロウさん。」
「ん?」
「これ、良かったら受け取ってください。」
「買取じゃないのか?」
「違いますよ!シロウさんにつけて欲しくて作ったんです。」
急に真面目な顔になったルティエが俺に両手を伸ばしてくる。
両手の下に手を差し入れると上から冷たいものが落ちてきた。
金属のぶつかる音が小さく響く。
『聖銀のネックレス。聖水に長時間晒され邪悪な気配を打ち払う事ができる聖銀は、アンデッドに効果があり不浄なる者を寄せ付けない。ガーネットがつけられている。最近の平均取引価格は金貨2枚。最安値金貨1枚と銀貨22枚、最高値金貨3枚、最終取引日は134日前と記録されています。』
聖銀製のネックレス。
売ればかなりの値段になるものだが、これを俺に?
「かなりいいものじゃないか。」
「本当は別の人に依頼されて手に入れた素材なんですけど、急に変更になっちゃって。今までお世話になってるし、折角ならって作ったんです。」
「いいのか?」
「はい、材料費は向こうに支払ってもらってますから。」
聖銀はかなり高価なものだが、それをポンと渡せるなんて中々の金持ちのようだ。
せっかくルティエが俺の為に作ってくれたものだ、その場でフックを外して首に着ける。
冷たい感触に思わずぞくっとしてしまったが、しばらくするとじんわりと温かくなってきた。
なんだろう何かに守られているような感覚すら覚える。
これが聖銀の効果なのかもしれない。
「どうだ?」
「えへへ、良く似合ってます。」
「デザインはシンプルなだけに普段から着けていられそうだ、ありがたく貰っておく。」
「気に入ってもらって良かったです。」
嬉しそうに笑うルティエ。
そういえばそろそろクリスマスか。
貰ってばかりなのもあれだし、俺も何か考えないとなおぁ。
「ひとつ聞くが、今何欲しい?」
「え、今ですか?そうだなぁ、美味しいお菓子が食べたいです。」
「安いなぁ。」
「え、もしかして指輪とかいう所でした!?やっぱ無し、さっきの無しで!」
慌てて変更しようとしてももう遅い。
菓子が食いたいというのならばそれにしようじゃないか。
「これから暇か?」
「ひ、暇ですけど。」
「ドルチェの店に行くぞ。」
「えぇぇぇ、お菓子やだぁぁぁ!」
「いや、自分が欲しいって言ったんだろうが。」
世の中巻き戻しは出来ないようにできてるんだ。
なので発言は慎重に。
もちろん菓子以外の贈り物も考えてはいるが、一人にあげると他の全員にも渡す必要が出てくるので俺の動きも慎重にしなければならない。
はてさて何を贈るか。
「いらっしゃいませ、あれシロウさんじゃないですか。なんでルティエちゃん凹んでるんですか?」
「選択を誤って絶望してるだけだ。」
「じゃあ甘いもの食べて元気出さないとね!今日のお勧めはチーズケーキとカヌレだよ。」
「カヌレ、珍しいな。」
「アーロイさんにお願いして型板を作ってもらったんです。ハチミツたっぷり、美味しいですよ。」
ショーケース代わりの囲いの向こうには、良く焼けたカヌレがいくつも並んでいた。
個人的にはチーズケーキを行きたい所だが、こういうシンプルなのも捨てがたい。
クリスマスこそ甘い菓子だよなぁ。
「・・・カヌレください。」
「はちみついる?」
「いる。」
「オッケー、すぐに準備するね。そんな顔しなくてもシロウさんならちゃんとフォローしてくれるよ。」
「何の話だ?」
「え、何かミスしたんじゃないんですか?」
ミスと言えばミスだが、まぁもう少しへこませておいてもいいだろう。
ハチミツたっぷりのカヌレが木皿の上に載せられる。
それを弱々しく受け取り静かに口に運ぶルティエ。
すると、さっきまで澱んでいた目に一瞬にして輝きが戻ってきた。
「美味しい!」
「元気出た?」
「出た!」
「そりゃ何よりだ。俺の分も12個頼む。」
「え、一人で食べるんですか?」
「馬鹿いえ、持って帰るんだよ。」
エリザじゃあるまいし、どんだけ食いしん坊なんだよ俺は。
持ち帰りとは別にもらったカヌレは想像以上に美味しかった。
はちみつはやはりシロップさんの奴を使っているらしい。
やっぱり甘い物は食べるだけで幸せな気持ちになるな。
疲れている時も欲しくなるし、日持ちする奴を備蓄したくなる。
となるとケーキなんかよりも焼き菓子の方が都合がいい。
よし、決めた。
「ルティエ、俺は先に帰るけどチーズケーキも食って帰っていいぞ。」
「え、いいの?」
「ってことで食わせてやってくれ、これ代金な。」
「ありがとうございます!」
カヌレを手に急ぎ屋敷に戻る。
そうと決まれば準備が必要だ。
菓子作りは俺よりもエリザ達の方が上手いからな、色々手伝ってもらわないと。
ってことで急ぎ屋敷に戻り事情を説明する。
俺が突然何か始めるのはいつもの事、今年もモニカの所で何かしようと考えていたらしくすぐに菓子作りは了承された。
「配るのは子供たちだけでいいんですよね?」
「後は執務中に俺が食う分だな。歳暮みたいにすると大変だろ?まぁ、そっちも考えないといけないんだけど。」
「そちらは別に考えてありますのでご安心ください。」
「さすがセラフィムさん、仕事が早い。」
世話になった人に何を贈るか、それを考えるだけで頭が痛くなる。
誰もが喜ぶものってなかなかないんだよなぁ。
甘いの嫌いって人もいるし。
「材料はハチミツとバター、それとワイルドカウのミルクね。甘さ控えめって感じだけどそれでいいの?」
「普通のはちみつじゃなくシュガービーのを使うから大丈夫だろう。」
「あー、そっか。でも取りに行く冒険者は大変ね。」
シュガービーは名前の通り甘いはちみつを作る蜂の魔物。
蜂系の魔物のほとんどは体長30cm~1m程の大物が多いのだが、こいつは体長10cmに満たない元の世界に近いサイズ。
それでも十分大きいのだが、体が小さい分花の蜜を繊細に回収できるようで雑味の少ない甘みの強いはちみつを巣に蓄える
他の魔物と違って体長が小さい分一つの巣で生活する数が膨大で、巣を回収するのにも何倍もの労力を必要とする。
燃やせば早いのだが巣がかなり燃えやすいため火気厳禁。
大量の蜂を処理しつつ巣から蜜を回収するのは至難の業というわけだ。
その分報酬はしっかり出すし、この時期は何かと物入りなので頑張る冒険者も多いだろう。
還年祭での飲食は無料だが、祭りだけにテンションが上がって色々と散在する冒険者は多くいる。
ほら、彼女や嫁さんに見栄を張りたくなるじゃないか。
ってことで金はいくらあっても困らない。
そして金が回ればうちの品やルティエ達の品が売れるというわけだ。
金は天下の回り物ってね。
さて、俺は俺で別の奴を届けに行くか。
「それじゃあ素材の発注は任せた、俺は倉庫に寄ってからおっちゃんの所に寄るから。」
「了解、ルティエちゃんによろしくね。」
「はいよ。」
折角屋敷に戻ってきたのだが、別件で再び屋敷の外へ。
次に向かったのは北側の倉庫だ。
資料を見る限りでは確かここにあるはず・・・。
お、あったあった。
そして目的のブツを手に再びルティエの店へ舞い戻る。
あー忙しい忙しい。
「え、あれ、シロウさんなんで?」
「ちょっと待て、息が苦しい。」
「え、走ってきたんですか?」
あっちこっちに動き回るだけで息を切らすとか、運動不足もいいところだ。
呼吸を落ち着かせて何事かを目を丸くするルティエに見つけてきた物をそのまま手渡す。
ラッピングするとかそういうセンスのあるようなことはしない。
っていうか渡そうと腕を伸ばしてから気が付いた。
「え、私に?」
「こいつの礼だ。流石にドルチェの菓子だけじゃ釣り合わないからな。」
「わ!わ!可愛いブレスレット!」
「それだけじゃないぞ、技巧と集中の効果付きだ。」
「え、本当にこんなすごい物貰っていいんですか?」
「それに見合うものはもうもらった、大事に使ってくれ。」
「はい!」
『匠のブレスレット。手先が器用になる技巧の効果が付与されている職人垂涎の品。素材となる銀には不酸化魔法が施されており、匠の名にふさわしく小さな花が多数彫刻されている。集中の効果が付与されている。最近の平均取引価格は金貨1枚。最安値銀貨78枚、最高値金貨4枚、最終取引日は451日前と記録されています。』
レイラから買い取った時にルティエに相応しいと思っていたやつだ。
いつ渡そうかと思っていただけにいいきっかけになった。
早速左手に着けてニヤニヤしている。
「喜んでもらって何よりだ。」
「これを着けてもっともっと頑張りますね!」
「あぁ、これからの活躍に期待してる。春の新作は失敗できないからな。」
「大丈夫です、ブロッサムシリーズは絶対に成功します。いえ、させます。」
「流石言う事が違うな。」
「えへへ、頑張ったらまた褒めてくれますか?」
「あぁ、これからもよろしくな。」
頭をポンポンと撫でてやると花が咲いたように満面の笑みを浮かべるルティエ。
喜んでもらって何よりだ。
さて、もう一つの贈り物も準備しないとな。
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