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1090.転売屋は新しい麺を売り出す
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「さむい!」
「今日は一段と冷えたな、冬はまだもう少し先のはずなんだが。」
「この冬は寒くなるっていうけど、今でこれだけ寒かったらどうなっちゃうのかしら。」
「毎日雪で埋もれたりしてな。」
最近仕事が忙しすぎてまともに運動していなかったので、エリザについてきてもらって早朝にジョギングをすることにしたわけだが、あまりの寒さに体がきゅっと縮こまってしまう。
走りだせば暖かくなるのだが、それにしてもこの寒さはどうしたもんか。
畑から出て南へ、そのままぐるっと回って北側から再び畑へ。
あまりの寒さにカニバフラワーをはじめとした植物が下を向いてしなだれてしまっていた。
例年特に対策はしないのだが、この寒さではかわいそうなので焔の石でもおいてやってもいいかもしれない。
声をかけると一応の反応はあったので冬眠したわけではなさそうだ。
「あー、疲れた。」
「たまに走ると気持ちがいいわね、明日も一緒に走ろうかしら。」
「是非お願いしたいところだがとりあえず今は休ませてくれ。」
ルフの小屋の横で大の字になって倒れこみ、乱れた呼吸を整えていく。
すると、小屋から出てきたルフがやれやれという顔で近づいてきて俺の頬をぺろりと舐めた。
仕方ないだろ、体力落ちてるんだから。
「ルフちゃんも明日から一緒に走る?」
ブンブンブン。
「走らないってさ。」
「残念。それじゃあ私は先に戻るけど・・・、ねぇ本当にあの葉っぱを使うの?」
「そのために買い付けたんだ当然だろ。俺はそのまま露店を出すからあとでハワードに仕込んでおいた鳥ガラスープを持ってくるように言っておいてくれ。」
「了解。私もお昼には手伝いに行けると思うから、それまで頑張ってね。」
「期待してる。」
朝の運動を終え、エリザは冒険者ギルドへ俺は市場へと向かう。
今日はこの前から仕込んでいたネタのお披露目日、この寒さなら十分勝機はあるだろう。
オッちゃんとおばちゃんの横、ではなく北側の一番端の場所を借りて昨日から運び込んでおいた机を設営していく。
机と言っても木材をコの字型にくっつけただけだが、足の部分にブラックスライムの核をつけると多少がたつきがあっても安定するんだよなぁ。
その上に火の魔道具を置いて簡易コンロを設置、巨大な鍋に水をたっぷりと入れてから火にかける。
よしよし、あとはハワードに頼んだスープが来てからだがそれまでに他の準備を終わらせてしまおう。
「さぶ~って、あれ?シロウさん。」
「アーロイじゃないか、こんなところで珍しいな。」
「修理用の材料を買い付けに来たっす。見た感じ今日は何かの食い物屋っすか?」
「そんな感じだ。昼前には準備できるだろうから二人で食べに来てくれ、奢ってやろう。」
「よっしゃ!了解っす!」
奢りと聞いてひときわ元気よく返事をしてアーロイが去っていく。
最近は加工と修理で大忙しだと言っていたが、彼女が手伝ってくれているおかげで今のところは仕事も順調らしい。
忙しいのはいいことだ。
大鍋で湯を沸かしている横でダンシングオニオンの新芽を輪切りにしつつホワイトスプラウトの根と頭をもいでいく。
元の世界のサイズと比べると随分とでかくて太いが、しゃきしゃきの食感はもやしと何ら変わりない。
ダンシングオニオンも薬味として定着してくれたおかげで比較的簡単に手に入るようになってきたな。
これだけでもいいんだが、折角なので昨日大量に持ち込まれたボア肉を切り分けていると巨大な寸胴鍋がいくつも乗った手押し車を押しながらハワードがやってきた。
「遅くなりました。」
「悪いな、食事の準備で忙しいってのに。」
寸胴鍋には頼んでおいた鶏がらスープがなみなみ入っている。
これだけ冷え込むとあったかいこのスープだけでも美味しくいただけるのだが、今回のメインはこれじゃないんだよなぁ。
「あっちはドーラさんに任せてきたんで問題ありません。何から手伝います?」
「それならボアの肉を頼む、一口大に切り分けておいてくれ。」
「お任せください。」
ハワードが来たら百人力、手慣れた手つきであっという間に食材の山を作り上げていく。
何事も準備が肝心、これをしておくのとそうでないのとでは仕事の効率が何倍も変わってしまうからな。
最初に用意したお湯が沸騰してきたところで、本日のメインを取り出した。
『フォブル。ティーランド米を加工して作られた乾燥麺。主に南方で食べられており、もちもちとした食感とつるつるとしたのど越しが特徴。現地では生麺でも食べられているが、乾麺が一般的。最近の平均取引価格は銅貨20枚。最安値銅貨17枚、最高値銅貨40枚、最終取引日は一昨日と記録されています。』
南方旅行で初日にジャニスさんから買い付けた食材の一つ。
元の世界でいうフォーのような食感で、非常に食べやすい。
春雨にも似た感じだがこちらの方が麺が太く食感もいいので俺はこっちのほうが好きだ。
見た目は白くて硬くなっているが、茹でると透明になるのも面白い。
フォブルを茹でている横で持ってきた鶏がらスープを火にかけ、先程のボア肉を茹でながら塩とこれまた南方で買い付けてきた香辛料で味を調える。
最後にフォブルを投入してダンシングオニオンの新芽とスプラウトを乗せれば特製フォブルの完成だ。
早くも匂いにつられた客が露店の前に集まってきている。
「寒い中待たせたな、今日用意したは南方のフォブルを使った特製スープだ。一杯銅貨15枚、肉と野菜の追加は銅貨5枚で出来るから遠慮なく言ってくれ。ボア肉は風邪の予防に効果的だからな、寒くなる前にしっかり食べて栄養をつけろよ。」
「待ってました!」
「俺、肉大盛りで。」
「俺も俺も!」
並んでいたのはなじみの客ばかりだが、みな寒さに震えながら開店を待っていてくれた。
これが当たるかどうかでこの冬の儲けも変わってくる。
日持ちすることをいいことにかなり大量に買い付けたからなぁ、正直失敗は許されない。
とはいえ、この冷え込みならスープだけでもよく売れるしそこに食感のいいフォブルが加われば鬼に金棒、オークにこん棒ってね。
材料費で考えると一杯銅貨7枚ほど。
正直儲けとしては少なめだが、うどんの時と同様にトッピングで利益を押し上げたい。
幸い昨日大量にボア肉が持ち込まれたので比較的安く肉でかさまし出来るのだが・・・。
「美味いんだけど、なんか足りないよな。」
「わかる。この前のラーメンみたいにもう少しガッツリ食べたって感じがあればなぁ。」
どちらかというとあっさり系の味なので、もっとパンチが欲しい冒険者には物足りない感じのようだ。
彼らの胃袋をつかむには別の施策が必要なようなので、隠していたもう一つをここで投入するとしよう。
「味に飽きたって人にはこういうのもあるぞ、南方の香草だがなかなか癖のある奴だ。」
「うわ、なんだこれ!臭い!」
「臭いっていうか、刺激がすごいっていうか・・・。」
「そう?私は結構好きだけど。」
「「マジかよ。」」
『パクチム。南方に自生する香草でにおいがきつく虫よけ等に用いられている。しかしながらにおい成分には女性の体を整える成分が豊富に含まれており、好んで食べる女性が後を絶たない。最近の平均取引価格は銅貨5枚。最安値銅貨3枚、最高値銅貨7枚、最終取引日は本日と記録されています。』
元の世界でもどちらかと言えば女性に人気だったような気もするが、どうやらこっちでも人気なようだ。
ものすごい不快そうな顔をしている男性冒険者をよそに、女性は涼しげな顔で大量のパクチムをフォブルと一緒に食べていく。
住民の半分は女性でも、冒険者の大半は男性。
女性受けするのはありがたいがもう少し男性に合わせた何かを考えたいところだが・・・。
「あ、やっぱり出したんだ。」
「エリザか。結構人気だぞ、主に女性には、だけど。」
「私は無理、あの匂いが無理。」
ギルドでの仕事を終え、エリザが様子を見に戻ってきた。
横で美味しそうにパクチムを食べる女性冒険者を見て露骨に嫌な顔をする。
予想通りエリザは男性寄りの味覚のようだ。
まぁ、好みが出るよなぁこれは。
「まぁそういう人もいるな。美味いのは美味いんだが、もう少しがっつり食べたいっていう意見が多いんだ。何かいい案はないか?」
「えー、ガッツリっていったらやっぱりお肉でしょ。」
「もう入ってるっての。」
「こんな薄いのじゃ足りないわよ。もっとこう、分厚いお肉じゃないと。」
それならステーキでも食えばいいじゃないかと思うのだが、そういうのとはまた違うんだろうなぁ。
肉うどん的な感じで甘辛く煮るって手もあるのだが、そういうのとはまた違う気がする。
ベースは鶏がらなので醤油を入れて醤油ラーメン風にするという手もあるのだが、ラーメンとフォブルは似て非なるもの。
なんだかんだ文句を言いながらも美味しそうに渡されたフォブルを食べるエリザをよそに、ハワードと二人で知恵を巡らせる。
スープとして飲むのか、それとも麺類として食べるのか。
それによって考え方が変わってくる。
この冬はもっと寒くなるし手軽に暖をとれる感じでと思っていたのだがなかなか思うようにいかないものだ。
「折角ボア肉がいっぱいありますし、薄味で塊肉を煮込んでみましょうか。」
「ん?ラーメンみたいにか?」
「あれは甘辛く煮ましたけど、こっちはそんなに味付けをしないでもいいと思います。幸い塊肉は屋敷にありますし、明日までお時間いただければ用意できますよ。」
「このままだと大当たりって感じにならないしチャレンジする価値はあるか。肉、まだあったよな。」
「肩ロースの部分が塊であります、その方が脂も少ないので食べやすいかと。」
「よし、それじゃあこっちはエリザとやるからそっちは任せた。」
善は急げだ。
圧力鍋的な物がないので煮込み系にはどうしても時間がかかるが、それでも今から作れば夕食までには間に合うはず。
そこでみんなの意見を聞いて、明日もう一度挑戦してみよう。
この分だと明日はもっと寒くなるだろうし、まだまだ需要はこれからだ。
なんならトッピングの種類を増やしていくという方法もある。
その後も、約束通りリペアと共にやってきたアーロイにフォブルをごちそうして感想をもらう事ができた。
麺が見えないぐらいにパクチムを乗せたリペアにドン引きしていたアーロイだったが、味はお気に召したようで二杯もお代わりを頼まれた。
うーん、いろんな食べ方や好みがあるよなぁ。
万人受けっていうのは難しいしこの辺は割り切るべきだろう。
とにもかくにも冬はすぐそこ、心も体も温める美味しいフォブルはいかがかな?
「今日は一段と冷えたな、冬はまだもう少し先のはずなんだが。」
「この冬は寒くなるっていうけど、今でこれだけ寒かったらどうなっちゃうのかしら。」
「毎日雪で埋もれたりしてな。」
最近仕事が忙しすぎてまともに運動していなかったので、エリザについてきてもらって早朝にジョギングをすることにしたわけだが、あまりの寒さに体がきゅっと縮こまってしまう。
走りだせば暖かくなるのだが、それにしてもこの寒さはどうしたもんか。
畑から出て南へ、そのままぐるっと回って北側から再び畑へ。
あまりの寒さにカニバフラワーをはじめとした植物が下を向いてしなだれてしまっていた。
例年特に対策はしないのだが、この寒さではかわいそうなので焔の石でもおいてやってもいいかもしれない。
声をかけると一応の反応はあったので冬眠したわけではなさそうだ。
「あー、疲れた。」
「たまに走ると気持ちがいいわね、明日も一緒に走ろうかしら。」
「是非お願いしたいところだがとりあえず今は休ませてくれ。」
ルフの小屋の横で大の字になって倒れこみ、乱れた呼吸を整えていく。
すると、小屋から出てきたルフがやれやれという顔で近づいてきて俺の頬をぺろりと舐めた。
仕方ないだろ、体力落ちてるんだから。
「ルフちゃんも明日から一緒に走る?」
ブンブンブン。
「走らないってさ。」
「残念。それじゃあ私は先に戻るけど・・・、ねぇ本当にあの葉っぱを使うの?」
「そのために買い付けたんだ当然だろ。俺はそのまま露店を出すからあとでハワードに仕込んでおいた鳥ガラスープを持ってくるように言っておいてくれ。」
「了解。私もお昼には手伝いに行けると思うから、それまで頑張ってね。」
「期待してる。」
朝の運動を終え、エリザは冒険者ギルドへ俺は市場へと向かう。
今日はこの前から仕込んでいたネタのお披露目日、この寒さなら十分勝機はあるだろう。
オッちゃんとおばちゃんの横、ではなく北側の一番端の場所を借りて昨日から運び込んでおいた机を設営していく。
机と言っても木材をコの字型にくっつけただけだが、足の部分にブラックスライムの核をつけると多少がたつきがあっても安定するんだよなぁ。
その上に火の魔道具を置いて簡易コンロを設置、巨大な鍋に水をたっぷりと入れてから火にかける。
よしよし、あとはハワードに頼んだスープが来てからだがそれまでに他の準備を終わらせてしまおう。
「さぶ~って、あれ?シロウさん。」
「アーロイじゃないか、こんなところで珍しいな。」
「修理用の材料を買い付けに来たっす。見た感じ今日は何かの食い物屋っすか?」
「そんな感じだ。昼前には準備できるだろうから二人で食べに来てくれ、奢ってやろう。」
「よっしゃ!了解っす!」
奢りと聞いてひときわ元気よく返事をしてアーロイが去っていく。
最近は加工と修理で大忙しだと言っていたが、彼女が手伝ってくれているおかげで今のところは仕事も順調らしい。
忙しいのはいいことだ。
大鍋で湯を沸かしている横でダンシングオニオンの新芽を輪切りにしつつホワイトスプラウトの根と頭をもいでいく。
元の世界のサイズと比べると随分とでかくて太いが、しゃきしゃきの食感はもやしと何ら変わりない。
ダンシングオニオンも薬味として定着してくれたおかげで比較的簡単に手に入るようになってきたな。
これだけでもいいんだが、折角なので昨日大量に持ち込まれたボア肉を切り分けていると巨大な寸胴鍋がいくつも乗った手押し車を押しながらハワードがやってきた。
「遅くなりました。」
「悪いな、食事の準備で忙しいってのに。」
寸胴鍋には頼んでおいた鶏がらスープがなみなみ入っている。
これだけ冷え込むとあったかいこのスープだけでも美味しくいただけるのだが、今回のメインはこれじゃないんだよなぁ。
「あっちはドーラさんに任せてきたんで問題ありません。何から手伝います?」
「それならボアの肉を頼む、一口大に切り分けておいてくれ。」
「お任せください。」
ハワードが来たら百人力、手慣れた手つきであっという間に食材の山を作り上げていく。
何事も準備が肝心、これをしておくのとそうでないのとでは仕事の効率が何倍も変わってしまうからな。
最初に用意したお湯が沸騰してきたところで、本日のメインを取り出した。
『フォブル。ティーランド米を加工して作られた乾燥麺。主に南方で食べられており、もちもちとした食感とつるつるとしたのど越しが特徴。現地では生麺でも食べられているが、乾麺が一般的。最近の平均取引価格は銅貨20枚。最安値銅貨17枚、最高値銅貨40枚、最終取引日は一昨日と記録されています。』
南方旅行で初日にジャニスさんから買い付けた食材の一つ。
元の世界でいうフォーのような食感で、非常に食べやすい。
春雨にも似た感じだがこちらの方が麺が太く食感もいいので俺はこっちのほうが好きだ。
見た目は白くて硬くなっているが、茹でると透明になるのも面白い。
フォブルを茹でている横で持ってきた鶏がらスープを火にかけ、先程のボア肉を茹でながら塩とこれまた南方で買い付けてきた香辛料で味を調える。
最後にフォブルを投入してダンシングオニオンの新芽とスプラウトを乗せれば特製フォブルの完成だ。
早くも匂いにつられた客が露店の前に集まってきている。
「寒い中待たせたな、今日用意したは南方のフォブルを使った特製スープだ。一杯銅貨15枚、肉と野菜の追加は銅貨5枚で出来るから遠慮なく言ってくれ。ボア肉は風邪の予防に効果的だからな、寒くなる前にしっかり食べて栄養をつけろよ。」
「待ってました!」
「俺、肉大盛りで。」
「俺も俺も!」
並んでいたのはなじみの客ばかりだが、みな寒さに震えながら開店を待っていてくれた。
これが当たるかどうかでこの冬の儲けも変わってくる。
日持ちすることをいいことにかなり大量に買い付けたからなぁ、正直失敗は許されない。
とはいえ、この冷え込みならスープだけでもよく売れるしそこに食感のいいフォブルが加われば鬼に金棒、オークにこん棒ってね。
材料費で考えると一杯銅貨7枚ほど。
正直儲けとしては少なめだが、うどんの時と同様にトッピングで利益を押し上げたい。
幸い昨日大量にボア肉が持ち込まれたので比較的安く肉でかさまし出来るのだが・・・。
「美味いんだけど、なんか足りないよな。」
「わかる。この前のラーメンみたいにもう少しガッツリ食べたって感じがあればなぁ。」
どちらかというとあっさり系の味なので、もっとパンチが欲しい冒険者には物足りない感じのようだ。
彼らの胃袋をつかむには別の施策が必要なようなので、隠していたもう一つをここで投入するとしよう。
「味に飽きたって人にはこういうのもあるぞ、南方の香草だがなかなか癖のある奴だ。」
「うわ、なんだこれ!臭い!」
「臭いっていうか、刺激がすごいっていうか・・・。」
「そう?私は結構好きだけど。」
「「マジかよ。」」
『パクチム。南方に自生する香草でにおいがきつく虫よけ等に用いられている。しかしながらにおい成分には女性の体を整える成分が豊富に含まれており、好んで食べる女性が後を絶たない。最近の平均取引価格は銅貨5枚。最安値銅貨3枚、最高値銅貨7枚、最終取引日は本日と記録されています。』
元の世界でもどちらかと言えば女性に人気だったような気もするが、どうやらこっちでも人気なようだ。
ものすごい不快そうな顔をしている男性冒険者をよそに、女性は涼しげな顔で大量のパクチムをフォブルと一緒に食べていく。
住民の半分は女性でも、冒険者の大半は男性。
女性受けするのはありがたいがもう少し男性に合わせた何かを考えたいところだが・・・。
「あ、やっぱり出したんだ。」
「エリザか。結構人気だぞ、主に女性には、だけど。」
「私は無理、あの匂いが無理。」
ギルドでの仕事を終え、エリザが様子を見に戻ってきた。
横で美味しそうにパクチムを食べる女性冒険者を見て露骨に嫌な顔をする。
予想通りエリザは男性寄りの味覚のようだ。
まぁ、好みが出るよなぁこれは。
「まぁそういう人もいるな。美味いのは美味いんだが、もう少しがっつり食べたいっていう意見が多いんだ。何かいい案はないか?」
「えー、ガッツリっていったらやっぱりお肉でしょ。」
「もう入ってるっての。」
「こんな薄いのじゃ足りないわよ。もっとこう、分厚いお肉じゃないと。」
それならステーキでも食えばいいじゃないかと思うのだが、そういうのとはまた違うんだろうなぁ。
肉うどん的な感じで甘辛く煮るって手もあるのだが、そういうのとはまた違う気がする。
ベースは鶏がらなので醤油を入れて醤油ラーメン風にするという手もあるのだが、ラーメンとフォブルは似て非なるもの。
なんだかんだ文句を言いながらも美味しそうに渡されたフォブルを食べるエリザをよそに、ハワードと二人で知恵を巡らせる。
スープとして飲むのか、それとも麺類として食べるのか。
それによって考え方が変わってくる。
この冬はもっと寒くなるし手軽に暖をとれる感じでと思っていたのだがなかなか思うようにいかないものだ。
「折角ボア肉がいっぱいありますし、薄味で塊肉を煮込んでみましょうか。」
「ん?ラーメンみたいにか?」
「あれは甘辛く煮ましたけど、こっちはそんなに味付けをしないでもいいと思います。幸い塊肉は屋敷にありますし、明日までお時間いただければ用意できますよ。」
「このままだと大当たりって感じにならないしチャレンジする価値はあるか。肉、まだあったよな。」
「肩ロースの部分が塊であります、その方が脂も少ないので食べやすいかと。」
「よし、それじゃあこっちはエリザとやるからそっちは任せた。」
善は急げだ。
圧力鍋的な物がないので煮込み系にはどうしても時間がかかるが、それでも今から作れば夕食までには間に合うはず。
そこでみんなの意見を聞いて、明日もう一度挑戦してみよう。
この分だと明日はもっと寒くなるだろうし、まだまだ需要はこれからだ。
なんならトッピングの種類を増やしていくという方法もある。
その後も、約束通りリペアと共にやってきたアーロイにフォブルをごちそうして感想をもらう事ができた。
麺が見えないぐらいにパクチムを乗せたリペアにドン引きしていたアーロイだったが、味はお気に召したようで二杯もお代わりを頼まれた。
うーん、いろんな食べ方や好みがあるよなぁ。
万人受けっていうのは難しいしこの辺は割り切るべきだろう。
とにもかくにも冬はすぐそこ、心も体も温める美味しいフォブルはいかがかな?
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◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
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全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
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