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1135.転売屋は脱出する
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反響する魔物の唸り声。
腹の底から響くそれは
ここにいる全員を震え上がらせるのに十分な威力を持っていた。
こんなときベッキーがいれば外の状況を確認してもらえたのだが、それもかなわない。
下手に刺激をしないようこのまま待つしかないんだろうなぁ。
向こうからすればここに俺たちがいることはわかっているものの打つ手がないっていう感じなんだろう。
逆を言えば俺たちも同じで全く打つ手が見当たらない。
ただ小動物のように震えて嵐が去るのを待つしかないんだろう。
後ろから感じる冒険者のおびえたような気配。
何ができるのかと聞かれても何もできないわけだが、何かしなければならないと勝手に思ってしまう。
どうする、確認しに行くべきか?
だが下手に相手を刺激して毒霧を吐かれても困るし、かといってこのまま震えているのにも限界がある。
あまりの恐怖に彼らが暴れださないとも限らないし・・・。
くそ、こんな時に俺に力があれば・・・!なんて映画や漫画なんかでは思うんだろうけど、生憎と俺にはそんな度胸も秘密の力も持ち合わせていない。
なので彼らと同じく震え上がっているしかないわけで。
「ん?声が聞こえなくなった・・・?」
「そういえば。」
「だよな、俺の勘違いじゃないよな?」
さっきまで響いていたうなり声が突然聞こえなくなった。
恐怖で耳がおかしくなったのかとも思ったのだが、後ろの弓師の子にも聞こえないようなので勘違いではないんだろう。
どこかに行ってくれたのならばありがたい話なのだが・・・。
「やれやれ、やっと古巣に戻ってきたと思ったら随分と面倒なことになっておるのぉ、シロウ。」
「この声は!」
「そんな狭いところに隠れとらんと出てくるがいい。まったく我がおらんと何もできんようじゃな。」
聞き間違えじゃない、確かに俺に向かって声をかけてきている。
でもその声の主は本来ここにいるはずがないだけに信じていいのか不安になってしまった。
いや、ここでビビっていたところでなにも変わらないか。
現にあの声は聞こえなくなったわけだし俺は声の主を信じよう。
「様子を見てくる。」
「え、まってください!」
「大丈夫置いて行ったりしないから。」
おびえた小動物のように服の布をつかむ弓師の子に腰にぶら下げたスリングを外してしっかりと握らせる。
他の冒険者もおびえた目を向けてくるが、全員の顔を見回してから小さくうなずき俺はゆっくりと小部屋の外へと続く狭い道へと歩き始める。
外に続く道はおよそ20mほど。
うねうねを続く道をゆっくりと時間をかけて進んでいく。
あの異様な威圧感はもうない。
大丈夫だ。
そう信じて通路の外に足を踏み出す。
「ディーネ!戻って来たんだな。」
「うむ、おぬし等が心配で戻って来た・・・と言いたいところじゃが、まぁ色々あってな。」
「ともかく戻ってきてくれてよかった。」
意を決して通路の外に足を踏み出したその先にいたのは見覚えのある少女。
ディネストリファ。
かつてダンジョンの奥、竜の巣と呼ばれる所に住み着いていた古龍の一人。
本来ならば西方との戦争に出ていてここにいるはずがないのだが、今の口ぶりだと戻ってきたようだ。
何があったのか気になるところだが、それを聞くのは後でもいいだろう。
最悪の状況から最高の助っ人の登場に思わず笑みがこぼれてしまう。
そんな俺を見て同じくこわばった顔をしていたディーネもやっと表情を崩した。
「しかし、しばらくいない間に随分とダンジョンが荒れておるな。なにがあった?」
「わからん、だがいつもと違うってことだけはわかっていたから冒険者と一緒に調査していたところなんだ。ディーネには何が原因かわかるのか?」
「おそらくは魔素の乱れじゃろう。管理するべき者がおらんとこういうことになる。」
「管理するべき者?」
「ここの主がおったじゃろ?あやつの気配を感じん、おそらくはそれが原因じゃ。」
ここの主、ってことはボードの事だろうか。
確かに外をうろつくことはあったが本人がいなくなるというのは聞いたことがない。
何かあったと考えるべきだが神様がどこに行ったとか俺が知るわけもなく。
はぁ、どうしたもんか。
「そんな顔をするな。私が戻ったからには問題ない、異常繁殖しているようなのは元の状態に戻るじゃろう。」
「そうなのか?」
「我も腹が減ったしの。巣でしばし休んだら屋敷に顔を出すからちゃんと甘いものも用意しておくのじゃぞ。」
「お、おぉ。」
「それとここまで来るまでの魔物は全部片づけておいた、じゃから安心して上に戻るがいい。」
そう言うと一人で満足そうに頷いてからゆっくりとダンジョンの奥へと戻ってしまった。
まるで嵐のように現れそして去っていくディーネ。
俺の脳が都合よく見せた幻だったんじゃないかと一瞬思ってしまうが、さっきまでいた場所に滴る血痕がそうでないことを教えてくれる。
そうだ、とりあえず隠れている彼らを呼んでこないと。
「これ、シロウさんがやったんですか?」
「そんなまさか。ディーネが片付けてくれたんだろう。」
彼らを呼び寄せ急いで上に戻ろうかと少し進むと、蛇の尻尾は引きちぎられヤギの頭はつぶされ獅子の口は上下に裂かれるような形でキマイラが絶命していた。
どれだけの力差があればここまでできるのだろうか。
あの可愛らしい少女がやったとは到底思えない残虐な殺し方に恐怖すら感じてしまう。
「ディーネって?」
「ディネストリファ、このダンジョンに住んでいる古龍なんだが知らないのか?」
「知りません。」
「ってことは全員拡張工事の後にここに来たのか。」
「なにかあったんですか?」
「ディーネがどれだけすごい古龍か見せつけられたんだよ。」
草原を埋め尽くす魔物の群れ。
万事休すかと思われたと思われたその時、颯爽と現れたディーネはその実力をまざまざと見せつけた。
それ以降ディーネはこの街の守護者的な存在となったのだが、そうか新しく来た冒険者はそれを知らないんだなぁ。
なるほどなるほど。
「シロウ!」
見た目は無残な死骸だがキマイラなんていう珍しい魔物の素材をみすみす逃す手はない。
ということで各自手分けして剥ぎ取りを行っていると、入り口側からエリザが息を切らして走って来た。
どうやら向こうも無事に片付いたようだ。
けがはしていないようだが、疲労の色は濃い。
処理をキキに任せて急いでここまで来てくれたんだろう。
「お、エリザか。そっちも無事だったみたいだな。」
「ちょっと苦戦したけど何とかね。ねぇ、これシロウがやったの?」
「そんなわけないだろ、ディーネだよ。」
「ディーネが!?でも今は西方にいるんじゃなかったっけ。」
「そのはずだったんだが色々あって戻って来たんだと。でもまぁそのおかげでこうやって助かったわけだが。」
「キマイラ相手じゃどうにもならないもの。でもみんなを連れてちゃんと逃げて偉かったわね。」
「子供かよ。」
まるでルカを褒めるように俺の頭をなでるエリザ。
冒険者の目もあるってのにまったくこの脳筋は。
剥ぎ取りをつづけながらエリザの話を聞くと、やはり下層の方からも大量の魔物が出てきて休憩所は大騒ぎだったらしい。
しかしながらあそこにいたのは百戦錬磨の冒険者ばかり。
襲い来る魔物の群れに臆することもなく、見事砦付近で魔物を食い止めてしまったらしい。
今頃大量の素材を剥ぎとって大騒ぎしていることだろう。
今回の冒険者への依頼料はギルド協会持ちだが素材の買取は基本俺に一任されている。
もちろん冒険者ギルドへの持ち込みもそれなりにあるだろうけど、その大半は俺の所に持ち込まれるはずだ。
それはもう大量に。
それを転売するだけでかなりの利益を得られるわけだが、そこに行くまでには莫大な金とそれなりの時間がかかる。
どう考えても今年中に終わることはないだろうから、来年も年明けからいろいろと忙しくなりそうだ。
まぁ、今回の調査でどれだけの魔物がどのぐらいいるのかというデータはとれるだろうから、それを踏まえた新しい仕入れやも考えなければならない。
大量発生しているようなイレギュラーはあるものの、それも落ち着くだろうとディーネは言っていた。
どうやって元の状態に戻すのかは不明だができるというのだからできるんだろう。
その後、エリザに護衛をしてもらいながら死骸の散らばるダンジョンを上へ上へと昇り最上階へと到着。
外に出ると日はとっくに落ち、満天の星空が俺たちを迎えてくれた。
「そとだぁぁぁぁ!」
「俺、正直あそこで死ぬと思ってたんだ。よかった、マジでよかった。」
「リカ!ちゃんと外に出れたよ!生きてるよね、私ちゃんと生きてるよね!」
「う、うん。」
「あーーーーーよかったぁぁぁぁ!」
真夜中だというのに全身全霊で生を実感する冒険者たち。
俺もほっと一息だ。
だが、大騒ぎする冒険者の中で弓師の子だけ様子がおかしい。
「どうしたんだ?生きて出てこれたんだぞ、うれしくないのか?」
「そそ、そんなことないですよ?でもなんていうか、実感がなくて。」
「あんなことがあったら不安になっちゃうわよね。でも実際生きてるし、こうやってダンジョンの外に出ると今生きてるんだって少しずつ分かるでしょ?それでいいのよ。生きていればどうにかなるの。誰かを喜ばせることもできるし、好きなこともできる。みんなそれをかなえるためにダンジョンに潜ってるんだけど、この気持ちを忘れなければまたこうやって戻ってこれるわ。」
「・・・はい。」
「冒険者嫌になった?」
「そんなことないですけど・・・。」
生きて地上に戻ろう、そう下で話していたがいざそうなると実感がないんだろう。
キマイラの気配を感じた時はマジで死ぬかと思ったしな。
でも実際こうやって生きてるし、生きていればまた金儲けができる。
彼女の夢が何だったかすぐに思い出せないが、それをまたかなえられるというわけだ。
「まぁまぁいいじゃないか、こうやって無事にダンジョンから脱出できたわけだし。それに手元には金になる素材もたんまりあるんだしここはひとつ祝杯を上げようぜ。」
「え、シロウのおごり?」
「もちろん。せっかく生きて戻ったんだしまずは夢の一つだった美味い酒を飲ませてやろうじゃないか。」
「やった!みんな聞いたわね、好きなだけ飲んでいいわよ。」
「お前は加減しろよ?」
「えー、いいじゃない。ほら、皆行くわよ!」
なぜか合流しただけのエリザが大喜びしているがまぁいいだろう。
とにもかくにもあの状況から生きて戻れたんだ、それでいいじゃないか。
弓師の子ももう一人の子に抱き着かれてやっと笑顔を取り戻したようだ。
こうして思わぬ援軍の登場により大量の素材と共に無事ダンジョンから脱出できたのだった。
腹の底から響くそれは
ここにいる全員を震え上がらせるのに十分な威力を持っていた。
こんなときベッキーがいれば外の状況を確認してもらえたのだが、それもかなわない。
下手に刺激をしないようこのまま待つしかないんだろうなぁ。
向こうからすればここに俺たちがいることはわかっているものの打つ手がないっていう感じなんだろう。
逆を言えば俺たちも同じで全く打つ手が見当たらない。
ただ小動物のように震えて嵐が去るのを待つしかないんだろう。
後ろから感じる冒険者のおびえたような気配。
何ができるのかと聞かれても何もできないわけだが、何かしなければならないと勝手に思ってしまう。
どうする、確認しに行くべきか?
だが下手に相手を刺激して毒霧を吐かれても困るし、かといってこのまま震えているのにも限界がある。
あまりの恐怖に彼らが暴れださないとも限らないし・・・。
くそ、こんな時に俺に力があれば・・・!なんて映画や漫画なんかでは思うんだろうけど、生憎と俺にはそんな度胸も秘密の力も持ち合わせていない。
なので彼らと同じく震え上がっているしかないわけで。
「ん?声が聞こえなくなった・・・?」
「そういえば。」
「だよな、俺の勘違いじゃないよな?」
さっきまで響いていたうなり声が突然聞こえなくなった。
恐怖で耳がおかしくなったのかとも思ったのだが、後ろの弓師の子にも聞こえないようなので勘違いではないんだろう。
どこかに行ってくれたのならばありがたい話なのだが・・・。
「やれやれ、やっと古巣に戻ってきたと思ったら随分と面倒なことになっておるのぉ、シロウ。」
「この声は!」
「そんな狭いところに隠れとらんと出てくるがいい。まったく我がおらんと何もできんようじゃな。」
聞き間違えじゃない、確かに俺に向かって声をかけてきている。
でもその声の主は本来ここにいるはずがないだけに信じていいのか不安になってしまった。
いや、ここでビビっていたところでなにも変わらないか。
現にあの声は聞こえなくなったわけだし俺は声の主を信じよう。
「様子を見てくる。」
「え、まってください!」
「大丈夫置いて行ったりしないから。」
おびえた小動物のように服の布をつかむ弓師の子に腰にぶら下げたスリングを外してしっかりと握らせる。
他の冒険者もおびえた目を向けてくるが、全員の顔を見回してから小さくうなずき俺はゆっくりと小部屋の外へと続く狭い道へと歩き始める。
外に続く道はおよそ20mほど。
うねうねを続く道をゆっくりと時間をかけて進んでいく。
あの異様な威圧感はもうない。
大丈夫だ。
そう信じて通路の外に足を踏み出す。
「ディーネ!戻って来たんだな。」
「うむ、おぬし等が心配で戻って来た・・・と言いたいところじゃが、まぁ色々あってな。」
「ともかく戻ってきてくれてよかった。」
意を決して通路の外に足を踏み出したその先にいたのは見覚えのある少女。
ディネストリファ。
かつてダンジョンの奥、竜の巣と呼ばれる所に住み着いていた古龍の一人。
本来ならば西方との戦争に出ていてここにいるはずがないのだが、今の口ぶりだと戻ってきたようだ。
何があったのか気になるところだが、それを聞くのは後でもいいだろう。
最悪の状況から最高の助っ人の登場に思わず笑みがこぼれてしまう。
そんな俺を見て同じくこわばった顔をしていたディーネもやっと表情を崩した。
「しかし、しばらくいない間に随分とダンジョンが荒れておるな。なにがあった?」
「わからん、だがいつもと違うってことだけはわかっていたから冒険者と一緒に調査していたところなんだ。ディーネには何が原因かわかるのか?」
「おそらくは魔素の乱れじゃろう。管理するべき者がおらんとこういうことになる。」
「管理するべき者?」
「ここの主がおったじゃろ?あやつの気配を感じん、おそらくはそれが原因じゃ。」
ここの主、ってことはボードの事だろうか。
確かに外をうろつくことはあったが本人がいなくなるというのは聞いたことがない。
何かあったと考えるべきだが神様がどこに行ったとか俺が知るわけもなく。
はぁ、どうしたもんか。
「そんな顔をするな。私が戻ったからには問題ない、異常繁殖しているようなのは元の状態に戻るじゃろう。」
「そうなのか?」
「我も腹が減ったしの。巣でしばし休んだら屋敷に顔を出すからちゃんと甘いものも用意しておくのじゃぞ。」
「お、おぉ。」
「それとここまで来るまでの魔物は全部片づけておいた、じゃから安心して上に戻るがいい。」
そう言うと一人で満足そうに頷いてからゆっくりとダンジョンの奥へと戻ってしまった。
まるで嵐のように現れそして去っていくディーネ。
俺の脳が都合よく見せた幻だったんじゃないかと一瞬思ってしまうが、さっきまでいた場所に滴る血痕がそうでないことを教えてくれる。
そうだ、とりあえず隠れている彼らを呼んでこないと。
「これ、シロウさんがやったんですか?」
「そんなまさか。ディーネが片付けてくれたんだろう。」
彼らを呼び寄せ急いで上に戻ろうかと少し進むと、蛇の尻尾は引きちぎられヤギの頭はつぶされ獅子の口は上下に裂かれるような形でキマイラが絶命していた。
どれだけの力差があればここまでできるのだろうか。
あの可愛らしい少女がやったとは到底思えない残虐な殺し方に恐怖すら感じてしまう。
「ディーネって?」
「ディネストリファ、このダンジョンに住んでいる古龍なんだが知らないのか?」
「知りません。」
「ってことは全員拡張工事の後にここに来たのか。」
「なにかあったんですか?」
「ディーネがどれだけすごい古龍か見せつけられたんだよ。」
草原を埋め尽くす魔物の群れ。
万事休すかと思われたと思われたその時、颯爽と現れたディーネはその実力をまざまざと見せつけた。
それ以降ディーネはこの街の守護者的な存在となったのだが、そうか新しく来た冒険者はそれを知らないんだなぁ。
なるほどなるほど。
「シロウ!」
見た目は無残な死骸だがキマイラなんていう珍しい魔物の素材をみすみす逃す手はない。
ということで各自手分けして剥ぎ取りを行っていると、入り口側からエリザが息を切らして走って来た。
どうやら向こうも無事に片付いたようだ。
けがはしていないようだが、疲労の色は濃い。
処理をキキに任せて急いでここまで来てくれたんだろう。
「お、エリザか。そっちも無事だったみたいだな。」
「ちょっと苦戦したけど何とかね。ねぇ、これシロウがやったの?」
「そんなわけないだろ、ディーネだよ。」
「ディーネが!?でも今は西方にいるんじゃなかったっけ。」
「そのはずだったんだが色々あって戻って来たんだと。でもまぁそのおかげでこうやって助かったわけだが。」
「キマイラ相手じゃどうにもならないもの。でもみんなを連れてちゃんと逃げて偉かったわね。」
「子供かよ。」
まるでルカを褒めるように俺の頭をなでるエリザ。
冒険者の目もあるってのにまったくこの脳筋は。
剥ぎ取りをつづけながらエリザの話を聞くと、やはり下層の方からも大量の魔物が出てきて休憩所は大騒ぎだったらしい。
しかしながらあそこにいたのは百戦錬磨の冒険者ばかり。
襲い来る魔物の群れに臆することもなく、見事砦付近で魔物を食い止めてしまったらしい。
今頃大量の素材を剥ぎとって大騒ぎしていることだろう。
今回の冒険者への依頼料はギルド協会持ちだが素材の買取は基本俺に一任されている。
もちろん冒険者ギルドへの持ち込みもそれなりにあるだろうけど、その大半は俺の所に持ち込まれるはずだ。
それはもう大量に。
それを転売するだけでかなりの利益を得られるわけだが、そこに行くまでには莫大な金とそれなりの時間がかかる。
どう考えても今年中に終わることはないだろうから、来年も年明けからいろいろと忙しくなりそうだ。
まぁ、今回の調査でどれだけの魔物がどのぐらいいるのかというデータはとれるだろうから、それを踏まえた新しい仕入れやも考えなければならない。
大量発生しているようなイレギュラーはあるものの、それも落ち着くだろうとディーネは言っていた。
どうやって元の状態に戻すのかは不明だができるというのだからできるんだろう。
その後、エリザに護衛をしてもらいながら死骸の散らばるダンジョンを上へ上へと昇り最上階へと到着。
外に出ると日はとっくに落ち、満天の星空が俺たちを迎えてくれた。
「そとだぁぁぁぁ!」
「俺、正直あそこで死ぬと思ってたんだ。よかった、マジでよかった。」
「リカ!ちゃんと外に出れたよ!生きてるよね、私ちゃんと生きてるよね!」
「う、うん。」
「あーーーーーよかったぁぁぁぁ!」
真夜中だというのに全身全霊で生を実感する冒険者たち。
俺もほっと一息だ。
だが、大騒ぎする冒険者の中で弓師の子だけ様子がおかしい。
「どうしたんだ?生きて出てこれたんだぞ、うれしくないのか?」
「そそ、そんなことないですよ?でもなんていうか、実感がなくて。」
「あんなことがあったら不安になっちゃうわよね。でも実際生きてるし、こうやってダンジョンの外に出ると今生きてるんだって少しずつ分かるでしょ?それでいいのよ。生きていればどうにかなるの。誰かを喜ばせることもできるし、好きなこともできる。みんなそれをかなえるためにダンジョンに潜ってるんだけど、この気持ちを忘れなければまたこうやって戻ってこれるわ。」
「・・・はい。」
「冒険者嫌になった?」
「そんなことないですけど・・・。」
生きて地上に戻ろう、そう下で話していたがいざそうなると実感がないんだろう。
キマイラの気配を感じた時はマジで死ぬかと思ったしな。
でも実際こうやって生きてるし、生きていればまた金儲けができる。
彼女の夢が何だったかすぐに思い出せないが、それをまたかなえられるというわけだ。
「まぁまぁいいじゃないか、こうやって無事にダンジョンから脱出できたわけだし。それに手元には金になる素材もたんまりあるんだしここはひとつ祝杯を上げようぜ。」
「え、シロウのおごり?」
「もちろん。せっかく生きて戻ったんだしまずは夢の一つだった美味い酒を飲ませてやろうじゃないか。」
「やった!みんな聞いたわね、好きなだけ飲んでいいわよ。」
「お前は加減しろよ?」
「えー、いいじゃない。ほら、皆行くわよ!」
なぜか合流しただけのエリザが大喜びしているがまぁいいだろう。
とにもかくにもあの状況から生きて戻れたんだ、それでいいじゃないか。
弓師の子ももう一人の子に抱き着かれてやっと笑顔を取り戻したようだ。
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