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1645.転売屋は貯金箱を売る
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「シロウさん、マジ金たまんないんですけど何か仕事ありませんか?」
いつものように店番をしていると、買取を終えた冒険者から切実なお願いをされてしまった。
最初は何を馬鹿な事言ってんだと思ったのだが本人はいたって真剣そのもの、仕方なく思いつく限りのことを言って現実を突きつけておこう。
「とりあえず飲むのを辞めたらいいんじゃないか?」
「無理です。」
「じゃあ金を持たなければいい、誰かに預けるとか隠すとかすればいずれ貯まるだろ。」
「そいつが使ったり盗まれたりしたらたまらないじゃないですか!」
「ならあきらめろ、お前は一生金がたまらん。」
あぁ言えばこういうじゃないけれど、人が親切に助言しているのを真っ向から反論してくる奴にこれ以上の話は必要ない。
まったく、困ったやつだ。
手元にあるから使うのであって手元になければ使わない、じゃあ預けるなりなんなりすればいいんだが実際それをやるやつは一人もいない。
というのもこの世界には銀行的なものがなく、せいぜいギルドが一時的に保管している程度。
商業系のギルドなんかは報酬を保管しておいてくれるらしいけれど元の世界のようにそれで運営したりしているわけではないそうだ。
一般住民も基本は自宅保管もしくは持ち歩き、そのため空き巣が心配になるのだが隣近所の連携が強いのでよそ者が来るとすぐにわかるのかそこまで問題にはならないらしい。
じゃあ定住を持たないことの多い冒険者ギルドはどうなのかというと、報酬の一時保管以外にお金を預かることはしていない。
一番の冒険者に文句を言われるのがめんどくさいからなのだが、もう一つは彼らの死亡率が関係している。
お金を預けたまま亡くなってしまった場合にどうするのかという問題にもなるし、一定期間受け取りに来なかったら接収とかにしてしまうとあちらこちら移動して戻ってきたときになくなっていたなんて言う事にもなりかねない。
つまり扱いに非常に困るんだ。
ギルドとしても自由に使えない金を放置されてもトラブルのもとになるので銀行のような預かりをやっていないっていうのが現状だな。
結局常に手元に金を置いておくしかできず、結果として散在してしまうというわけだ。
まぁ、俺みたいな商売人からすればあればあるだけ使ってくれる冒険者は非常にありがたい存在なのだが、それをすると高価なものが売れなくなってしまうので出来れば貯金してほしいところだ。
「次の客が待ってるからさっさと向こうに行け。それじゃあ次、番号7番来てくれ。」
文句を言う冒険者をさっさと追い出し次の客を迎え入れる。
やってきたのは季節に反した分厚いローブになんとも暗い顔をした少女だった。
「これ、買えますか?」
「とりあえず見てからになるが・・・暑くないのか?」
「暑いです。でも師匠が脱ぐなって。」
「他人がどうこう言えるもんじゃないからあれだが、水分と塩分はしっかりとな。」
「塩分タブレットのおかげで助かってます、ありがとうございます。」
どうやらうちの商品を使ってくれているらしい、それだけで甘い査定をしてしまいそうになるがこれは仕事なのでその辺はしっかりと線引きする・・・つもりだ。
少女がカウンターの上に置いたのは銀色の筒。
音的に金属製だと思うんだが、元の世界で言う桃缶とかそんな感じの大きさをしている。
『ブリキンドールの呪箱。呪術によって動くブリキンドールが稀に残す箱は、一度蓋をすると解呪をしない限り開けることはできないが、蓋をしなければ呪いは発動しないため蓋を切り抜いておくことが多い。最近の平均取引価格は銅貨44枚、最安値銅貨29枚、最高値銅貨61枚、最終取引日は74日前と記録されています。』
ブリキンドール、その名の通りブリキのおもちゃのような人形型の魔物。
ガチャガチャと音を立てながら様々な道具を手にダンジョン内を徘徊していることが多く、そのうちの一つがこの呪箱。
中に物を入れて蓋を閉めると解呪しない限り開けることはできない。
解呪することはできるがそれにも金がかかるため、大抵は蓋を開けたままこうして売られるか鉄材として再利用される。
昔は叩いても壊れないからとこれを使って物のやり取りをしていたらしいが、いちいち解呪しなければならないためすぐに使われなくなったと本で読んだことがある。
自分で解呪ができるなら便利かもしれないけれどわざわざこれを使わなくても今はいくらでも輸送できるからなぁ。
その最高峰がバーンの高速輸送、いつも迅速丁寧にお届けしますってね。
カウンターの上に並んだのは全部で13個、買い取っても鉄材として売るしかないんだよなぁ。
「なんでこればっかり持ってきたんだ?」
「師匠が好きで集めるんですけど、さすがに数がたまりすぎたので売って来いって。」
「集める理由があるのか?」
「昔にこの呪箱の中から魔道具が出てきたことからそれを狙って今でも集めているらしいんですけど、そんなの今まで見たことないです。」
そういううわさは確かに聞いたことあるけれどそもそも蓋の空いた状態で回収されるから魔道具なんて入ってないと思うんだがなぁ。
考えられるのは大事なものだからと間違ってそれを入れて蓋をしたパターンだな、その結果開けられなくていつまでも入ったままとか。
解呪で開けられるって知らないやつもいるだろうしその可能性はゼロじゃない。
まぁこれに関しては全部蓋が空いているのでそういうギャンブルもできないわけだが。
「一つ銅貨20枚でならまぁ買わないこともない。」
「それでお願いします。」
「いいのか?」
「まだまだありますし、それだけあれば今日は美味しいご飯が食べられそうです。」
中々苦労しているんだろうけど買取価格に関してはこれ以上上げられないので、代わりにもらったばかりの夏野菜をいくつか押し付けておいた。
あの巨大なやつの引き取り手が中々見つからなくて困っていたんだ。
呪箱の代わりに巨大な野菜を抱えて少女は店を後にした。
さて、そろそろいい時間か。
とりあえず残った査定を全て終わらせてから昼休憩に入る。
早々に飯を食い終えた俺は残った時間を使って先程買い取った呪箱を一つカウンターの上に置いた。
「いかがされました?」
「いや、これで面白い物が作れないかなって思ってな。」
「といいますと?」
「冒険者が金がたまらないたまらないってうるさかっただろ?なら無理やりでも貯められる物を作ってみようかと思ってな。確かこいつは蓋さえ閉めなかったら加工できたはず、だからここをこうしてっと。」
蓋を閉めなければ加工は容易、ってことで蓋の真ん中部分にナイフを差し込み少しずつ押し込んで切れ目を広げていく。
ある程度広げたところで銀貨を投入・・・まだ小さいな。
もう少し広げて今度は銅貨を投入・・・お、入った。
硬貨の太さは若干銅貨の方が太めなのでこれが入ればどっちも入る。
最後に中身を取り出してから蓋を閉めると呪いが発動して蓋が開かなくなった。
「おぉ、本当に蓋が開かない。面白いな。」
「小さいながらも素晴らしい呪術がかかっておりますな、これはアティナ殿のハンマーでも壊れませんぞ。」
「つまり叩いても壊せず開けるには金を払って解呪してもらうしかないわけだ、こりゃいいや。」
「これをどうするおつもりなのです?」
「これをこうして、こうすると・・・。」
銅貨を取り出し呪箱のふたにあけた穴に投入、するんと穴を通り抜け箱の中でいい感じの音が木霊する。
ジンの時と違って振るとちゃんと入っているのがわかるのがいいよな。
そう、今作っていたのは貯金箱。
銀行がないのであれば自分で貯めるしかない、でもすぐに開けられるようなものでは金が溜まるはずもない。
ならばすぐに開けられないようにしてしまえば必然的に金はたまっていくんじゃなかろうか。
もちろん盗難のリスクもあるだろうけど、開けたものの中身が全て銅貨だったら向こうは大損なので中身を確認できない以上そこまでのリスクをかけて盗もうとするやつは少ないだろう。
「なるほどお金を貯めるための箱を作るわけですな。」
「いっぱいになった箱を開ける場合のみ解呪料は無料とかにすればやる気も出てくるだろうし、なにより金をためる喜びを楽しんでもらえることだろう。たまっていくたびに重たくなる貯金箱、あの喜びを一度でも知ると中々忘れられないもんだ。」
「ですが、これをわざわざ買いますか?」
「まぁ、普通にするだけじゃ売れないだろうな。」
そう、金をためる道具を作ってもそれを買わなければ始まらない。
わざわざ金を払って金をためようとするやつは少ないが、そこは売り方次第でどうにかなるはずだ。
【お金が貯まる】とだけ言っても彼らは興味を持たないだろう、だが【いい装備が手に入る】【美味い酒が飲める】【金貨を手に入れられる】とかなんとか、言い方を変えてやれば興味を持つやつも出てくるはず。
【行為】ではなく【結果】に魅力を感じさせることで同じものでも新しい価値を与えることができる、言葉ってのはほんと面白いものだ。
実際お金を貯めることで、いい装備を買う金が貯まるわけだし美味い酒も飲めるだろう。
銀貨を100枚投入すれば金貨を手に入れる事だって可能、決してうそをついているわけじゃない。
結果を出すためには過程が必要、そこに関しては彼らに頑張ってもらうよりほかないが案外気に入ってくれるかもしれない。
さっきの話じゃ在庫はまだまだあるようだからある程度売れたら補充をかけさせてもらおう。
誰が持っているかはわからないけれどこの暑さであのローブを着ている師弟ともなれば案外すぐに見つかるはずだ。
早速その日の昼営業に【貯金箱】と書いた札を挿して置いてみたのだが、まぁ予想通り誰も反応することはなかった。
今度は【欲しい物が買える魔法の箱】と文言を替えたとたん、最初に来た客がこれを指さして話しかけてくる。
うーむ、キャッチコピーってホント大切なんだなぁ。
「毎度あり、しっかり貯めろよ。銅貨じゃなくて銀貨入れなきゃ意味ないからな。」
「入れられるように頑張って稼ぎます!」
その日の夕方には全部で5つ貯金箱を販売することが出来た。
価格はズバリ銀貨1枚、ただ呪箱に穴をあけただけで5倍の値段で売れるんだから世の中わからないものだ。
このペースで行くと明日には売れてしまうので売りに来てくれたあのローブの少女についても冒険者ギルドに確認、どうやら登録があったのでアポを取ってもらえるようにお願いしてある。
これで浪費家の冒険者が少しは金を貯めてくれるといいんだが、果たして結果やいかに。
いつものように店番をしていると、買取を終えた冒険者から切実なお願いをされてしまった。
最初は何を馬鹿な事言ってんだと思ったのだが本人はいたって真剣そのもの、仕方なく思いつく限りのことを言って現実を突きつけておこう。
「とりあえず飲むのを辞めたらいいんじゃないか?」
「無理です。」
「じゃあ金を持たなければいい、誰かに預けるとか隠すとかすればいずれ貯まるだろ。」
「そいつが使ったり盗まれたりしたらたまらないじゃないですか!」
「ならあきらめろ、お前は一生金がたまらん。」
あぁ言えばこういうじゃないけれど、人が親切に助言しているのを真っ向から反論してくる奴にこれ以上の話は必要ない。
まったく、困ったやつだ。
手元にあるから使うのであって手元になければ使わない、じゃあ預けるなりなんなりすればいいんだが実際それをやるやつは一人もいない。
というのもこの世界には銀行的なものがなく、せいぜいギルドが一時的に保管している程度。
商業系のギルドなんかは報酬を保管しておいてくれるらしいけれど元の世界のようにそれで運営したりしているわけではないそうだ。
一般住民も基本は自宅保管もしくは持ち歩き、そのため空き巣が心配になるのだが隣近所の連携が強いのでよそ者が来るとすぐにわかるのかそこまで問題にはならないらしい。
じゃあ定住を持たないことの多い冒険者ギルドはどうなのかというと、報酬の一時保管以外にお金を預かることはしていない。
一番の冒険者に文句を言われるのがめんどくさいからなのだが、もう一つは彼らの死亡率が関係している。
お金を預けたまま亡くなってしまった場合にどうするのかという問題にもなるし、一定期間受け取りに来なかったら接収とかにしてしまうとあちらこちら移動して戻ってきたときになくなっていたなんて言う事にもなりかねない。
つまり扱いに非常に困るんだ。
ギルドとしても自由に使えない金を放置されてもトラブルのもとになるので銀行のような預かりをやっていないっていうのが現状だな。
結局常に手元に金を置いておくしかできず、結果として散在してしまうというわけだ。
まぁ、俺みたいな商売人からすればあればあるだけ使ってくれる冒険者は非常にありがたい存在なのだが、それをすると高価なものが売れなくなってしまうので出来れば貯金してほしいところだ。
「次の客が待ってるからさっさと向こうに行け。それじゃあ次、番号7番来てくれ。」
文句を言う冒険者をさっさと追い出し次の客を迎え入れる。
やってきたのは季節に反した分厚いローブになんとも暗い顔をした少女だった。
「これ、買えますか?」
「とりあえず見てからになるが・・・暑くないのか?」
「暑いです。でも師匠が脱ぐなって。」
「他人がどうこう言えるもんじゃないからあれだが、水分と塩分はしっかりとな。」
「塩分タブレットのおかげで助かってます、ありがとうございます。」
どうやらうちの商品を使ってくれているらしい、それだけで甘い査定をしてしまいそうになるがこれは仕事なのでその辺はしっかりと線引きする・・・つもりだ。
少女がカウンターの上に置いたのは銀色の筒。
音的に金属製だと思うんだが、元の世界で言う桃缶とかそんな感じの大きさをしている。
『ブリキンドールの呪箱。呪術によって動くブリキンドールが稀に残す箱は、一度蓋をすると解呪をしない限り開けることはできないが、蓋をしなければ呪いは発動しないため蓋を切り抜いておくことが多い。最近の平均取引価格は銅貨44枚、最安値銅貨29枚、最高値銅貨61枚、最終取引日は74日前と記録されています。』
ブリキンドール、その名の通りブリキのおもちゃのような人形型の魔物。
ガチャガチャと音を立てながら様々な道具を手にダンジョン内を徘徊していることが多く、そのうちの一つがこの呪箱。
中に物を入れて蓋を閉めると解呪しない限り開けることはできない。
解呪することはできるがそれにも金がかかるため、大抵は蓋を開けたままこうして売られるか鉄材として再利用される。
昔は叩いても壊れないからとこれを使って物のやり取りをしていたらしいが、いちいち解呪しなければならないためすぐに使われなくなったと本で読んだことがある。
自分で解呪ができるなら便利かもしれないけれどわざわざこれを使わなくても今はいくらでも輸送できるからなぁ。
その最高峰がバーンの高速輸送、いつも迅速丁寧にお届けしますってね。
カウンターの上に並んだのは全部で13個、買い取っても鉄材として売るしかないんだよなぁ。
「なんでこればっかり持ってきたんだ?」
「師匠が好きで集めるんですけど、さすがに数がたまりすぎたので売って来いって。」
「集める理由があるのか?」
「昔にこの呪箱の中から魔道具が出てきたことからそれを狙って今でも集めているらしいんですけど、そんなの今まで見たことないです。」
そういううわさは確かに聞いたことあるけれどそもそも蓋の空いた状態で回収されるから魔道具なんて入ってないと思うんだがなぁ。
考えられるのは大事なものだからと間違ってそれを入れて蓋をしたパターンだな、その結果開けられなくていつまでも入ったままとか。
解呪で開けられるって知らないやつもいるだろうしその可能性はゼロじゃない。
まぁこれに関しては全部蓋が空いているのでそういうギャンブルもできないわけだが。
「一つ銅貨20枚でならまぁ買わないこともない。」
「それでお願いします。」
「いいのか?」
「まだまだありますし、それだけあれば今日は美味しいご飯が食べられそうです。」
中々苦労しているんだろうけど買取価格に関してはこれ以上上げられないので、代わりにもらったばかりの夏野菜をいくつか押し付けておいた。
あの巨大なやつの引き取り手が中々見つからなくて困っていたんだ。
呪箱の代わりに巨大な野菜を抱えて少女は店を後にした。
さて、そろそろいい時間か。
とりあえず残った査定を全て終わらせてから昼休憩に入る。
早々に飯を食い終えた俺は残った時間を使って先程買い取った呪箱を一つカウンターの上に置いた。
「いかがされました?」
「いや、これで面白い物が作れないかなって思ってな。」
「といいますと?」
「冒険者が金がたまらないたまらないってうるさかっただろ?なら無理やりでも貯められる物を作ってみようかと思ってな。確かこいつは蓋さえ閉めなかったら加工できたはず、だからここをこうしてっと。」
蓋を閉めなければ加工は容易、ってことで蓋の真ん中部分にナイフを差し込み少しずつ押し込んで切れ目を広げていく。
ある程度広げたところで銀貨を投入・・・まだ小さいな。
もう少し広げて今度は銅貨を投入・・・お、入った。
硬貨の太さは若干銅貨の方が太めなのでこれが入ればどっちも入る。
最後に中身を取り出してから蓋を閉めると呪いが発動して蓋が開かなくなった。
「おぉ、本当に蓋が開かない。面白いな。」
「小さいながらも素晴らしい呪術がかかっておりますな、これはアティナ殿のハンマーでも壊れませんぞ。」
「つまり叩いても壊せず開けるには金を払って解呪してもらうしかないわけだ、こりゃいいや。」
「これをどうするおつもりなのです?」
「これをこうして、こうすると・・・。」
銅貨を取り出し呪箱のふたにあけた穴に投入、するんと穴を通り抜け箱の中でいい感じの音が木霊する。
ジンの時と違って振るとちゃんと入っているのがわかるのがいいよな。
そう、今作っていたのは貯金箱。
銀行がないのであれば自分で貯めるしかない、でもすぐに開けられるようなものでは金が溜まるはずもない。
ならばすぐに開けられないようにしてしまえば必然的に金はたまっていくんじゃなかろうか。
もちろん盗難のリスクもあるだろうけど、開けたものの中身が全て銅貨だったら向こうは大損なので中身を確認できない以上そこまでのリスクをかけて盗もうとするやつは少ないだろう。
「なるほどお金を貯めるための箱を作るわけですな。」
「いっぱいになった箱を開ける場合のみ解呪料は無料とかにすればやる気も出てくるだろうし、なにより金をためる喜びを楽しんでもらえることだろう。たまっていくたびに重たくなる貯金箱、あの喜びを一度でも知ると中々忘れられないもんだ。」
「ですが、これをわざわざ買いますか?」
「まぁ、普通にするだけじゃ売れないだろうな。」
そう、金をためる道具を作ってもそれを買わなければ始まらない。
わざわざ金を払って金をためようとするやつは少ないが、そこは売り方次第でどうにかなるはずだ。
【お金が貯まる】とだけ言っても彼らは興味を持たないだろう、だが【いい装備が手に入る】【美味い酒が飲める】【金貨を手に入れられる】とかなんとか、言い方を変えてやれば興味を持つやつも出てくるはず。
【行為】ではなく【結果】に魅力を感じさせることで同じものでも新しい価値を与えることができる、言葉ってのはほんと面白いものだ。
実際お金を貯めることで、いい装備を買う金が貯まるわけだし美味い酒も飲めるだろう。
銀貨を100枚投入すれば金貨を手に入れる事だって可能、決してうそをついているわけじゃない。
結果を出すためには過程が必要、そこに関しては彼らに頑張ってもらうよりほかないが案外気に入ってくれるかもしれない。
さっきの話じゃ在庫はまだまだあるようだからある程度売れたら補充をかけさせてもらおう。
誰が持っているかはわからないけれどこの暑さであのローブを着ている師弟ともなれば案外すぐに見つかるはずだ。
早速その日の昼営業に【貯金箱】と書いた札を挿して置いてみたのだが、まぁ予想通り誰も反応することはなかった。
今度は【欲しい物が買える魔法の箱】と文言を替えたとたん、最初に来た客がこれを指さして話しかけてくる。
うーむ、キャッチコピーってホント大切なんだなぁ。
「毎度あり、しっかり貯めろよ。銅貨じゃなくて銀貨入れなきゃ意味ないからな。」
「入れられるように頑張って稼ぎます!」
その日の夕方には全部で5つ貯金箱を販売することが出来た。
価格はズバリ銀貨1枚、ただ呪箱に穴をあけただけで5倍の値段で売れるんだから世の中わからないものだ。
このペースで行くと明日には売れてしまうので売りに来てくれたあのローブの少女についても冒険者ギルドに確認、どうやら登録があったのでアポを取ってもらえるようにお願いしてある。
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