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7、素
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「情報屋さん、僕が第1王子のロイ・ユリオプステージだよ。よろしくね。」
「はい。よろしくお願いします。」
普通の人なら倒れてもおかしくない程の美貌をこちらに向けられて、なお倒れないのは零のおかげだな。
零は子供の頃拾ってから育てるまで美が輝いてきた。依頼で連れて行ってもその美貌で倒れる依頼者が続出して零は必要なかったのだが人前に出る時はフードをつけるようになった。
「わぁ、僕の顔みて倒れないのは初めてだよ。さすが一流の情報屋。」
第1王子は子供のように声を弾ませながら言った。
「お褒めの言葉、ありがとうございます」
最低限の返事だけする。この第1王子は情報がなくしかもこの人を油断させるしゃべり方だ。警戒を強めるのは当たり前だろう。
ふと第1王子の後ろにいる宰相を見ると俺を無意識か尊敬した目で見ていた。さっきまで噂通りの冷酷な瞳をしていたが今はなんだか真反対の瞳をしている。これが素なんじゃないか?そう疑りをかけていたがその疑りは正解だということに早くたどり着いた。
「リック、素が出てるよ。もう予想外のことがおきると出ちゃうんだから。」
第1王子が宰相をからかったからだ。これを自分から俺のような怪しいやつの目の前でばらすのはよほどの天才か、よほどの馬鹿だ。馬鹿と天才は紙一重だっていうのはあながち間違っていないかもしれないな。
「ちょっ王子!やめて下さいよっ!あっ…」
宰相は第1王子のそんなからかいに真っ赤に顔を赤らめて第1王子に苦言を言っていた。そしてこちらがいることに気が付いたらしく一瞬で顔が青ざめた。2人の会話を満面の笑みで見ていた。俺はやはりそうだったのか…睨んだ通りだったなと心の中でほくそ笑んでいた。
「情報屋、もうバラしますけどこれが素です。だれにも言わないで下さいよ!」
宰相にそう言われたが黙ってる程お人好しじゃない。
「では、口止め料をもらいましょうか。」
交渉に入った。これはいい情報が手に入ったな。
「あはは、情報屋さんの性格嫌いじゃないよ。でもねもし口止め料より高い値段を払ってでも宰相の秘密を買おうとするやつがいたらどうすんの。」
「そしたら売ります。」
当たり前だ。こっちは商売でやっているんだ。
「じゃあなんだけど僕がその情報を永遠に買うよ。君の秘密でね。」
…っ、どこで俺の秘密を!俺が混乱していると第1王子は表情を変えず口を開いた。
「情報屋さんって宰相同様、素が違うでしょ。頬が引きつったような笑い方をしてるよ。」
第1王子はベットで膝を曲げてニヤと笑った。美貌の分、俺の狂気と言われる笑いにも匹敵する笑いだった。これは零の怒った時の笑いに似ているな。前に油断して大怪我で帰ってきた時の笑顔がものすごく怖かったのを覚えている。
「なんのことでしょう。」
俺は冷汗をかきながら今できる最高の笑顔をした。俺の素に関してはどうでもいいと思うものも多いだろう。だが情報屋にとっては大切なことだ。素を見破られたとなれば信用が失われる。
「ほらひきつってる。違うならこの情報流しちゃってもいいよね。」
第1王子は余裕な笑みで指をくるくると回した。この余裕さだと広める方法も用意してあると考えた方がいいだろう。
「潔く認めなよ。」
こちらには証拠もあるがあちらには証拠がない。しらをきれば大丈夫のはずだ。
「ですが、そちらも同じ状態ですよ」
俺は少し焦ってしまったがあっち側も同じ状態だ。
「まぁ確かにね。こっちはリックが素を隠しているということの裏が取れた。だからこっちも裏を取らなきゃいけないんだよ。早く認めてくれない?」
焦ることない。同じ状態ではなくこっちの方が有利だ。こういう取引が苦手で最近は零に任せていたからか指摘させるまで気が付かなかった。
「これが私の素です」
俺は主張を変えない。そんな俺に第1王子はわざとらしくため息をつく。
「はぁ、しょうがないなぁ。情報屋さんはこれから仲間になるからあまりこういう方法は使いたくなかったがしょうがないね。リックお願い。」
第1王子がそう言うと宰相は後ろに控えていたが「はい」と言い前に出てきた。それに俺は警戒し身構える。宰相と第1王子を交互に警戒する。
「情報屋さん、大丈夫だよ。何もしないから。ちょっと見るだけだからね。」
「はい。よろしくお願いします。」
普通の人なら倒れてもおかしくない程の美貌をこちらに向けられて、なお倒れないのは零のおかげだな。
零は子供の頃拾ってから育てるまで美が輝いてきた。依頼で連れて行ってもその美貌で倒れる依頼者が続出して零は必要なかったのだが人前に出る時はフードをつけるようになった。
「わぁ、僕の顔みて倒れないのは初めてだよ。さすが一流の情報屋。」
第1王子は子供のように声を弾ませながら言った。
「お褒めの言葉、ありがとうございます」
最低限の返事だけする。この第1王子は情報がなくしかもこの人を油断させるしゃべり方だ。警戒を強めるのは当たり前だろう。
ふと第1王子の後ろにいる宰相を見ると俺を無意識か尊敬した目で見ていた。さっきまで噂通りの冷酷な瞳をしていたが今はなんだか真反対の瞳をしている。これが素なんじゃないか?そう疑りをかけていたがその疑りは正解だということに早くたどり着いた。
「リック、素が出てるよ。もう予想外のことがおきると出ちゃうんだから。」
第1王子が宰相をからかったからだ。これを自分から俺のような怪しいやつの目の前でばらすのはよほどの天才か、よほどの馬鹿だ。馬鹿と天才は紙一重だっていうのはあながち間違っていないかもしれないな。
「ちょっ王子!やめて下さいよっ!あっ…」
宰相は第1王子のそんなからかいに真っ赤に顔を赤らめて第1王子に苦言を言っていた。そしてこちらがいることに気が付いたらしく一瞬で顔が青ざめた。2人の会話を満面の笑みで見ていた。俺はやはりそうだったのか…睨んだ通りだったなと心の中でほくそ笑んでいた。
「情報屋、もうバラしますけどこれが素です。だれにも言わないで下さいよ!」
宰相にそう言われたが黙ってる程お人好しじゃない。
「では、口止め料をもらいましょうか。」
交渉に入った。これはいい情報が手に入ったな。
「あはは、情報屋さんの性格嫌いじゃないよ。でもねもし口止め料より高い値段を払ってでも宰相の秘密を買おうとするやつがいたらどうすんの。」
「そしたら売ります。」
当たり前だ。こっちは商売でやっているんだ。
「じゃあなんだけど僕がその情報を永遠に買うよ。君の秘密でね。」
…っ、どこで俺の秘密を!俺が混乱していると第1王子は表情を変えず口を開いた。
「情報屋さんって宰相同様、素が違うでしょ。頬が引きつったような笑い方をしてるよ。」
第1王子はベットで膝を曲げてニヤと笑った。美貌の分、俺の狂気と言われる笑いにも匹敵する笑いだった。これは零の怒った時の笑いに似ているな。前に油断して大怪我で帰ってきた時の笑顔がものすごく怖かったのを覚えている。
「なんのことでしょう。」
俺は冷汗をかきながら今できる最高の笑顔をした。俺の素に関してはどうでもいいと思うものも多いだろう。だが情報屋にとっては大切なことだ。素を見破られたとなれば信用が失われる。
「ほらひきつってる。違うならこの情報流しちゃってもいいよね。」
第1王子は余裕な笑みで指をくるくると回した。この余裕さだと広める方法も用意してあると考えた方がいいだろう。
「潔く認めなよ。」
こちらには証拠もあるがあちらには証拠がない。しらをきれば大丈夫のはずだ。
「ですが、そちらも同じ状態ですよ」
俺は少し焦ってしまったがあっち側も同じ状態だ。
「まぁ確かにね。こっちはリックが素を隠しているということの裏が取れた。だからこっちも裏を取らなきゃいけないんだよ。早く認めてくれない?」
焦ることない。同じ状態ではなくこっちの方が有利だ。こういう取引が苦手で最近は零に任せていたからか指摘させるまで気が付かなかった。
「これが私の素です」
俺は主張を変えない。そんな俺に第1王子はわざとらしくため息をつく。
「はぁ、しょうがないなぁ。情報屋さんはこれから仲間になるからあまりこういう方法は使いたくなかったがしょうがないね。リックお願い。」
第1王子がそう言うと宰相は後ろに控えていたが「はい」と言い前に出てきた。それに俺は警戒し身構える。宰相と第1王子を交互に警戒する。
「情報屋さん、大丈夫だよ。何もしないから。ちょっと見るだけだからね。」
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