『幸せ』を掴むまで

峠 凪

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第 2 章

11, 誘拐〔 Ⅱ 〕

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 目が覚めてから今までフォスフィライト家で過ごしていた日々が夢なのではと思いました。何せ今いる部屋がべテルス侯爵様がご主人様の時の部屋にそっくりなんです。

 ・・・きっと、また。始まるのでしょう、『ラチ』として過ごす日々が。

 夢は所詮、『夢』でしかないでしょう。


 ☆   ☆   ☆


 鬱々と考えていますと、この部屋唯一の扉が開きました。・・・扉がありますのに私は出ようとしなかったのですね。今気がつきました。

「おはようございます。気分はどうです?」
「・・・おはようございます、レイ様。気分は普通です。ここはどこでしょうか?」
「気分が良いなら良かった。・・・ここですか?ここはそうですね・・・国境近くの小屋です」
「そうですか」
「・・・反応薄いなぁ。何かないの?『ここから出して!』とか。つまんないなぁ。まぁいっか、騒がないでいてくれた方が楽だし。暫くここにいてね。よろしく」

 そう言ってレイ様は部屋から出て行きました。おそらく、私を屋敷から連れ出したのはレイ様なのでしょう。何故、私を連れ出したのか不明ですが、関係ない事です。最後は殺されるのでしょうから。

 それにしても先程のレイ様の口調が荒いように感じました。いつもは丁寧な口調ですから、先程の口調が素なのでしょう。

 ・・・フォスフィライト家で過ごした日々は夢では無かったのですね。でしたら、マット様は大丈夫なのでしょうか。たとえ、奴隷でも仕事で護衛なさっていましたので、何か処罰を受けることになったのではないかと。そのことが申し訳ないです。たかが奴隷なのに・・・


 ☆   ☆   ☆


 西側にある窓の外がだんだんと紅に染まっていきます。そして、漆黒が紅を覆っていき、月も無い暗闇の空間が出来ます。雲は何1つも無いのにも関わらず星さえも見えません。なのに、座っている私の膝に雫が1つ、2つ。そもそも、屋根の下にいるのに・・・。

 
『何故私は産まれ、存在しているの?』


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