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31話 「笑ってはいけないね その2」
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僕が笑うと秘密がバレてしまいます。
父は、僕が魔法の話をしているから興奮しているのだろうと考えているようでした。
なぜわかるって? それは僕の勘です。僕はしゃべれないので、よく他人の様子を見て判断しますからね。直感というか野生の本能みたいなものかな。
僕は父を見つめると、父は理解したかのように頷きました。伝えたことはこうです。僕が笑いそうになったらこそばして無理やり笑わせろ、それで誤魔化せると。
僕と父は共犯ですからね。協力して母を騙すのです!
それを瞬時に理解した父は先手を取りました。
「はっはっは、メンテが笑っていると話が聞こえないかもしれないな。パパが代わりに抱っこしようじゃないか」
「いえ、メンテちゃんは私が持ったままで進めて大丈夫よ。それにパパの笑いと比べたら可愛いわよ? 男の子とは思えないほど可愛い声よね」
「……はっはっは。そうか」
さっそく撃沈しました。もう僕たちの作戦は詰みかけです。いやあ、母の勘の良さはすごいですね。もう負けそう。
「パパ―、おおかみは大きかった?」
「父さんが倒したのですか!!」
おっと、子どもたちが質問をしてきました。これはピンチでありながらもチャンスかもしれません。
「いやいや、パパはずっとお店にいたからね。狼を見てないし、倒してもいなんだよ」
それらしい嘘をつきましたね。店にいたことは一応事実です。これはナイスな言い訳です!
僕は笑うのを必死で我慢します。今もちょっと笑いそうなのです。
「えー、見てないの?」
「てっきり父さんが倒したのかと思ってしまいました。ごめんなさい」
「はっはっは、期待させてすまなかったな」
子どもたちは騙せましたね。もう安心してもよさそうかな?
ここで母が動きました。
「メンテちゃん、本当はどうだったのかなあ~?」
「……きゃきゃきゃ!」
「へえ、狼に魔法を使って楽しかったのかしらね」
「え、えぐ……きゃきゃ!」
ダメです。笑ってしまうので嘘をつけません。2回も笑ってしまい完全にアウトです。ほら、母がにっこりと父を見ていますね。怖いよう~。
そういえば、日本のテレビ番組に笑うとお尻を叩かれる番組がありました。今の僕を叩くと虐待になるので、父だけに罰を与えてね!
う~ん、このままでは父が負けてしまうことが確実です。頑張れー!
「パパ~。本当はどうなのかしら?」
「ん~、何がだい?」
「パパなら魔物を倒した人を知ってるのでしょ?」
「いや、私たちは店に……」
「きゃきゃきゃ!」
「……、店にいたからね。倒したのは私ではないのは本当だよ」
父は大ピンチになりました。僕がまるでうそ発見器のように使われてしまうのです。母は僕のことを知り尽くしているのですよ。僕は生まれてからずっと母にくっついてますからね。
しめしめという顔で母は父に質問を続けます。
「その魔物を倒した人は誰かしら?」
「おおかみ見たの?」
「やっぱり父さんが……」
「……」
父が黙ってしまいました。母だけでなく子供たちも父を疑ってきましたね。
「……私は見たことはないな。噂では旅の冒険者だと聞いているよ。魔法で倒したらしいとね」
「んぐぅ」
父は苦し紛れに答えますが、運よく質問に助けられました。倒したのは人ではなくベビーカーですからね。
嘘ではないので僕は笑うことは我慢できました。狼を倒した人は存在しないのですよ(大嘘)
もしどうやって倒したか? と聞かれたらアウトでしたね。それこそ試合終了でしたよ。完敗ってやつですね。母おそるべし。
「あら、てっきりパパが倒したのかと思ったわ」
「はっはっは、誤解が解けて何よりだよ」
「んぐぅ!」
どうやら無事に騙せたようです。もう安心ですね!
「実は、もうひとつ聞きたいことがあるの。あの日、途中でお店を抜け出して何をしていたのかしら?」
「はっはっは、そのことで私をずっと疑っていたのかい? それは先に言ってくれたら最初から説明していたよ」
父の顔に嘘って文字が書かれているように見えますね。これからどうしようという困惑も感じますよ。あらら、もう汗だくです。父は全く誤魔化せていませんよ。
これを乗り切るにはあれしか方法がありません。僕と父は、同時に叫びました。
「おーーーい、タクシーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「だぁ~ぐぅうううううううううううう!!(へい、タクシーーーーーーーー!!)」
ピンチは全然終わらなかったよ。助けてタクシー!!
父は、僕が魔法の話をしているから興奮しているのだろうと考えているようでした。
なぜわかるって? それは僕の勘です。僕はしゃべれないので、よく他人の様子を見て判断しますからね。直感というか野生の本能みたいなものかな。
僕は父を見つめると、父は理解したかのように頷きました。伝えたことはこうです。僕が笑いそうになったらこそばして無理やり笑わせろ、それで誤魔化せると。
僕と父は共犯ですからね。協力して母を騙すのです!
それを瞬時に理解した父は先手を取りました。
「はっはっは、メンテが笑っていると話が聞こえないかもしれないな。パパが代わりに抱っこしようじゃないか」
「いえ、メンテちゃんは私が持ったままで進めて大丈夫よ。それにパパの笑いと比べたら可愛いわよ? 男の子とは思えないほど可愛い声よね」
「……はっはっは。そうか」
さっそく撃沈しました。もう僕たちの作戦は詰みかけです。いやあ、母の勘の良さはすごいですね。もう負けそう。
「パパ―、おおかみは大きかった?」
「父さんが倒したのですか!!」
おっと、子どもたちが質問をしてきました。これはピンチでありながらもチャンスかもしれません。
「いやいや、パパはずっとお店にいたからね。狼を見てないし、倒してもいなんだよ」
それらしい嘘をつきましたね。店にいたことは一応事実です。これはナイスな言い訳です!
僕は笑うのを必死で我慢します。今もちょっと笑いそうなのです。
「えー、見てないの?」
「てっきり父さんが倒したのかと思ってしまいました。ごめんなさい」
「はっはっは、期待させてすまなかったな」
子どもたちは騙せましたね。もう安心してもよさそうかな?
ここで母が動きました。
「メンテちゃん、本当はどうだったのかなあ~?」
「……きゃきゃきゃ!」
「へえ、狼に魔法を使って楽しかったのかしらね」
「え、えぐ……きゃきゃ!」
ダメです。笑ってしまうので嘘をつけません。2回も笑ってしまい完全にアウトです。ほら、母がにっこりと父を見ていますね。怖いよう~。
そういえば、日本のテレビ番組に笑うとお尻を叩かれる番組がありました。今の僕を叩くと虐待になるので、父だけに罰を与えてね!
う~ん、このままでは父が負けてしまうことが確実です。頑張れー!
「パパ~。本当はどうなのかしら?」
「ん~、何がだい?」
「パパなら魔物を倒した人を知ってるのでしょ?」
「いや、私たちは店に……」
「きゃきゃきゃ!」
「……、店にいたからね。倒したのは私ではないのは本当だよ」
父は大ピンチになりました。僕がまるでうそ発見器のように使われてしまうのです。母は僕のことを知り尽くしているのですよ。僕は生まれてからずっと母にくっついてますからね。
しめしめという顔で母は父に質問を続けます。
「その魔物を倒した人は誰かしら?」
「おおかみ見たの?」
「やっぱり父さんが……」
「……」
父が黙ってしまいました。母だけでなく子供たちも父を疑ってきましたね。
「……私は見たことはないな。噂では旅の冒険者だと聞いているよ。魔法で倒したらしいとね」
「んぐぅ」
父は苦し紛れに答えますが、運よく質問に助けられました。倒したのは人ではなくベビーカーですからね。
嘘ではないので僕は笑うことは我慢できました。狼を倒した人は存在しないのですよ(大嘘)
もしどうやって倒したか? と聞かれたらアウトでしたね。それこそ試合終了でしたよ。完敗ってやつですね。母おそるべし。
「あら、てっきりパパが倒したのかと思ったわ」
「はっはっは、誤解が解けて何よりだよ」
「んぐぅ!」
どうやら無事に騙せたようです。もう安心ですね!
「実は、もうひとつ聞きたいことがあるの。あの日、途中でお店を抜け出して何をしていたのかしら?」
「はっはっは、そのことで私をずっと疑っていたのかい? それは先に言ってくれたら最初から説明していたよ」
父の顔に嘘って文字が書かれているように見えますね。これからどうしようという困惑も感じますよ。あらら、もう汗だくです。父は全く誤魔化せていませんよ。
これを乗り切るにはあれしか方法がありません。僕と父は、同時に叫びました。
「おーーーい、タクシーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「だぁ~ぐぅうううううううううううう!!(へい、タクシーーーーーーーー!!)」
ピンチは全然終わらなかったよ。助けてタクシー!!
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