もっと甘やかして! ~人間だけど猫に変身できるのは秘密です~

いずみず

文字の大きさ
103 / 262

103話 「変身魔法 その2」

しおりを挟む
 僕メンテ。こっそりスキルを調べています。

 今のところユニークスキル”猫魂”は、猫の姿に変身することしか分かっていません。ただ、隠密性は優れていると思います。着ていた服も変身するとき一緒にぐにゃっとなるから体の一部と判定されてるんでしょう。思ったより使いやすそうなスキルだよ。

 有効的に活用したいので皆には秘密にしておきます!




「うえええええん!」
「メンテちゃんどうしたの?」
「うぐぅ」すりすり


 僕は寝る前に兄貴にくっ付いています。


「えぐぅ~」
「メンテ、もう寝る時間だよ?」
「うえええええええええん!」
「困ったなあ。全然離れないよ」
「今日はアニーキ―がいいの? それなら今日は一緒に寝たらどうかしら」
「ちょっと、母さん何を言って……」
「きゃきゃきゃ!」
「ほら、元気になったわよ」
「……そうだね」


 今日は兄貴と一緒に寝たいのアピールをしたら成功しました!


「もうしょうがないなあ」
「きゃきゃ!」
「でも泣いたら母さん呼びに行くからね。どうせ原因はおっぱいだし」
「えぐえぐ(泣かないよ)」
「フフッ、メンテちゃんは泣かないって言ってるわよ」
「本当かなあ……」


 さすが母です。僕のことを理解しています。というわけで今日は兄貴のお部屋で寝ますよ!


 ◆


 アニーキ―の部屋。


「じゃあ寝るよ」
「えっぐ!」
「あっちがメンテね。寝相ひどいから落ちないように壁側だよ。俺はこっちでいいよね……」
「ぐぅ~」
「はやっ?!」


 メンテは赤ちゃんなのですぐ寝ちゃうのだ!


「……俺も寝よう。メンテお休み」
「すぴ~」


 こうして二人は眠りについた。そして、深夜になってメンテは動き出した。


「うぐぅ~(猫魂)」


 僕が唯一使える魔法である”変身魔法”で華麗に変身します。今日は音も光も出しません。スピードだけを求めましたにゃん。

 ちなみに変身の途中に魔力を使っても演出は変更出来ます。でも中途半端になるせいか、煙や光で姿を一瞬だけ見えなくするぐらいしか出来ませんがね。これは見つかりそうになったときの緊急時に使いたいと思います。


「にゃあ……」


 僕は兄貴の部屋を見渡します。やっぱりそこらじゅうに物が散らかっていますねえ。でも歩けるので問題はありません。

 今回の目的は、スキルと魔法についての調査です。

 両親の部屋にはそういう本とか関連する物はありませんでした。猫の姿で部屋から出ようとしたけどドアに手が届かないのも問題でしたね。そこで兄貴を利用してここまでやってきたのです。ここなら僕の調べものが見つかりそうだしね。


「にゃ(行こう)」


 僕はベッドから飛び降ります。兄貴はぐっすり寝ていますねえ。もし見つかっても兄貴が寝ぼけてたと押し切る予定です。


 ごてっ!

「……にゃあ(いてっ)」


 てってと歩く僕の前足に何かがぶつかりました。この丸い物体はゴミ箱ですね。兄貴の部屋は元から汚いので、これぐらいなら問題ありません。


 がすっ!

「……にゃあ(うわっ)」


 再び歩きだしたところ、今度は足が服の上に乗ってしまいました。滑ってびっくりしましたよ。邪魔ですねこれ。

 少しイラっと来たので服をゴミ箱に突っ込みます。これも問題ありませんね。気持ちもスッキリです。

 そこから10歩ぐらい歩くと今度は鞄が前に落ちています。中身を確認したけど僕が気になるものはありませんでした。うん、なら邪魔なだけですね。どんだけ物が落ちているんですか。この部屋は普通に歩くだけでイライラしますよ。


「……にゃ!」


 いいことを思いつきました。これで爪の威力をチェックしましょう!


「にゃにゃ~!」ガリガリ


 少しだけ鞄に傷が出来ました。さすが猫ですね。爪は本物でした。やりすぎると僕の正体がバレる恐れがあるのでここまでにしましょう。


 まあ別に何も問題ありませんね! 僕の仕業ってバレるわけないもん。にゃっはは~!


 時間は掛かりましたが本棚の前に到着出来ましたよ。


「にゃあ……(高いなあ)」


 この姿で本棚を見上げると高く感じますね。とりあえず下の段から順番に見ていきます。下の方に僕が読みたい本はありませんでした。上の方にあるのかなと思って、少し離れた位置で本を探します。多分あそこかな。


「……にゃ(届くかなあ)」


 えいっとジャンプしますが届きません。


「にゃにゃ!(魔力!)」


 僕は力を込めると一瞬だけ力が使えます。多分ですが身体強化系統の力だと思います。魔力が出た瞬間だけ五感がすごいことになるからね。でも魔力を使うとすぐ疲れるので数回しか使えませんよ。これは人間でも猫のときも同じです。僕はまだ体から魔力出すだけで精一杯なんだよねえ。

 シュッっと高く飛ぶと、本棚の真ん中あたりにたどり着きます。あ、勢い余って本の上に乗ってしまいましたね。本の手前側はスペースがあると思ってました。でも飛び乗ったこの段にはスペースがないどころか本が不規則に倒れていたのです。下の段はスペースがあったので騙されました。ごちゃごちゃと汚い本棚ですな。

 これは兄貴が本を片づけないから起きた事故です。そのせいで僕は本と一緒に落ちそうになりました。兄貴。ちゃんと整頓してくれよと思いましたが、今はそんな場合ではありませんね。


「にゃ?!」


 僕は落ちないようにバタバタと暴れます。そのたびに近くに置いてあった本が下に落ちます。これも整頓されてなかった本ですね。本棚にある本がどんどん床に向かって落ちていきます。やばい状況です。


 トダトダトダ!

「にゃ、にゃふ!?」


 結局僕も落ちてしまいましたが、下に落ちた本がいっぱいあったせいかそれほど高く感じませんでしたね。

 それとナイス着地でした。全然痛くなかったですよ。猫の身体ってすごいね!


「ん~? んん……」


 物音で兄貴が起きそうです。大変だ!

 僕はダッシュでベッドに戻って変身を解きます。それから兄貴にくっついて寝ました。ずっと一緒に寝てたでしょ~? とね。


 ◆


 そして、朝。


「うぐぅ?」


 まだ兄貴は起きていませんでした。僕は赤ちゃんなので起きるのも早いのですよ。

 そうだ、戦利品でも見よう!

 僕はゆっくりとベッドから離れて本棚の下に向かいます。そこには本の山がありました。


「きゃきゃ!」


 よーし、スキルを調べるぞ~!




 ……30分後。


「ふあ~、朝かあ」


 ガサガサ。


「……なんの音? あれ、メンテ?」


 アニーキ―はベッドにメンテがいないのに気が付いた。そして、音のする方向を見ると……。


「うわああああああああああああああああああああああああああああ?!」


 寝る前よりひどく物が散乱した部屋、それから積み重なった本の上で楽しそうにしているメンテ。すぐに状況を認識し、この部屋を荒らした犯人目がけてアニーキ―は走り出した。


「こらー、メンテーーーーーー!」
「きゃきゃ!」


 この後、アニーキ―はメンテが勝手に部屋を漁りまくっていた事を両親に報告した。アニーキ―がダメでしょと怒ってもメンテは悪意のないピュアな瞳で見つめてくるだけで言葉を理解してないふりをするからだ。反省させるには親の力が必要である。

 だが両親には面倒を見なかったアニーキ―が悪い、起きるのが遅いからだと逆に怒られた。まさに年上の子が理不尽に怒られるあれである。


 それからというものメンテはアニーキ―のお部屋に遊びに来るようになる。メンテは毎回お兄ちゃん大好きなのアピールをするため、ついつい騙され甘やかしてしまうアニーキ―であった。

しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...