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205話 「職場体験 その1」
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俺はミチオ。王都の学園に通う15歳の学生だ。将来の夢も目標もなく、やりたい事なんて全然浮かばない。お金が稼げれば何でもいいやと道に迷っている。
この世界ではスキルに合う職に就くのが最善と言われている。自分の力が発揮しやすいからだ。
俺には”ものづくり”というスキルがある。何かを作ることが得意というありふれた力だ。だが俺にはこの長所が良く分からないという問題があった。得意なことも不得意なことも特にない。なんでも満遍なく出来るけどすごく上手という程ではないのだ。はっきり何々が得意ってギフトに明記してあれば悩まなかったのになあ。
そんな俺はとある店にいる。魔道具の発明および販売で有名なところだ。職業体験を申し込んだらすんなりと通ったのだが……。
「きゃきゃ!」バシバシ
「……」
今俺の目の前では赤ちゃんが楽しそうに遊んでいる。魔道具を作るって話はどこに……?
◆
僕メンテ。今日は父と一緒にナンスのお店に遊びに来ています!
お店の中に入ると、この人は初めてみるなあって人がズラリと並んでいました。しかも全員若いし同じ服を着ています。あの服どこかで見たような……?
「はっはっは! 今日だったか。すっかり忘れていたよ。いい人材がいるといいな。でも今良い物が出来そうなアイディアが止まらないな。時間が惜しから挨拶はあとでしよう。パパはお仕事をしてくるがメンテも来るかい?」
「ここ(ここにいる)」
「そうか、遊んでおいで。おーい、誰かメンテの面倒を見てくれ」
いつもなら父について行き魔道具の研究の見学する僕ですが、今日はこの人達が気になるのでこっちにいましょうか。
父と別れてちょっとしたらうちの店で働いている店員がだいたい集まりました。僕もしれっと混ざります。
まずは自己紹介が始まりました。ほほ~ん、どうやら学生が職場体験に来ているみたいですよ。学園にはそんな授業があるんだね。そういえば前に学園の先生がお家に来たとき仕事が云々話していたような気がする。これのことだったのかも。
今日はこの学生さんの見学でもしていよう。……ん? なんか学生さんからすごい視線を感じるぞ。なぜここに赤ちゃんが? という表情をしながら一人ずつ自己紹介をしていきます。なら僕も挨拶してみますか。可愛がってねという思いを込めながら魅惑のキュンキュンボイスで。
「えぐぅ~?」
「かわいい!」
「小っちゃい!」
「おい、天使がいるぞ」
学生さんにウケました。ちょっと騒ぎになった後、僕が父であるダンディの息子と紹介され更に驚かれます。
「あのダンディさんの?!」
「全然暴走してなくないか?!」
「お子さんがダンディさんそっくりって話を聞いていたけど全然違うのね!」
「所詮噂は噂だった」
「でも髪の色はダンディさん似かな?」
「それ以外はまあ……どっちなんだろうね」
「きっと母親に似たのよ!」
「確かにあの鼻とか口元がレディーさんにそっくりかも」
「だからカワイイんだ!」
「「「「「ざわざわ」」」」」
学生さんはよくしゃべりますね。なにせ僕の両親、特に父は有名人なのです。その息子の情報を知れて楽しんでいる感じがします。これファンが騒いでいる的なやつだ。
まあ僕が父に似ている要素は髪の色ぐらいです。容姿は母親似らしく安心しました。僕は絶対に暴走のなんとかなんて変な呼ばれ方されたくないのでね。普通の可愛い子供になるんだ。
「はい、そこまで。静かに。では今回の職場体験について確認をしていきます」
とナンスの店の店長ことソノヒト・コサンが学生さんをこの場をまとめました。忘れている方もいるのでソノヒトについて説明しましょう。彼は男性使用人の中でタクシーの次、ナンバー2ぐらいに偉いおじさんです。魔道具作りだけでなくお店の管理を任されています。
ソノヒトさんの話によると、学生さんの職場体験は1週間で今日は月曜日。平日の5日間は魔道具作りのお仕事体験、土日の休日2日間は商品を売るときのあれこれを体験するそうです。もっと詳しい話は仕事を始める前に説明するとのこと。ここからは学生さんの質問タイム。
「何か分からないことや質問はありますか?」
「はい! 今どんな魔道具を作っているんですか?」
「それを教えることは出来ません。もし知ってしまっても口外禁止です。約束を破れば学園の退学だけではなく……命も狙われますよ? どうしても気になる場合は将来ここで働くことを考えるとよいでしょう」
「え、ここで働けるんですか?!」
「それはあなた方次第です」
「本当か?」
「期待していいのかな?」
「「「「「ざわざわ」」」」」
サラっと勧誘するソノヒトさん。良さそうな人がいるといいね。
「ずっと魔道具を作るのはダメなんですか? 俺商売を体験しに来たつもりはないんですが……」
「ものを売る仕事を体験するのも大事なことです。あなたは今どういうものがどういう売れ方をしているのか答えられますか?」
「いえ、それは……」
「どれだけ素晴らしい魔道具を作ろうとお客様のニーズに合っていなければ売れません。ただ物を作っていればいいという考えでは自分の店を持っても食べていけませんよ?」
「はい。わかりました」
「あのー、私もいいですか? 実は魔道具を作るよりもどんな販売をしているのかに興味があって……」
「実は私も……」
「俺は新しい物の開発とかしたいぞ」
「「「「「ざわざわ」」」」」
このあと学生さんが俺も続けと順次希望を述べていきます。みんな将来のこと考えてここに来たようですね。
「そうですか。みなさん今回の職場体験の目的が分かれているようですね。わかりました。では後で魔道具を作る人と商売を体験する人とグループ分けをします」
「やったー!」
「よし!」
「「「「「ざわざわ」」」」」
学生さんは結構人数がいるからねえ。目的がバラバラになるのは仕方がありません。それをしっかりと聞いたソノヒトさんは柔軟な対応をしました。
「他に何か質問がある人?」
「はい! お客様は何人ぐらい来るのでしょうか?」
「他の国から団体で来ることもあればあまり人の来ない日もあります。ですが土日は比較的に客の出入りが多いのでいっぱい来ますよ」
「……おっぱい?」
「はいはいメンテくん、みんなの邪魔しちゃダメだよ?」「静かにしようね~」「今大事な話をしていの」「”いっぱい”と”おっぱい”は似ているけど違う言葉なんだよ」「あっち行こうか?」
僕が話に入ろうとしたら大人たちに止められてしまいした。一旦離れた所に連れていかれそうな雰囲気を出されたので、大人しくしますよ。
※大人たちはメンテの機嫌が悪くならないように必死です。
この後、学生さんのグループ分けやら注意事項の話がありました。ちょっと予定が変わったらしいのですが大丈夫そうですね。このあと本格的な職場体験が始まります。
見ての通り学生さんはやる気満々。情熱という名のエネルギーに満ち溢れています。赤ちゃんの僕が言うとあれなんですが若いってすごい!
ですが、あそこの男の学生。彼一人だけ悩んでいるというか憂鬱そうな表情をしているのです。これは赤ちゃんである僕の出番ですね。近づいてズボンをグイグイします。はーい、何してるの~。
「ねねー」
「えっと……名前メンテくんだっけ? どうしたの?」
「おなまえ」
「俺? 俺はミチオだよ」
「みちおっぱい?」
「違うよ、ミチオ。っぱいは要らない」
ミチオくんというのか。
「みちお。なにちゅる?」
「え? 何しようかなあ……。はぁ」
困った顔でため息をするミチオくん。きっと彼はうちの店で働くことについて何らかの悩みや不安を抱えているのでしょう。せっかくうちの店に来たのだから悩みぐらい解決させてあげたいよね。
それにさ、学生さんから職場体験の内容って学園側にも伝わるんでしょ? それなら悩みが解決したと報告があればこの店は高評価を得られそう。それを聞いた学生さんが将来一緒に働きたいってやって来るじゃん。こうやって集まった人に甘えまくれば僕の将来安泰だよ!
つまり学生さんの悩み解決=この店の評判を上げる。そして、僕を甘やかす人が増えてどっちもウィンウィンの関係だ!
よし、決めたぞ。僕が学生さんにこの店での働き方を教えてやろうじゃないか。行くぞミチオくん!
「みちお。だっこ」
「え、今? ちょっと待って欲しいな」
「ちょのひといい。いったあ(ソノヒトがいいよって言ったから問題ない)」
「まだ何も言っていませんよメンテくん。ミチオくんでしたか? メンテくんを抱っこしてもらえませんか。メンテくんはすごく甘えん坊ですがこう見えて仕事の邪魔をする子ではありません。むしろ学ぶこともあると思いますよ」
「は、はい……(どういうこと??)」
こうして僕も学生さんに混ざって職場体験に参加した。
この世界ではスキルに合う職に就くのが最善と言われている。自分の力が発揮しやすいからだ。
俺には”ものづくり”というスキルがある。何かを作ることが得意というありふれた力だ。だが俺にはこの長所が良く分からないという問題があった。得意なことも不得意なことも特にない。なんでも満遍なく出来るけどすごく上手という程ではないのだ。はっきり何々が得意ってギフトに明記してあれば悩まなかったのになあ。
そんな俺はとある店にいる。魔道具の発明および販売で有名なところだ。職業体験を申し込んだらすんなりと通ったのだが……。
「きゃきゃ!」バシバシ
「……」
今俺の目の前では赤ちゃんが楽しそうに遊んでいる。魔道具を作るって話はどこに……?
◆
僕メンテ。今日は父と一緒にナンスのお店に遊びに来ています!
お店の中に入ると、この人は初めてみるなあって人がズラリと並んでいました。しかも全員若いし同じ服を着ています。あの服どこかで見たような……?
「はっはっは! 今日だったか。すっかり忘れていたよ。いい人材がいるといいな。でも今良い物が出来そうなアイディアが止まらないな。時間が惜しから挨拶はあとでしよう。パパはお仕事をしてくるがメンテも来るかい?」
「ここ(ここにいる)」
「そうか、遊んでおいで。おーい、誰かメンテの面倒を見てくれ」
いつもなら父について行き魔道具の研究の見学する僕ですが、今日はこの人達が気になるのでこっちにいましょうか。
父と別れてちょっとしたらうちの店で働いている店員がだいたい集まりました。僕もしれっと混ざります。
まずは自己紹介が始まりました。ほほ~ん、どうやら学生が職場体験に来ているみたいですよ。学園にはそんな授業があるんだね。そういえば前に学園の先生がお家に来たとき仕事が云々話していたような気がする。これのことだったのかも。
今日はこの学生さんの見学でもしていよう。……ん? なんか学生さんからすごい視線を感じるぞ。なぜここに赤ちゃんが? という表情をしながら一人ずつ自己紹介をしていきます。なら僕も挨拶してみますか。可愛がってねという思いを込めながら魅惑のキュンキュンボイスで。
「えぐぅ~?」
「かわいい!」
「小っちゃい!」
「おい、天使がいるぞ」
学生さんにウケました。ちょっと騒ぎになった後、僕が父であるダンディの息子と紹介され更に驚かれます。
「あのダンディさんの?!」
「全然暴走してなくないか?!」
「お子さんがダンディさんそっくりって話を聞いていたけど全然違うのね!」
「所詮噂は噂だった」
「でも髪の色はダンディさん似かな?」
「それ以外はまあ……どっちなんだろうね」
「きっと母親に似たのよ!」
「確かにあの鼻とか口元がレディーさんにそっくりかも」
「だからカワイイんだ!」
「「「「「ざわざわ」」」」」
学生さんはよくしゃべりますね。なにせ僕の両親、特に父は有名人なのです。その息子の情報を知れて楽しんでいる感じがします。これファンが騒いでいる的なやつだ。
まあ僕が父に似ている要素は髪の色ぐらいです。容姿は母親似らしく安心しました。僕は絶対に暴走のなんとかなんて変な呼ばれ方されたくないのでね。普通の可愛い子供になるんだ。
「はい、そこまで。静かに。では今回の職場体験について確認をしていきます」
とナンスの店の店長ことソノヒト・コサンが学生さんをこの場をまとめました。忘れている方もいるのでソノヒトについて説明しましょう。彼は男性使用人の中でタクシーの次、ナンバー2ぐらいに偉いおじさんです。魔道具作りだけでなくお店の管理を任されています。
ソノヒトさんの話によると、学生さんの職場体験は1週間で今日は月曜日。平日の5日間は魔道具作りのお仕事体験、土日の休日2日間は商品を売るときのあれこれを体験するそうです。もっと詳しい話は仕事を始める前に説明するとのこと。ここからは学生さんの質問タイム。
「何か分からないことや質問はありますか?」
「はい! 今どんな魔道具を作っているんですか?」
「それを教えることは出来ません。もし知ってしまっても口外禁止です。約束を破れば学園の退学だけではなく……命も狙われますよ? どうしても気になる場合は将来ここで働くことを考えるとよいでしょう」
「え、ここで働けるんですか?!」
「それはあなた方次第です」
「本当か?」
「期待していいのかな?」
「「「「「ざわざわ」」」」」
サラっと勧誘するソノヒトさん。良さそうな人がいるといいね。
「ずっと魔道具を作るのはダメなんですか? 俺商売を体験しに来たつもりはないんですが……」
「ものを売る仕事を体験するのも大事なことです。あなたは今どういうものがどういう売れ方をしているのか答えられますか?」
「いえ、それは……」
「どれだけ素晴らしい魔道具を作ろうとお客様のニーズに合っていなければ売れません。ただ物を作っていればいいという考えでは自分の店を持っても食べていけませんよ?」
「はい。わかりました」
「あのー、私もいいですか? 実は魔道具を作るよりもどんな販売をしているのかに興味があって……」
「実は私も……」
「俺は新しい物の開発とかしたいぞ」
「「「「「ざわざわ」」」」」
このあと学生さんが俺も続けと順次希望を述べていきます。みんな将来のこと考えてここに来たようですね。
「そうですか。みなさん今回の職場体験の目的が分かれているようですね。わかりました。では後で魔道具を作る人と商売を体験する人とグループ分けをします」
「やったー!」
「よし!」
「「「「「ざわざわ」」」」」
学生さんは結構人数がいるからねえ。目的がバラバラになるのは仕方がありません。それをしっかりと聞いたソノヒトさんは柔軟な対応をしました。
「他に何か質問がある人?」
「はい! お客様は何人ぐらい来るのでしょうか?」
「他の国から団体で来ることもあればあまり人の来ない日もあります。ですが土日は比較的に客の出入りが多いのでいっぱい来ますよ」
「……おっぱい?」
「はいはいメンテくん、みんなの邪魔しちゃダメだよ?」「静かにしようね~」「今大事な話をしていの」「”いっぱい”と”おっぱい”は似ているけど違う言葉なんだよ」「あっち行こうか?」
僕が話に入ろうとしたら大人たちに止められてしまいした。一旦離れた所に連れていかれそうな雰囲気を出されたので、大人しくしますよ。
※大人たちはメンテの機嫌が悪くならないように必死です。
この後、学生さんのグループ分けやら注意事項の話がありました。ちょっと予定が変わったらしいのですが大丈夫そうですね。このあと本格的な職場体験が始まります。
見ての通り学生さんはやる気満々。情熱という名のエネルギーに満ち溢れています。赤ちゃんの僕が言うとあれなんですが若いってすごい!
ですが、あそこの男の学生。彼一人だけ悩んでいるというか憂鬱そうな表情をしているのです。これは赤ちゃんである僕の出番ですね。近づいてズボンをグイグイします。はーい、何してるの~。
「ねねー」
「えっと……名前メンテくんだっけ? どうしたの?」
「おなまえ」
「俺? 俺はミチオだよ」
「みちおっぱい?」
「違うよ、ミチオ。っぱいは要らない」
ミチオくんというのか。
「みちお。なにちゅる?」
「え? 何しようかなあ……。はぁ」
困った顔でため息をするミチオくん。きっと彼はうちの店で働くことについて何らかの悩みや不安を抱えているのでしょう。せっかくうちの店に来たのだから悩みぐらい解決させてあげたいよね。
それにさ、学生さんから職場体験の内容って学園側にも伝わるんでしょ? それなら悩みが解決したと報告があればこの店は高評価を得られそう。それを聞いた学生さんが将来一緒に働きたいってやって来るじゃん。こうやって集まった人に甘えまくれば僕の将来安泰だよ!
つまり学生さんの悩み解決=この店の評判を上げる。そして、僕を甘やかす人が増えてどっちもウィンウィンの関係だ!
よし、決めたぞ。僕が学生さんにこの店での働き方を教えてやろうじゃないか。行くぞミチオくん!
「みちお。だっこ」
「え、今? ちょっと待って欲しいな」
「ちょのひといい。いったあ(ソノヒトがいいよって言ったから問題ない)」
「まだ何も言っていませんよメンテくん。ミチオくんでしたか? メンテくんを抱っこしてもらえませんか。メンテくんはすごく甘えん坊ですがこう見えて仕事の邪魔をする子ではありません。むしろ学ぶこともあると思いますよ」
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