もっと甘やかして! ~人間だけど猫に変身できるのは秘密です~

いずみず

文字の大きさ
220 / 262

220話 「ウサギの生態を知ろう」

しおりを挟む
「ごぁん」
「ごはんだ、ご飯。ライスとも言うぞ」
「ちゃーあん」
「チャーハンだ。よく知ってたな」
「らーみん」
「ラーメンだ。今日は醤油ベースで作ってみたぞ」
「うどぉん」
「ほぼ正解の発音だ。ちなみにラーメンだけでなくうどんも用意してあるぞ」
「ちょば」
「おしい、そばだ。そば。それにしてもどんどんと言葉を覚えていくよなあ」
「メンテくんは食に興味があるんでねえか?」
「そうだろうな。初めて見るものでも何でも食らいつくからすげえよ」
『ざわざわ』


 僕メンテ。今日も厨房に入り浸ってます。

 前世の知識を披露したところでそれ知ってると言われるのがおちです。なので言葉覚えたから褒めて褒めて作戦に変更したんだ。どんどん聞いて行こう!


「ぴじゅあ」
「ピザは出来立てがうまい」
「ぱちゅた」
「パスタか? 種類は色々あるぞ」
「おっぱい」
「……牛乳だな?」
「……」ゴゴゴッ
「ち、違ったか。ヤギの乳だろ?」
「……」ゴゴゴゴゴゴッ
「あ、圧がすごい!? 分かった、あとで坊ちゃんのママを呼んでくるから」
「はーい!」


 だいぶ料理人達と仲良くなれました。


「(おい、どうするんだよ?!)」←目で会話
「(どうしようもねえだろ)」
「(前みたいに猫呼ばれるよりましだろ)」
「……おいちぃ」
「お、メンテくんが匂いだけでおいしいって言ったぞ」
「さすがメンテくん。俺たちのこと分かってるじゃねえか」
「もっと食って大きくなれよ」
「こえはー?」
「あ、いつの間に?! そこは入っちゃダメだって」
「誰か抱っこしてやれー」
「イエッサー」




 夜。

 僕は子猫の姿で厨房に侵入します。どこに何が置いてあるのか、聞きに聞きまくってだいたいの場所は覚えました。ここはダメ近づいちゃいけないと言われたけど、何も分かっていないふりをしたら怒れないので楽勝でしたね。

 捜しているものは……あったあった。今日はこの野菜にしよう。何個か選んで魔法のしっぽでクルリと巻き取って外に出ましょう。

 野菜を持ったまま町を通り越し森へと向かう。さらに奥へ奥へ進んで山を越えて行く。


「着いたー!」

 
 目的の場所に来たら野菜を地面に置きます。そのまま物陰に隠れてじっとしているとお目当てのあれが近づいて来ました。やや黒っぽい色をしたあの生き物。耳が長くて後ろ足が大きくてモフモフしているあれ。そう、ウサギです。

 野生のウサギはキョロキョロ周りを見たり花をヒクヒクさせて警戒します。しばらくすると警戒を解いて野菜に向かっていきます。お、食べた食べた。

 最近魔法が上達してきたのが楽しくて山で使いまくっていたんだ。そのときたまたま発見したのがこのウサギ。大きさは子猫の僕より大きく、大人の猫が丸まってるぐらいのサイズ。夜に動きが活発なことから夜行性なこと以外は普通のウサギにしか見えないね。仲間や家族はいなくて1匹だけでいるようですよ。

 丁度良いと僕はこのウサギを観察しています。簡単に言えばこの世界の生き物は何を食べているかの調査だね。本当は魔物のことが知りたかったけど近くにいなかったんだ。まあ普通の動物の生態を知るのも良い機会だよね。


「……」じぃー


 じぃーっと見ますが魔法のおかげでこちらに全然気付いていないウサギさん。最初こそ警戒心が強かったけど今では好奇心の方が勝っているようだ。おいしそうに野菜を食べていた。

 ウサギの主食は草です。今はおやつ感覚で野菜を食べている感じですかね。毎回家から持って来た野菜を置くとだいたい全部食べます。フルーツも食べました。特にこれといった好き嫌いはないみたい。肉も置いたけど毎回スルーするので完全に草食動物だね。


 普通。実に普通だ。


 しばらくするとウサギの暮らしている穴に戻って行きました。この前来たときは土に穴を掘ってる姿が見れたよ。野生の生き物をまじかで観察出来るから魔法って本当に便利だ。

 ペットの観察をしているみたいで楽しいなあとエサやりを繰り返していたら、ある日事件が起きました。


「……何かいる?」


 猫探知の魔法を使うと、ウサギともう1匹何かがいました。初めての生き物だ。どうやらウサギと争っているらしい。急ごう。


「――!!」


 ウサギが見える距離になって相手が判明した。


「……バッタ?」


 枯れ葉のような色をしたトノサマバッタがいました。大きさは普通の5か6センチぐらいの。

 どうやらウサギとトノサマバッタが僕の持って来た野菜を奪い合っていた模様。昨日僕が多めに持って来たせいか余ったのを見つけたのだろう。それを奪い合って喧嘩をしていたようだ。


「え?!」


 バッタが飛び跳ねてウサギを蹴り飛ばした。というかボコボコにしていた。体格的にウサギが勝つだろうと思ったら全然違った。あり得ない強さである。


 バサバサッ!!


 さらに別の生き物が乱入して来た。上からやって来たのは鳥である。翼を広げると1メートルはゆうに超える大型のフクロウだ。

 ウサギとバッタの戦いに横入りして漁夫の利を狙ったみたいだ。ウサギを狙って足の大きな爪を立てながら滑空してくる。ウサギはフクロウに気付いていない。


 ウサギ危ない!


「フォー!」←フクロウ
「きゅ?!」←ウサギ
「ギュア?!」←フクロウ


 ウサギがバッタの攻撃を避けたところにフクロウがタイミングよくやって来た。その結果、バッタの攻撃がフクロウに直撃。フクロウがすごい声を出しながら吹き飛ばされて地面に落ちた。

 攻撃されたと思ったのだろうか。バッタがフクロウに襲い掛かっていく。体が小さいせいかフクロウの爪は当たらない。今度はクチバシで狙うとバッタに蹴られる。フクロウは飛ぼうにも飛べずバッタにマウントを取られ続ける。途中からフクロウがボコボコにされている。バッタ強い。

 フクロウが来た瞬間固まったウサギだったが、バッタとフクロウの戦いの間に野菜を持って逃げようと動いた。それを見逃さなかったバッタとフクロウがウサギに狙いを変えて襲い掛かる。ウサギもこれは俺のものだ、絶対渡さないと急にキレた。シャンピングキックでバッタもフクロウも蹴り飛ばして歯で噛みつくがそれは失敗。ならばと体当たりをぶちかまし始めた。

 そのまま乱戦に突入。決着は着きそうにない。


「うわあ……」


 僕がエサを置いたから争いが起きちゃったようだ。ここは森の中。生き物の戦いがあるのを忘れていた。


 ガサガサ。ダダダダッ!!


 また乱入者が増えた。今度はイノシシ。サイズ的に大人。草をかき分けて来たと思ったらそのまま勢いを殺さずに突進。ウサギ、バッタ、フクロウを同時に蹴散らした。

 目当てはやはり僕の持って来た野菜のようだ。チラチラと野菜を見ている。

 ウサギとフクロウはイノシシが来たらすぐ逃げ去ったがバッタだけは違った。イノシシの顔を蹴り飛ばそうとする。だがイノシシは蹴りに耐えた。質量の差が影響しているのだろうか。イノシシにはダメージがないようだ。

 最終的に鬱陶しくなったイノシシはその場でジャンプしてお腹でバッタを踏み潰した。こうしてイノシシが野菜争奪戦に勝利したのだ!




 ……野生こわっ。ウサギの観察はしばらく止めておこう。

 あとね、あのバッタはおかしいよね? どう考えても攻撃力が高すぎる。あれ身体強化の魔法を使ってたんじゃない? と思うし。

 他にも仲間がいるのかと確認のため山の中を歩き回る僕。すると山の中にある平らな場所にいっぱい見つけた。何百匹いるんだよ。緑がなくなって土が露出している。バッタが食べたのだろう。あそこにはタマゴみたいな物も見える。タマゴは土の中どころか盛り出てる。しかも大量に。


「猫ブレス!」ブォオオオッ!!


 さすがにこのままだと生態系に影響出ると思ったので燃やしておいた。あんな狂暴なバッタが増えたら困る。


 よし、今日はもう帰って寝るぞー!



 ◆


 とある村のギルドにて。


「大変だプラントホッパーの群れが見つかったらしいぞ」
「まじか」
「しかもこっちに向かっているらしい」
「おいおい……」
「聞きたくなかったぜ」
「あいつら植物なら何でも食らいつくす害虫だもんな」
「小さいのに身体強化の魔法使うからすばしっこいのが嫌よね」
「しかもすぐ増える」
「早く退治しないとな。俺はここの飯が気に入ってんだ。なくなったら困るぜ」
「だな。俺も一緒に手伝うわ」
「なら私もいくわよ」
「おごってくれるなら俺も行くぞ」
「しゃあねえ、行けるやつ皆で討伐いくぞー!! 帰ったら俺がおごってやんよ」
「「「「「おー!」」」」」


 意気込んでギルドの受付に向かう冒険者達。すると受付嬢さんはこう答えた。


「みなさん盛り上がっているところ悪いですが、その話はもう終わりました。発見した冒険者さんによると卵ごと燃やした形跡があったそうです。詳しくはギルドで調査中ですが、未然に防いでくれた人には感謝しないといけませんね」
「「「「「お、おう……」」」」」
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

処理中です...