27 / 42
第27話 意外な言葉
しおりを挟む
「実は私は加護持ちなのです」
ソニアは俺のその言葉に何かを言おうとしたが、口を閉じた。
加護は問うことはできないが、俺が自分で話すことは構わない。
「私には、魔力が誰の魔力かが分かるのです。リリアさんだけでなく、魔力を持つ人であれば誰でも。どのような属性かだけではなく」
その言葉に、リリアはあっと小さく声を上げた。
「もともとはマヨラムを身に着けた女性を追ってあの店に来たのです。店であなたに会っていながら魔力に気が付かなったのは、それを商品から出ているものだと無意識に思いこんでいたのです。それにあなたは巧みに隠蔽していた。属性を知られたくなかったのですね」
俺は自分の勘違いに改めて笑った。
答えは初めから目の前にあったのだ。
「でも、イルムさんはソニアがリリアだと言ったわけではないのに」
「私が王国に来て知り合った人はそう多くありませんし、女性はあなたと工房のリベル、あとこのブローチを贈る人くらいです。その中で魔力が感じられたのは、あの宝石店だけだった。それでようやく自分の勘違いに気が付いたのです。そして店ではない所でこうして会って、確認できたというわけです」
「もしも、イルムさんが頷かなかったら」
「別の方法で聞き出しましたよ」
リリアはそれまで俯いていたが、顔を上げると俺に言った。
「それで、私をどうするつもりなのですか」
ここまで来ると、リリアが頼るものは魔術しかない。
何かやるつもりかもしれないと思ったが、依頼とは関係なく、俺にはまだ聞きたいことがあった。
「どうもしません。頼まれたことはありますが、それより私が聞きたいことがあります」
「なんでしょう」
俺はリリアにこう訊ねた。
「リリアさん。あなたは帝国に帰りたくはないのですか?」
リリアはそれを聞くと、じっと俺を見つめた。
その瞳の奥には色々な感情が目まぐるしく交錯しているように見えた。
「なぜそんなことを聞くのです。私を帝国に連れて帰るつもりですか」
「いいえ、そんなことは頼まれていませんし、私にもそんな気はありません。私が聞きたいのは、あなた自身の気持ちです。このまま王国で過ごしたいのか、帝国に帰りたいか、それだけです」
「帝国に帰るというのは、あの家に帰れということですね」
「帰りたければですが」
「嫌です!」
両手を握り締めて、リリアは強く言った。
「それなら帰らなければいいでしょう。私がお聞きしたいのは、あなたがこの国にいるのは、帝国の侯爵家に帰りたくないという理由だけなのかということです」
俺がそう訊ねると、リリアは違いますと言って首を横に振った。
ソニアは俺のその言葉に何かを言おうとしたが、口を閉じた。
加護は問うことはできないが、俺が自分で話すことは構わない。
「私には、魔力が誰の魔力かが分かるのです。リリアさんだけでなく、魔力を持つ人であれば誰でも。どのような属性かだけではなく」
その言葉に、リリアはあっと小さく声を上げた。
「もともとはマヨラムを身に着けた女性を追ってあの店に来たのです。店であなたに会っていながら魔力に気が付かなったのは、それを商品から出ているものだと無意識に思いこんでいたのです。それにあなたは巧みに隠蔽していた。属性を知られたくなかったのですね」
俺は自分の勘違いに改めて笑った。
答えは初めから目の前にあったのだ。
「でも、イルムさんはソニアがリリアだと言ったわけではないのに」
「私が王国に来て知り合った人はそう多くありませんし、女性はあなたと工房のリベル、あとこのブローチを贈る人くらいです。その中で魔力が感じられたのは、あの宝石店だけだった。それでようやく自分の勘違いに気が付いたのです。そして店ではない所でこうして会って、確認できたというわけです」
「もしも、イルムさんが頷かなかったら」
「別の方法で聞き出しましたよ」
リリアはそれまで俯いていたが、顔を上げると俺に言った。
「それで、私をどうするつもりなのですか」
ここまで来ると、リリアが頼るものは魔術しかない。
何かやるつもりかもしれないと思ったが、依頼とは関係なく、俺にはまだ聞きたいことがあった。
「どうもしません。頼まれたことはありますが、それより私が聞きたいことがあります」
「なんでしょう」
俺はリリアにこう訊ねた。
「リリアさん。あなたは帝国に帰りたくはないのですか?」
リリアはそれを聞くと、じっと俺を見つめた。
その瞳の奥には色々な感情が目まぐるしく交錯しているように見えた。
「なぜそんなことを聞くのです。私を帝国に連れて帰るつもりですか」
「いいえ、そんなことは頼まれていませんし、私にもそんな気はありません。私が聞きたいのは、あなた自身の気持ちです。このまま王国で過ごしたいのか、帝国に帰りたいか、それだけです」
「帝国に帰るというのは、あの家に帰れということですね」
「帰りたければですが」
「嫌です!」
両手を握り締めて、リリアは強く言った。
「それなら帰らなければいいでしょう。私がお聞きしたいのは、あなたがこの国にいるのは、帝国の侯爵家に帰りたくないという理由だけなのかということです」
俺がそう訊ねると、リリアは違いますと言って首を横に振った。
10
あなたにおすすめの小説
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。
町島航太
ファンタジー
かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。
しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。
失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。
だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。
追放された万能聖魔導師、辺境で無自覚に神を超える ~俺を無能と言った奴ら、まだ息してる?~
たまごころ
ファンタジー
王国一の聖魔導師アレンは、嫉妬した王子の策略で「無能」と断じられ、国を追放された。
辿り着いた辺境の村で、アレンは「ただの治癒師」として静かに暮らそうとするが――。
壊れた街を再生し、疫病を一晩で根絶し、魔王の眷属まで癒しながら、本人はただの村医者のつもり。
その結果、「あの無能が神を超えた」と噂が広がり、王と勇者は頭を抱えることに。
ざまぁとスカッとが止まらない、無自覚最強転生ファンタジー開幕!
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~
とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。
先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。
龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。
魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。
バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……
無能と追放された鑑定士の俺、実は未来まで見通す超チートスキル持ちでした。のんびりスローライフのはずが、気づけば伝説の英雄に!?
黒崎隼人
ファンタジー
Sランクパーティの鑑定士アルノは、地味なスキルを理由にリーダーの勇者から追放宣告を受ける。
古代迷宮の深層に置き去りにされ、絶望的な状況――しかし、それは彼にとって新たな人生の始まりだった。
これまでパーティのために抑制していたスキル【万物鑑定】。
その真の力は、あらゆるものの真価、未来、最適解までも見抜く神の眼だった。
隠された脱出路、道端の石に眠る価値、呪われたエルフの少女を救う方法。
彼は、追放をきっかけに手に入れた自由と力で、心優しい仲間たちと共に、誰もが笑って暮らせる理想郷『アルカディア』を創り上げていく。
一方、アルノを失った勇者パーティは、坂道を転がるように凋落していき……。
痛快な逆転成り上がりファンタジーが、ここに開幕する。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる