37 / 42
第37話 王国冒険者組合
しおりを挟む
俺はダイン公爵の屋敷を出ると、宿に戻った。
明日も色々とやることはあるが、とりあえず眠りたかった。
着かえもせずそのままベッドに身を投げ、目を閉じると何かを考える間もなく意識を失った。
気が付くとカーテンから漏れる日の光を感じた。
大使館に行くため軍服に着換えると、俺は宿を出て冒険者組合に顔を出した。
受付に向かい、そこにいた若者にヤードを見なかったかと訊ねた。
「ヤードさんは今、組合長と会っております」
「悪いが急用なので、すぐに来てもらえないかと伝えてほしいのだが」
念のため、こういう者だと身分証を見せると緊張した面持ちで
「しばらくお待ちください」
と言うと後ろにいた女性に受付を任せ、階段を駆け上って行った。
まもなくさっきの若者が降りてきて俺に言った。
「組合長もお会いしたいというので、こちらにどうぞ」
そう言って案内してくれた。
二階の奥の部屋の前まで来ると、若者がノックした。
どうぞ、と声が聞こえた。
ドアを開けて中に入ると、ヤードとブロンドの髪を綺麗に纏め上げた淑女が向かい合わせに座ってこちらを見た。
俺は一礼し、身分と名前を伝えた。
淑女は立ち上がると軽く頭を下た。
「初めまして、組合長のヘレン・マンスフィールドです」
そちらにおかけになって、とヤードの横を勧められた。
「おっと、その前にヤードのモノを解除します」
俺はヤードに施した死の首輪を解除した。
ヘレンが何を、という顔で俺を見ていた。彼女には何も見えていないのでその反応は仕方がない。
「昨日、彼が眠っているのをそのままにしておくのは危険だったので」
ヤードはようやく解放されたというように首を回した。
「朝になって変なものが首に嵌っているのでビクビクしながら帰った。これはなんだ」
そういうので、とりあえず説明した。
「それは死の首輪と言って私の魔力で作り出したものです。それを掛けられた者は術者である私しか殺すことができません。主に重要な証人に使う魔術具ですが、守護の魔術具としても使えます」
ヤードとヘレンは驚いて顔を見合わせていた。
「さすがヤードを一撃で倒すだけのことはある方ですね」
俺は首を振って笑った。
「いえ、彼に言わせればズルをされた感じでしょう」
ヤードは苦笑して言った。
「私の身体強化を瞬時に奪って、それを自分に装備して一撃。いくら私でもあれじゃ、どうにもなりません」
「少し前にレイモンドさんから連絡がありました。うちの銅級が依頼でそちらに行くので、何かあったらよろしくと。銅級とお聞きしたので依頼もそれほどのものではないと思っていましたが」
ヘレンはヤードに目配せをした。
「それでダイン公爵とは話ができたのか」
俺は頷いた。
「特に何事もなくうまくいった。色々と互いに説明は必要だったがね」
「それは何よりですわ。ヤードから昨夜の報告を受けてどうなることかと気を揉んでいたところです」
そこでドアをノックする音がして、先ほど受付にいた女性がお茶を持って入ってきた。
そしてこれを、とヤードに報酬の入った袋を渡した。
明日も色々とやることはあるが、とりあえず眠りたかった。
着かえもせずそのままベッドに身を投げ、目を閉じると何かを考える間もなく意識を失った。
気が付くとカーテンから漏れる日の光を感じた。
大使館に行くため軍服に着換えると、俺は宿を出て冒険者組合に顔を出した。
受付に向かい、そこにいた若者にヤードを見なかったかと訊ねた。
「ヤードさんは今、組合長と会っております」
「悪いが急用なので、すぐに来てもらえないかと伝えてほしいのだが」
念のため、こういう者だと身分証を見せると緊張した面持ちで
「しばらくお待ちください」
と言うと後ろにいた女性に受付を任せ、階段を駆け上って行った。
まもなくさっきの若者が降りてきて俺に言った。
「組合長もお会いしたいというので、こちらにどうぞ」
そう言って案内してくれた。
二階の奥の部屋の前まで来ると、若者がノックした。
どうぞ、と声が聞こえた。
ドアを開けて中に入ると、ヤードとブロンドの髪を綺麗に纏め上げた淑女が向かい合わせに座ってこちらを見た。
俺は一礼し、身分と名前を伝えた。
淑女は立ち上がると軽く頭を下た。
「初めまして、組合長のヘレン・マンスフィールドです」
そちらにおかけになって、とヤードの横を勧められた。
「おっと、その前にヤードのモノを解除します」
俺はヤードに施した死の首輪を解除した。
ヘレンが何を、という顔で俺を見ていた。彼女には何も見えていないのでその反応は仕方がない。
「昨日、彼が眠っているのをそのままにしておくのは危険だったので」
ヤードはようやく解放されたというように首を回した。
「朝になって変なものが首に嵌っているのでビクビクしながら帰った。これはなんだ」
そういうので、とりあえず説明した。
「それは死の首輪と言って私の魔力で作り出したものです。それを掛けられた者は術者である私しか殺すことができません。主に重要な証人に使う魔術具ですが、守護の魔術具としても使えます」
ヤードとヘレンは驚いて顔を見合わせていた。
「さすがヤードを一撃で倒すだけのことはある方ですね」
俺は首を振って笑った。
「いえ、彼に言わせればズルをされた感じでしょう」
ヤードは苦笑して言った。
「私の身体強化を瞬時に奪って、それを自分に装備して一撃。いくら私でもあれじゃ、どうにもなりません」
「少し前にレイモンドさんから連絡がありました。うちの銅級が依頼でそちらに行くので、何かあったらよろしくと。銅級とお聞きしたので依頼もそれほどのものではないと思っていましたが」
ヘレンはヤードに目配せをした。
「それでダイン公爵とは話ができたのか」
俺は頷いた。
「特に何事もなくうまくいった。色々と互いに説明は必要だったがね」
「それは何よりですわ。ヤードから昨夜の報告を受けてどうなることかと気を揉んでいたところです」
そこでドアをノックする音がして、先ほど受付にいた女性がお茶を持って入ってきた。
そしてこれを、とヤードに報酬の入った袋を渡した。
0
あなたにおすすめの小説
スローライフ 転生したら竜騎士に?
梨香
ファンタジー
『田舎でスローライフをしたい』バカップルの死神に前世の記憶を消去ミスされて赤ちゃんとして転生したユーリは竜を見て異世界だと知る。農家の娘としての生活に不満は無かったが、両親には秘密がありそうだ。魔法が存在する世界だが、普通の農民は狼と話したりしないし、農家の女将さんは植物に働きかけない。ユーリは両親から魔力を受け継いでいた。竜のイリスと絆を結んだユーリは竜騎士を目指す。竜騎士修行や前世の知識を生かして物を売り出したり、忙しいユーリは恋には奥手。スローライフとはかけ離れた人生をおくります。
俺とエルフとお猫様 ~現代と異世界を行き来できる俺は、現代道具で異世界をもふもふネコと無双する!~
八神 凪
ファンタジー
義理の両親が亡くなり、財産を受け継いだ永村 住考(えいむら すみたか)
平凡な会社員だった彼は、財産を譲り受けた際にアパート経営を継ぐため会社を辞めた。
明日から自由な時間をどう過ごすか考え、犬を飼おうと考えていた矢先に、命を終えた猫と子ネコを発見する。
その日の夜、飛び起きるほどの大地震が起こるも町は平和そのものであった。
しかし、彼の家の裏庭がとんでもないことになる――
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。
町島航太
ファンタジー
かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。
しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。
失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。
だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。
追放された万能聖魔導師、辺境で無自覚に神を超える ~俺を無能と言った奴ら、まだ息してる?~
たまごころ
ファンタジー
王国一の聖魔導師アレンは、嫉妬した王子の策略で「無能」と断じられ、国を追放された。
辿り着いた辺境の村で、アレンは「ただの治癒師」として静かに暮らそうとするが――。
壊れた街を再生し、疫病を一晩で根絶し、魔王の眷属まで癒しながら、本人はただの村医者のつもり。
その結果、「あの無能が神を超えた」と噂が広がり、王と勇者は頭を抱えることに。
ざまぁとスカッとが止まらない、無自覚最強転生ファンタジー開幕!
ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~
とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。
先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。
龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。
魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。
バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……
異世界に無一文投下!?鑑定士ナギの至福拠点作り
花垣 雷
ファンタジー
「何もないなら、創ればいい。等価交換(ルール)は俺が書き換える!」
一文無しで異世界へ放り出された日本人・ナギ。
彼が持つ唯一の武器は、万物を解析し組み替える【鑑定】と【等価交換】のスキルだった。
ナギは行き倒れ寸前で出会った、最強の女騎士エリスと出会う。現代知識とチート能力を駆使して愛する家族と仲間たちのために「至福の居場所」を築き上げる、異世界拠点ファンタジーストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる