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第3話 街に出た勇者
これで国王は俺に絶対服従の操り人形だ。
謁見室を出る時に、固まっている連中の術は解いてきたが、生きているか死んでいるかは俺の知ったことではない。
俺は国王に後始末は任せた、ここを出ると言った。
「どこに行かれるのですか」
国王にそう聞かれたが、こちらに来たばかりだからそう聞かれてもわからない。
「とりあえず街に行って、そこからはこうして指示する。黙って声に出さないで答えられるようにしろ」
そう直接国王の意識に命じると、国王は俺の呼びかけに答えた。
〈これでよろしいでしょうか〉
俺は国王の肩をポンポンと叩いて、それでいい、俺が言うこと以外はこれまで通りにやれ、と言ってその広い部屋を出た。
外にいる衛兵連中が俺を捕らえようと、わらわらと湧いて出てきたので、殺さないまでも追ってこないように叩きのめして、ようやく外に出た。
俺は剣を魔法箱に仕舞って、手ぶらで歩くことにした。
あんなダンビラをぶら下げて歩いていては、ヤバい奴丸出しだからだ。
できれば、ごく平凡な冒険者みたいな生活をしながら天使に頼まれたことを全うしたい。
王宮を出た正面には、俺とは似ていない剣を掲げた勇者の石像があった。
その周りは噴水のある人工の泉が作られていて、ベンチが置かれてちょっとした街の憩いの場のようになっていた。
天使の話では、言葉はすぐに話せるようになるが、文字は見たり書いたりすることでしか習得できないというので、目下の所、俺は文盲だ。
仕方なく王宮を警備している衛兵を呼び止めて、ここらへんに食事ができて泊まれるところは無いですかねと聞いてみると、怪しそうに俺を見た。
それもそのはずで、俺の出で立ちは会社帰りのネクタイを緩めたスーツ姿である。
どう見てもこの世界では不審者である。
それでも手ぶらなので、その衛兵は害はなさそうだと思ったようだ。
少し考えると正面の大通りを指さし、そこを行って二三本道を渡った所に手ごろなところがあると教えてくれた。
俺は衛兵に頭を下げて、大通りを歩いて行った。
立ち止まって、後ろを見るとさっきまでいた王宮があり、その向こうにはそこそこ高い山がそびえている。
山のふもとに宮殿があって、その下に広がっている平地に街があるというわけだ。
街は王宮の門の前にある泉を中心に、俺がいる大通りを含めて左右に放射線状に通りがいくつか伸びていた。
さっきの衛兵の話だと、それを横断するように通りがあるのだろう。
この都市は扇形をしていることが分かった。
この世界の建物は石造りのようだが、高層建築はない。
なので空は広く明るい。
俺は空を見上げ、晴れ晴れとした気持ちで正面の大通りを歩き始めた。
謁見室を出る時に、固まっている連中の術は解いてきたが、生きているか死んでいるかは俺の知ったことではない。
俺は国王に後始末は任せた、ここを出ると言った。
「どこに行かれるのですか」
国王にそう聞かれたが、こちらに来たばかりだからそう聞かれてもわからない。
「とりあえず街に行って、そこからはこうして指示する。黙って声に出さないで答えられるようにしろ」
そう直接国王の意識に命じると、国王は俺の呼びかけに答えた。
〈これでよろしいでしょうか〉
俺は国王の肩をポンポンと叩いて、それでいい、俺が言うこと以外はこれまで通りにやれ、と言ってその広い部屋を出た。
外にいる衛兵連中が俺を捕らえようと、わらわらと湧いて出てきたので、殺さないまでも追ってこないように叩きのめして、ようやく外に出た。
俺は剣を魔法箱に仕舞って、手ぶらで歩くことにした。
あんなダンビラをぶら下げて歩いていては、ヤバい奴丸出しだからだ。
できれば、ごく平凡な冒険者みたいな生活をしながら天使に頼まれたことを全うしたい。
王宮を出た正面には、俺とは似ていない剣を掲げた勇者の石像があった。
その周りは噴水のある人工の泉が作られていて、ベンチが置かれてちょっとした街の憩いの場のようになっていた。
天使の話では、言葉はすぐに話せるようになるが、文字は見たり書いたりすることでしか習得できないというので、目下の所、俺は文盲だ。
仕方なく王宮を警備している衛兵を呼び止めて、ここらへんに食事ができて泊まれるところは無いですかねと聞いてみると、怪しそうに俺を見た。
それもそのはずで、俺の出で立ちは会社帰りのネクタイを緩めたスーツ姿である。
どう見てもこの世界では不審者である。
それでも手ぶらなので、その衛兵は害はなさそうだと思ったようだ。
少し考えると正面の大通りを指さし、そこを行って二三本道を渡った所に手ごろなところがあると教えてくれた。
俺は衛兵に頭を下げて、大通りを歩いて行った。
立ち止まって、後ろを見るとさっきまでいた王宮があり、その向こうにはそこそこ高い山がそびえている。
山のふもとに宮殿があって、その下に広がっている平地に街があるというわけだ。
街は王宮の門の前にある泉を中心に、俺がいる大通りを含めて左右に放射線状に通りがいくつか伸びていた。
さっきの衛兵の話だと、それを横断するように通りがあるのだろう。
この都市は扇形をしていることが分かった。
この世界の建物は石造りのようだが、高層建築はない。
なので空は広く明るい。
俺は空を見上げ、晴れ晴れとした気持ちで正面の大通りを歩き始めた。
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