アナザー/ライフ 〜やっと就職できたと思ったら、ノルマあり、契約期限ありの社畜に成り果てた〜

弓月下弦

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第2話 任務開始

奇襲

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夜道を歩くこと約1時間。
特に敵らしき者も現れないまま俺たちはただひたすら前へ進んでいた。夜だからなのか、エルフは見当たらはず、ごく稀に人間とすれ違うだけである。比較的整備された街道は元いた世界と然程変わらなく見える。等間隔に配置された街灯のおかげで周囲の様子は分かりやすい。

「メイザちゃんの家はまだ先?」

「はい。まだ三分の一しか近づいていません」

と言うことは単純計算であと2時間。。。
確かに少女が一人で夜道を歩くには相応しくない距離だ。車やバイクが欲しい距離だな。ま、この世界には無さそうだが。俺を転送できる技術があるのに車がないなん、、て?え?

「どうやら、仲間を引き連れて来たみたいです」

バイクが3台こちらに向かって来る。この世界にはバイクがあるのか!てっきり、中世かなんかの、時代と同じ文明かと思っていた。しかも乗っている一人は先程襲いかかって来た吸血鬼だ。さっそく仕返しに来たってことか。

「小僧、今度は俺たちの勝ちだ。2人まとめて喰ってやる」

「くっ、仲間を呼ぶなんて卑怯だぞ」

バイクから飛び降り、3体の吸血鬼が一斉に襲いかかって来た。さっきの大柄の吸血鬼と、赤いハイヒールを履いた金髪ロングヘアーの女、スーツを着たインテリ風のメガネの青年だ。

「鯨井さん、早く呪文を。」

「は、はい!えっと、、全てを焼き尽くす、、うっ!」

ヤバイ。呪文を唱え切る前に大柄の吸血鬼に頬をぶん殴られた。口の中で血の味が広がる。
俺は人間だから血の味は好きじゃない。
そして、口が痛いせいで呪文が言えない!

「へっ、魔術師なんざ、殴り合いには滅法弱くてちょろいねぇ」

「ぐっ、はっ!」

さらに後ろから女の吸血鬼に腹部をヒールで蹴られた。痛みが凄まじすぎて視界に火花が散る。
脳内に火花を散らしてどうするんだ俺は、、、
もう1人のスーツの吸血鬼が少女を担ぎ上げる姿がチカチカする視界に入ってきた。
こんなところでリタイアしてはならない。俺に掛かってるんだ。彼女を吸血鬼なんかにさせない!

「させるかーっ!」

自分でも驚いている。口から血を垂らしながらまだ体が動くことに。高校の時に陸上部で鍛えた忍耐力がここに来て役に立ったようだ。
無駄な努力なんてこの世にはないー!

「全てを焼き尽くす炎、我が力となれー」

スーツの青年に向けて人差し指を突き出す。その瞬間に指先から炎の龍が飛び出た。すぐさま指示を出す。

「彼女を助けろー!あの吸血鬼を倒せ!」

龍の攻撃をうまく交わした青年は、爪を器用に使って炎を蹴散らしている。
流石吸血鬼。身体能力がずば抜けている。

「おっと、俺たちを忘れちゃいけないよ」

しまった。俺の周りには二体の吸血鬼がいるんだった。鋭い爪が喉元を掠める。
炎の龍は少女を守っているためこっちに呼べない。と言うことは素手で対抗するのか?

「あんた美味そうね。吸血鬼にしないで全部お姉さんが吸って空にしてあげるわ」

死亡フラグが立った。もうお終いだ。血を全て抜かれて死ぬならあの時タイヤに当たって死んだ方がマシだったな。

「鯨井さんっ!頭で剣をイメージして下さい」

向こうから少女の声が聞こえた。剣をイメージしろ?よく分からないが、俺は目を閉じて脳内に大剣をイメージさせた。ゲームでよく出てくるバスタードソードだ。すると、手元が熱くなり炎でできた大きな剣が出現した。しかも握っても熱さは然程気にならない。

「小僧、物騒な武器を出しやがったな」

「これでお前達を倒す!」

もう後には引けない。目の前の敵を倒すことに集中するんだ。どうせもう死んでる身だ、恐れることなんてないんだ!
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