アナザー/ライフ 〜やっと就職できたと思ったら、ノルマあり、契約期限ありの社畜に成り果てた〜

弓月下弦

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第3話 血の屋敷

逃げるが勝ち

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腕にじんわりとした痛みが走った。
滲み出てくる紅に俺は顔を顰める。

「あらあら、美味しそうな人間の血ね。あなたはまだ
若いわね」

これは非常に不味い状況だ。吸血鬼との距離は僅か数センチ。俺の命はこの女吸血鬼にかかっている。
ニヤリと笑い、口元から鋭い牙が垣間見え、だらだらとだらしなく涎が垂れ流れている。
美しいお顔が台無しだ。

「鯨井君、君のバリアだと駄目みたいだ。ここは私に任せてくれ」

後ろからそう囁くと、ルーカスは素早く俺の前に出た。

「まあまあ、美人な顔が崩れてるよ?お姉さん」

「ふん、なんなのよ。貴方こそ真っ白で不味そうね。私は健康な人間の血が好きなのよ。丁度そこの子みたいな」

「ひっ」

これは、まさに告白!だがしかし、全く嬉しくない。
なんだか、背中がゾクゾクするんですが。


「そうか、それは残念だな。俺は不味そうなんだな?」

すると、ルーカスは自らの手首に持っていたナイフの刃を切り込んだ。
ポタリと血が垂れ始める。

すると、女の吸血鬼とその周辺にいた吸血鬼の息遣いが荒くなりはじめた。
どうやら、血を間近に目にすると興奮状態に陥るらしい。

「血、血をくれー」

余程、血に飢えていたのか、
5匹の吸血鬼はふらふらとルーカスの方に吸血鬼が群がっていく。

「鯨井君!今のうちに逃げろ!!」

「で、でも。ルーカスはどうするんだ?」

まさか囮になるつもりか。

「お、俺?俺はこうするさ」

そう言うと、ルーカスは興奮状態の吸血鬼達に回し蹴りを喰らわせ、さらに小型ナイフを投げつけ、まるで忍者の様に素早く逃げていく。

「ちょっ、ちょっと置いてくなー」

慌てて俺はルーカスの後を追う。
って、あんたも逃げるんかい!!

「因みに吸血鬼は興奮してるから気をつけてねー」

「そんなっ!」

「血をよこせー」

ええい、これは考えてる場合ではない!
ここは全力で逃げるしか無いー!



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