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それから、旭くんは学校に来なくなった。
保健室にも登校していないみたいで、完全に不登校になった。

旭くんの事が心配だったけれど、僕は彼に合わせる顔がなかった。
だから、不登校の彼に電話をしてみるだとか、
家を訪ねてみるだとか、
そういう事はなんにもしなかった。
なんだか気まずくって、会いたくなかった。
あんなに好きだったのに、会いたくないなんて、変なの。
勝手にキスをしたことを謝ることすら出来ずに、数ヶ月が過ぎた。
時間が経つのは早くって、あっという間に3月になる。
僕は、今日、中学校を卒業する。

旭くんとの思い出がたくさん詰まった、学校。
教室。屋上。図書室。保健室。
結局僕は、この学校で旭くんしか友達を作れなかった。
高校へ進学するのが不安で仕方ないよ。
どうせまた僕は、上手く友達を作れないのだろう。
クラスで孤立して、ひとりぼっちでお弁当を食べるんだ。
高校には、もう、旭くんは居ない。
旭くんは、何処の学校へも進学しないみたい。
だから旭くんはもう、僕とお昼を食べてはくれない。


「ぁ……」

卒業式のあと、旭くんの姿を発見する。
式には出て居なかったのに、今更学校へ来たのか?
もう、卒業式は終わっちゃったよ?
旭くんの姿を、久しぶりに見た。
彼はあの日以来、ずっと学校へ、来て居なかったから。
旭くんが不登校になったのって、やっぱり僕のせいなのかな。



「猫クン、元気だった?」

「旭くんは? 体調大丈夫?」

旭くんは相変わらず綺麗だったけど、少しやつれたようにも見える。
元から細かったけど、更に痩せたような気がする。

「ちょっとお話しない?
 オレ、キミと最後に話したくて学校来たんだよ」

「あ、う、うん……」
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