擬人化ヤンデレシリーズ

名乃坂

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②ブラック企業ヤンデレ

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僕はずっと、君と相思相愛だと思っていた。
僕は君を欲しいと言って、君も僕を選んでくれたから。

でも、最近やっと気が付いたんだ。
君が愛しているのは、僕じゃなくて、僕が与えるお金なんじゃないかって。

ねえ……君は……お金がなくても僕のことを愛してくれる……?

僕は君の気持ちを確かめるため、君の給料を減らしてみた。
君は最初は落ち込んで、それから、自分に原因があるんじゃないかと悩み始めた。
そんな君が可哀想で見ていられなくて、元の金額に戻そうと思った。
でもね……ある時から、君は……転職を考え始めた。
僕は深く傷付いた。

やっぱり、君は僕のことを好きなフリをして、お金のことしか考えてなかったの?
僕がいるのに、どうしてあんな君のことをよく知りもせずに、都合の良いことばかり言って君を売ろうとする転職エージェントなんかの言葉に耳を傾けるの?

どうしたら……君は僕のことだけを見てくれるのかな……?

必死に考えてみた。先輩企業の事例なんかも参考にして、やっと見つけた。

そうだ……。君が僕だけを見てくれるようになる方法、思いついたよ。

まず僕は、君の残業時間を大幅に増やした。
休日も出勤するようになった君は、転職活動をする気力すら湧かなくなったみたいだ。
これでもう、あんな奴らに洗脳される心配もなくなったね。

僕との時間で忙しくなった君は、睡眠時間を確保するために、好きだったものや、大切な人のために使う時間すらも削っていった。
君の生活が僕中心になって嬉しいよ。

それから、君には、他社では全く役に立たないようなスキルしか身に付かない仕事ばかりさせるようにした。
君が他の会社に行こうなんてバカなことを考えないように。

「君の能力は、他では通用しないんだよ?」
「僕以外、君のことなんて誰も必要としてないんだ」
そう君に言い聞かせ続けた。

そうして半年が経った頃、君は僕だけを見てくれるようになった。
君は僕と一緒にいられて幸せだって、僕しかいないって、毎日毎日夜遅くまで僕に愛を囁いてくれるようになった。
やっと両思いになれたんだ……!

君と僕の幸せは、誰にも壊させない。
たとえ労基が来たとしても、僕達の愛を見せつけてやろう。
定年も延長した。定年後も君を再雇用できるように、制度を整えた。

だから……ずーっと一緒だよ?♡
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