愛日記

葉月さん

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日記

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雨の音が響いている。私はそれを聞きながら、日記を手に取った。ペンで書かれた、すみれ、という文字を撫でる。今まで私を支えてくれた日記。見返していこう。死ぬ、前にーー

『4月6日ーー今日から高校生。憧れのJ Kだ!学校では新しい友達ができたの。ゆりちゃんと、唯香ちゃん。スタートダッシュは完璧じゃないかな?明日からは本格的な勉強が始まるみたいだから、頑張ろう!!』

1ページ目にゆっくりと目を通した私は、ため息をついた。希望に満ち溢れた文章。話し言葉で書いてある。誰かに聞いて欲しかったのかもしれないな。

『5月6日ーー小学校での生活にも慣れてきたよ!それでね、私、恋、しちゃった見たい。同じ部活の先輩なんだけどね、すっごくかっこよくて優しいの!この前ね、先生に頼まれた仕事、手伝ってくれたんだよ!』

パラパラとページをめくって、気になるページを拾っていく。恋、かぁ。

『7月2日ーー今日、先輩に告白しちゃった!OK、だって!やったぁー!もうすぐ夏休みだし、デート、したいな。』

急展開。、、、でもね、先輩はそんないい人じゃなかったんだよ。

『9月23日ーー先輩に振られちゃいました。お前なんかずっと嫌いだった、我慢してた、って。私、どこがダメだったのかな。』

先輩は最低な男だった。どうして付き合っちゃったんだろう。

『10月5日ーーどうすればいいの?ゆりが死んじゃった。投身自殺だって。私、何もできなかった。何も知らなかった。もっと、ゆりと一緒にいたかった。

紙には、涙でふやけた跡があった。ゆりの存在は大きいものだった。

『11月7日ーー最近、私物がよく消えるの。それに、なんだかいつもつけられてるみたい。ストーカー?こわいよ。』

一人暮らしで彼氏もいなかったから、ストーカーはすごく怖いものだった。いつも警戒をしていた。

「12月10日ーーこんなにも不幸が続くなんておかしい。でね、私、気づいちゃったんだ。唯香だって。ゆいかがやってるんだって。どうしてだろう。なんのために?誰かに相談しなきゃ。でもまだ証拠がないし。どうすればいいの?誰か、助けて。』

日記はそこで終わっていた。そりゃあ、そうだ。だってーー

私が、殺したんだから。唯香は、私だ。そしてこの日記は、そこに転がっているすみれのものだ。私は、すみれを愛してた。だから、彼氏を脅して離れさせ、ゆりを殺し、ストーカーをしていた。この日記も、よく盗み見ていた。すみれが私の生き甲斐だったの。だけど、私のしたことがバレてしまったから、一緒に死ぬことにした。あーあ。馬鹿だねえ。日記に書かなきゃもう少し生きられたかもしれないのに。まあ、これですみれと一緒になれる。

すみれ、大好きだよ。愛してるーー
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