8 / 8
愛
しおりを挟む
あの事故以来、ユアちゃんは姿を現さなかった。私は死を免れたのだろうか。…でも。今思うと、死にたくなかった理由がわからない。善人が不幸にあうこんな世界なら。去っても良いや。きっと、今でも私をいじめていた人たちは馬鹿笑いを続けているんだろうな。1人の少女の死なんて知らずに。それに、私がいなくなっても、世界は回り続ける。なら、いっそのこと、死んじゃおうかな。できれば、苦しい死に方がいい。すみれより、もっと私は苦しまなきゃいけないんだ。そんなことを考えていると。
「ダメです!!」
ユアちゃんだった。
「私が出てこられたと言うことは、本気で死のうとしてますね?」
「そうだけど、悪い?」
「悪いです。…死を逃れる方法はただ1つだけ。愛。愛なんです。これがどういうことかわかりますか?」
「死、逃れる方法あったんだね。」
「寿命とかはどうしようもないんですけど…。って、そんなことはどうでもいいんです。すみれさんは、あなたのことを愛していました。大好きな友達だったから、助けたんです。その命を、簡単に捨てようとしないでください!」
ユアちゃんが凄んだ。…でも、私は。
「簡単なんて、言わないでよ。大体、あんたたち死神が、人間の魂を奪っているんでしょ⁉︎」
つい、叫んでしまった。そんなわたしを見たユアちゃんは、顔を伏せた。泣いているんだと気付くには、少し時間がかかった。
「そんなふうに思っていたんですね。私、誤解されたままは嫌なので、説明させてください。」
「……」
言いすぎた、と思った。反省してユアちゃんの話を聞く。
「まず、私たちの仕事は、魂を導くことです。死んでしまった人の魂を、です。つまり、私達が奪っているわけではないんです。…そして、私達が仕事をしなかったら、どうなるかわかりますか?」
「いや……」
「魂は迷子になり、その魂の持ち主だった人の存在は抹消されます。人々から忘れ去られるんです。」
死神は、私たちのために働いてくれていたんだなぁ、と。
「ごめんね」
ぽつりとつぶやいた。
「良いんです。」
ユアちゃんは笑った。涙は消えていた。
「死のうとなんて、しないでくださいね。」
その時、ふわっと、風を感じた。窓は開いていないのに。その風は、暖かく心地よかった。
「そうだよ。死なないで。」
優しい声が、聞こえた。姿は見えないけど、“いる”。
「内緒にしてたこと、話すね。」
彼女はそう前置きをすると、話し始めた。
「まず、私の前にもね、死神の女の子が来てたの。だから、あの時マイの話を素直に信じられたの。」
あの時、というのは1日目のことだろう。
「死ぬのは怖かったよ。でも、マイと話せて嬉しかった。」
ふんわりと、すみれは笑った。
「ぶっちゃけね、死ぬ理由がマイを助けるためでよかった。マイにはね、幸せに生きて欲しいの。それが私の、願い。」
気がつくと、とめどなく涙が溢れてきた。
「ありがとう。」
この命、大切にするよ。
「大好きだよ。」
温かい…。すみれに抱きしめられていた。すみれの姿が一瞬現れて、すぐに消えた。ユアちゃんも、もうそこにはいなかった。
「幸せに生きるよ。あなたも、どうか幸せになれますように…。」
「ダメです!!」
ユアちゃんだった。
「私が出てこられたと言うことは、本気で死のうとしてますね?」
「そうだけど、悪い?」
「悪いです。…死を逃れる方法はただ1つだけ。愛。愛なんです。これがどういうことかわかりますか?」
「死、逃れる方法あったんだね。」
「寿命とかはどうしようもないんですけど…。って、そんなことはどうでもいいんです。すみれさんは、あなたのことを愛していました。大好きな友達だったから、助けたんです。その命を、簡単に捨てようとしないでください!」
ユアちゃんが凄んだ。…でも、私は。
「簡単なんて、言わないでよ。大体、あんたたち死神が、人間の魂を奪っているんでしょ⁉︎」
つい、叫んでしまった。そんなわたしを見たユアちゃんは、顔を伏せた。泣いているんだと気付くには、少し時間がかかった。
「そんなふうに思っていたんですね。私、誤解されたままは嫌なので、説明させてください。」
「……」
言いすぎた、と思った。反省してユアちゃんの話を聞く。
「まず、私たちの仕事は、魂を導くことです。死んでしまった人の魂を、です。つまり、私達が奪っているわけではないんです。…そして、私達が仕事をしなかったら、どうなるかわかりますか?」
「いや……」
「魂は迷子になり、その魂の持ち主だった人の存在は抹消されます。人々から忘れ去られるんです。」
死神は、私たちのために働いてくれていたんだなぁ、と。
「ごめんね」
ぽつりとつぶやいた。
「良いんです。」
ユアちゃんは笑った。涙は消えていた。
「死のうとなんて、しないでくださいね。」
その時、ふわっと、風を感じた。窓は開いていないのに。その風は、暖かく心地よかった。
「そうだよ。死なないで。」
優しい声が、聞こえた。姿は見えないけど、“いる”。
「内緒にしてたこと、話すね。」
彼女はそう前置きをすると、話し始めた。
「まず、私の前にもね、死神の女の子が来てたの。だから、あの時マイの話を素直に信じられたの。」
あの時、というのは1日目のことだろう。
「死ぬのは怖かったよ。でも、マイと話せて嬉しかった。」
ふんわりと、すみれは笑った。
「ぶっちゃけね、死ぬ理由がマイを助けるためでよかった。マイにはね、幸せに生きて欲しいの。それが私の、願い。」
気がつくと、とめどなく涙が溢れてきた。
「ありがとう。」
この命、大切にするよ。
「大好きだよ。」
温かい…。すみれに抱きしめられていた。すみれの姿が一瞬現れて、すぐに消えた。ユアちゃんも、もうそこにはいなかった。
「幸せに生きるよ。あなたも、どうか幸せになれますように…。」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
「地味な婚約者を捨てて令嬢と結婚します」と言った騎士様が、3ヶ月で離婚されて路頭に迷っている
歩人
ファンタジー
薬師のナターリアは婚約者の騎士ルドガーに「地味なお前より伯爵令嬢が
ふさわしい」と捨てられた。泣きはしなかった。ただ、明日から届ける薬が
一人分減るな、と思っただけ。
ルドガーは華やかな伯爵令嬢イレーネと結婚し、騎士団で出世する——はずだった。
しかしイレーネの実家は見栄だけの火の車。持参金は消え、借金取りが押し寄せ、
イレーネ本人にも「稼ぎが少ない」と三行半を突きつけられた。
3ヶ月で全てを失ったルドガーが街角で見たのは、王宮薬師に抜擢された
ナターリアが、騎士団長と笑い合う姿だった。
「なあ、ナターリア……俺が間違っていた」
「ええ、知ってます。でも、もう関係のない話ですね」
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
今度生まれ変わることがあれば・・・全て忘れて幸せになりたい。・・・なんて思うか!!
れもんぴーる
ファンタジー
冤罪をかけられ、家族にも婚約者にも裏切られたリュカ。
父に送り込まれた刺客に殺されてしまうが、なんと自分を陥れた兄と裏切った婚約者の一人息子として生まれ変わってしまう。5歳になり、前世の記憶を取り戻し自暴自棄になるノエルだったが、一人一人に復讐していくことを決めた。
メイドしてはまだまだなメイドちゃんがそんな悲しみを背負ったノエルの心を支えてくれます。
復讐物を書きたかったのですが、生ぬるかったかもしれません。色々突っ込みどころはありますが、おおらかな気持ちで読んでくださると嬉しいです(*´▽`*)
*なろうにも投稿しています
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる