ニッポンイチの魔術高校に入学してリア充ライフを送ろうとしたのにも関わらず、何故か戦記に載ってしまった神話

目途恋利

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エオズ学園 1年R組 入学式編

入学の花 【後編】

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 周りが騒がしくなる。
 そりゃあいい歳こえたおっさんがこんな訳の分からない登場をしたら、当然といえば当然だ。

「……俺の道場に通っていた者は一人。俺が知っている者は三人だな。パッと見た感じ」

 心の声をマイクに溢す。道場に通っていた者、というのは恐らく、いや絶対に俺のことを指している。

「まずは諸君。入学おめでとう!エオズに入学したことは一つのゴールだ。ただ俺のことを知らない奴はこんなチャラチャラしたおっさんがこんな華やかな舞台にいるのか。わからないよな?」

 いや伊予さんのことを知っていてもなんでここにいるのかも分からないんですが。
「そう。全くもってその通りだ。しかし意味不明だよな?だから特別に答えを教えてあげよう。それはだなーー」
 目をゆっくりと閉じて、そして今度は素早く目を開ける。 

「…………それは、この世界だよ」

 質問と答えがイマイチ噛み合っていないそんな答えは沈黙の体感時間を加速させる。

「ピンと来ないか。……要するにこの世界は意味不明なことだらけなんだよ。よく考えてみろ。魔術なんて本来なら存在しない。俺が赤ん坊の時くらいに突如存在した証明できない存在。偽りだらけのものなんだ」

 理解できた青色の顔と理解できない赤色の顔がくっきりと半数ずつに分かれる。

「俺たちが普段使っているツールも、もちろん科学で証明できるものもあれば、証明できないものもある。そう例えばニッポン一の学校の入学式に俺みたいなヤツが来賓代表という形でこの場に立った事とかな」
 綺麗にオチをつけてキメ顔でニヤける。

「そんでここから俺が言いたいことなんだが、そんな意味不明な存在を全力で使いこなせ。証明できないものは大体面白い。それが善か悪かといえばそれは誰にも分からない。証明できないからな」

 その『意味不明な存在』というものにはなにか固形的なものだけなのだろうか。戦争といった概念も含むのか。そこまでは言及しなかった。

「今日はこれを伝えるためにきた。あ、あとここに来た理由は挨拶のためでもある。エオズ学園魔学の臨時講師に今年からなることになってな。もちろん雷鳴堂の師範は続けるけどね。両立というヤツですよ両立!というわけで、よろしくっ!以上!」

「え、あ、はい。ありがとうございました。大きな拍手をお願いします」

時計の針が急に動き出したように拍手がおこる。

伊予さんは、手を軽く振った後、大ジャンプで窓の縁に飛び乗り、そのまま外へと飛び出す。

「………以上をもちまして、2014年度エオズ学園高等部入学式を終了します。一同ご起立ください」

 そして礼、退場とここまで怖いくらいなにもなく、俺は教室に戻った。




 皆席に着席して、教壇の前には原が立つ。

「……さて、入学式が終わった。もうお前たちは立派なエオズ学園生だ」
 緊迫感がある教室、厳つい先生。そして計り知れない能力を秘めた先生。その未知の学園生活は楽しみであると共に少し怖い。だがその緊張も束の間だった。

「……よしエオズ学園生らしい顔つきだ。この階にいる生徒は皆仲間だ。存分にこの生活を楽しむといい」
 それと同時に原は指を鳴らした。すると何故か天井からくす玉が出現した。

「よっし、首席の水野浦!これを開けろ開けろぉ!」
「え?私ですか?」

 俺の隣に座っていた例の首席女子。水野浦と名乗る彼女は首席とは思えない程の天然じみた返事をする。
 すると彼女を知っているであろう窓際に座っている二、三人の男が「水野浦いけぇ」とからかうように声援を送る。俺もそれに乗っかり「やっちゃえ!」と片腕を挙げながら指図する。
 水野浦は「あはは」と言葉をこぼして教壇の前へと立つ。

 彼女はヒョロヒョロと出てるくす玉の紐を引っ張り、中からは勢いよく、小さな色紙を丸めたものが落ちてきた。それと同時に幕も降りてそこには『入学おめでとう!』と文字が書かれていた。
 水野浦は色紙を笑顔で盛大に被り、原も満足そうな顔で水野浦のことを見ていた。



「さて、お前たちには10号館へ行ってもらう。10号館はお前たちの寮になるから、ちゃんと道順とか覚えておけ。よっし、準備して教室から出ろ」

 皆は荷物をまとめて鞄を持ち、教室を出る。
 俺が出ようとした瞬間、原が俺にカードキーを投げる。慌ててキャッチをした後、原を見上げるとぐっ、と右手の親指を立てる。どうやら俺は鍵係になってしまったらしい。

鍵を閉め、R組の列に追いついてから五分程度歩いたところ、レンガ造りの建物で立ち止まり、原は指をビシッと差す。

「……今日からここがお前たちの家だ!」
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