お飾り王妃のはずなのに、黒い魔法を使ったら溺愛されてます

りんりん

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十九、思いがけない再会

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「はん。あれはひどい女だな」

吐き捨てるような声が耳元をかすめる。

「姉の私が頼りないから、すっかり馬鹿にされてしまってるんです。
どうやら姉妹喧嘩にまきこんでしまったようで、申し訳ありません」 

身体を男性の方へ向けると、低く頭を下げる。

「いや。気にするな。
ダリア王女の本性を見れて、かえって良かった」

「それはどういうことですか?」

現在ダリアには、国内外からふるほどの縁談が舞いこんできている。

それ絡みの人なのかしら。

どちらにせよ、初対面なのに立ち入った質問をしてしまった。

気を悪くされたに違いない。

謝ろうとした時だった。

「あの女は私の政略結婚の相手だ」

「政略結婚ですか?」

「そうだ。
私の国には魔法を使える者はいない。
だから、なんとしてでも魔法使いを王妃に迎えたいわけだ。
側近達の話によれば、ダリア王女の魔力はすごいらしいな」

「はい。ダリアは火魔法の一番の使い手と言われています」 

「そうか。そういう女が国にいれば何かと心強いだろうな。
けど、どうも好きになれん。
マーガレット王女の結婚の祝宴で初めてみた時からだ。
かと言って、しょせんは政略結婚。
どんな女でも妻に娶るつもりだったが、さっきここであなたに再会してから、気持ちがすっかり変わってしまった」

男性はそう言うと、私の頭の上にそっと手を置く。

何をされるのだろう。

怯えて身体を固くすると、柔らかい声が頭上から落ちてきた。

「心配するな。
髪についていた葉っぱを取っただけだ」

「ありがとうございます」

彼の行動を怪しんでいることがバレていたようだ。

なんとも気まずい。

少し頬を染めてお礼を言う。

「どういたしまして。
それにしても、まだ私が誰だか思い出してくれないのか?
ローズウッド王女様」

彫刻のような整った顔を、グイと寄せられた。

ダリアのようにイケメン免疫力がないので、思わず余裕のない声をあげてしまう。

「ど、ど、どこかで以前お会いしましたか」 

キラキラと輝く顔は、眩しすぎてなかなか直視できなかった。 

けど両手をギュツと握って、確認してみる。

プラチナに輝く長い髪。

複雑な色を放って輝くエメラルドの瞳。

それは、ずーと心の奥底にしまっていた面影だった。

「ひょっとしたら、ストーン国のレオ王子ですか」

再び出会えた喜びと驚きで、声が裏がえってしまう。
 
「ああそうだ。
去年即位したので、今は王と呼ばれているがな」

レオ王はギュッと口角をあげて、より顔を接近させてくる。

ドキドキドキ。

悪い病気じゃないかしらと疑ってしまうほど、心臓が激しくたかなってきた。

たとえ王になっていても、私にとって彼は永遠の氷の王子なのだ。

「ここであなたに会えたのは、きっと運命だろう。
さあ。今から女王に謁見に行くぞ。
どうせ魔法使いを妻にめとるなら、まだあなたの方がいい」

そう言うとレオ王は、いきなり私を横抱きにして王宮の方へ歩きだしたのだ。

「ちょっと待って下さい。
いきなりそんなことを言われても、困ります」

王の腕の中でもがいた。
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