呪われた城

夢野彩華

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3夜 : それぞれの想い

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ここが呪われた城だと知った6人。
急に怖くなった。
この城…絶対何かがある。
「この城のマップとかないかな」
そう言いながら部屋の中を歩き回る隼人。1人だけ妙に落ち着いている。何でも動揺しない人なんだろうな…


~翔の場合~
そんな絵梨香のことをじっと翔は見ていた。
「怖くない?大丈夫?」
「大丈夫…だよ」
絵梨香は軽く笑ってみせた。
無理した笑顔だとすぐに分かった。
あの頃と変わらないな。
俺は絵梨香をじっと見つめた。
あの頃ー。
それは俺が絵梨香に惹かれた時期。
当時絵梨香はいじめられていた。
でも、どんなにいじめられても前向きで1度も瞳の光が消えたことがなかった。
そんな絵梨香をずっと見てきた。
絵梨香は気づいてないだろうけど、ずっと想ってきた。機会があれば告白したいけどきっと無理だろうな。
そう思いながら俺は絵梨香を見た。


私(絵梨香)は翔に大丈夫だよと心とは違う答え方をしてしまった。きっと翔は気づいているだろうな。翔は誰にでも優しいから心配かける訳にはいかない。私は隼人と同じように部屋の中を探した。
引き出しを開けた時、私は首をかしげた。
何これ…
それはキラキラした宝石がついた冠のようなもの。取り出そうとして冠に触れるときつい電流が走った。
「痛っ」
思わず指を引っ込めた。
「大丈夫?」
翔が慌てて来てくれた。
「うん…。これ触ったら電流が…」
「電流?なんでだろう」
「触っちゃだめってことかな…」
風華が私の隣にきた。
風華だと落ち着くな…
何か手がかりになるかもしれないのに取り出すことが出来ない。隼人はため息をついた。
「取り出すのは無理だからここにあるってことを覚えておくしかないかな。」
「うん。」
私は引き出しをしまった。
その時、瑠美が声をあげた。
「お兄ちゃん、これ…」
持って来たのはマップだった。隼人が受け取りじっと見つめた。
「これ、この城のマップだ。」
「やっぱり。」
「ありがとう。必要だったから良かった」
瑠美は笑った。
微笑ましい関係だなって私は思った。
地図をのぞき込んだ咲は言った。
「広すぎるね、最初の部屋から全然進んでない。」
私は咲を見た。 不意に咲と出会った頃の記憶が蘇ってきた。


私は中学生の頃いじめられていた。靴を隠されてたり、物を捨てられたり。
なんともないって自分に言いきかせていたけど確実に疲れていった。ずっと風華がそばにいてくれたからなんとかなっていた。
翔が私を助けてくれたからいじめは終わった。
そんな時、翔が紹介してくれて咲と出会った。
咲は口下手で愛情表現が苦手な子だったけど、優しくて温かかった。
ずっと風華と咲と3人で過ごすようになった。
この2人は一生ものの宝物だ。
そんなきっかけをくれたのは全部翔だ。
翔はずっと私にとって恩人だった。


地図を見ていた咲が顔を上げた。
「とりあえずヒントになりそうな部屋行ってみるしかないかな」
「うん。この部屋はもう何も無さそう」
私は咲の隣から地図を覗いた。
「ほんと、何で私達こんなとこにいるんだろうね」
咲はそう言ったっきり黙り込んでしまった。


~咲の場合~
私が絵梨香と仲良くなったのは中学生の頃。友達の翔が紹介してくれた。
絵梨香は学校の中で一番美人なんじゃないかと思った。美人でなおかつ目が離せなくなる何かを持っていた。最初はぎこちなかったけどずっと一緒にいるうちに大好きになっていた。絵梨香がいじめられていたことを知ったのはその頃だった。絵梨香は優しすぎるのだ。原因は風華がいじめられていたのを助けたから。人の痛みを自分のことのように感じてしまう子だ。でも……。時々ゾクッとすることがある。絵梨香のあの瞳。自分の悪い部分、卑怯な部分全部見透かしたような瞳。
理由は全然分からない。


私(絵梨香)は、黙り込んでしまった咲を見た。
風華と顔を見合わせた。
風華はふわっと笑った。大丈夫だよって言っているようでほっとした。
風華がいてくれたら何でも出来るような気がした。


私にとって風華は、幼なじみであり親友だ。
小さい頃から姉妹のように共に育ち、ずっと一緒に生きてきた。だから風華がいじめにあっていることを知った時は、本当に腹が立った。
風華のこと何も知らないくせに…
気がつくと風華を庇うようになっていた。
それが原因で、今度は私がいじめられるようになった。
風華はずっとそばにいてくれたから学校を休むこともなかった。


考えこんでいた私ははっと顔を上げた。
こんな時に限って過去を思い出してしまう。
私は部屋を見渡した。
「呪われた城って噂だったけど、思ってたのと違うね。」
「そう?私は想像通りだったな」
と、風華はキョロキョロした。私は少し意地悪な笑みを浮かべた。
「幽霊はいると思ってたんだけどなぁ」
「ゆ、幽霊!?」
風華はぎょっとして後ずさった。
「冗談だよ」
私は慌てて風華の頭を軽く叩いた。
風華は背が私よりも大分小さい。


~風華の場合~
私は絵梨香が小さい頃から大好きだ。
それは今でも全く変わってない。
絵梨香は困っている子を放っておけない子で私がいじめられていた時も迷わす助けてくれた。
それが原因で絵梨香がいじめにあうなんて…
助けてもらっておきながら私は絵梨香に何もしてあげられなかった。
この城、怖いけど…今度こそ絵梨香を守れるようになりたい。
そう思うと、少し勇気が出た。


私(絵梨香)達は、この部屋から出ることにした。
「とりあえず、怪しい部屋は全部見て回ることにしよう。」
隼人は地図を折りたたんでポケットにしまった。私は、冠が入っている引き出しを見た。
何か…引っかかる。 
その時だった、ひとりでに扉が開く音がした。
6人は驚きを隠せず扉を見つめた。
すると、扉の向こうに女の人が立っているのだ。
私は思わず言った。
「人!?」
風華は私にぴったりと寄り添ってきた。
私は黙ったまま風華の手を握った。
幽霊らしき人は、私達の顔をじっとみてから左の方に歩いて行った。隼人が慌てて追いかけたが、そこには相変わらず暗い廊下があるだけだった。


「幽霊…?この城の住人か…?」
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