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第3章 迷宮道中膝栗毛!!

第107話 魔王の遺産

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「何?魔王のダンジョンで何か怪しい動きがあるだと?」


 さっきまでの話では二十年前に魔王は倒され、その分身にあたるデーモン・コアも俺の手で破壊した。その上で、魔王不在のダンジョンに何があるというんだろう?


「まあ、お前らも見たとおり新手のダンジョン荒しが増えてるってのもある。そんな連中が増えたのにも理由があるってことだ。」


 理由?連中の身勝手な行動にキッカケがあるというのだろうか?


「一年くらい前から“魔王の遺産”なんて物が存在するって噂が出回り始めたんだ。」

「魔王の遺産?なんじゃそりゃ?」

「その実態はまだ掴めていない。一説には魔王が手にしていた武器・防具が隠されてるなんて言われてるな。中には魔王の配下を従わせられるアーティファクトが存在する、なんてのもある。」


 魔王の武具とかのお宝があるっていうのか。そりゃ魅力的だろうな。……ただ、魔王関連の物ってことは感染、つまり、自分が魔族になる危険もあるだろうな。


「まあ、それだけならまだいい。それ以外に冒険者が行方不明になる事件も多発している。」

「それって、“いしのなかにいる”的なヤツ?」

「違うな。そのケースも全くないわけじゃないだろうがな。それはあくまで熟練冒険者の中で流行ったスラングだ。やつらの中でも実際にそんな目に遭うことは滅多にない。」


 そうなんか。安心した。てっきり日常的に起こるものかと思ってた。


「だが、近頃は上層階でもテレポーターの罠が見つかったっていう報告が多数上がっている。行方不明の原因はおそらくこれだろう。」


 普通はベテランしか見たことがなかった様なモンが浅いところにも出てくるようになったってのか。そりゃ物騒だ。


「問題はそれが何者かによって意図的にしかけられた可能性が高いってことだ。噂の件も含めてな。」


 誰かがしかけている?なんのために?人さらいをして何をするつもりなんだろう?


「まさか、ドラゴンズヘヴンがらみじゃないよね?」

「いや。おそらく違う。最近見かける様になった、初心者狩り集団はドラゴンズヘヴンの下部組織という噂がある。そいつらですら行方不明被害がでているそうだからな。別の勢力の犯行の可能性が高い。」

「第三勢力ってことか……?」


 ドラゴンズ・ヘヴン、魔王、それ以外にも関わっているヤツがいるのか。それにしても、何のために罠をしかけているのだろうか?不可解だな。


「今回の目的はその正体を確認することにある。ついでに魔王の遺産関連も確認次第、即封印・浄化だな。」


 魔王の遺産に未確認の勢力ともやり合う羽目になるのか。初心者狩りの連中にも出くわすかもしれない。前回以上に危険な冒険になりそうだ。
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