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第3章 迷宮道中膝栗毛!!

第151話 ……倒すことと見つけたり。

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 破壊した鎧の右腕部分は瞬く間に再生した。砂で出来てるんだもんな。オマケに魔法で自作してるんだから、魔力がつきない限りはいくらでも再生可能ってことか。


「ちょっと、それ、反則過ぎない?」

「この鎧の事を申しておるのか?……それだけ拙者がお主の技を警戒しておる、とでも言っておこう。」


 まさか、八刃の本質を見抜いたか?だけど見抜いたところで対処できるものなのか?八刃は当たりさえすれば確実に効果はある。斬ろうと思えば、どんなものでも斬ることができる。必殺剣だ。不可能はない。


「それほど、お主の必殺剣が危険であるということ!」

「当ててみせるさ、絶対に!」


 俺たちは再び戦いに身を投じた。第二ラウンドだ。


「地磊震!」

(ゴギィィィン!)


 侍は力強い踏み込みで重い一撃を入れてきた。さっきの砂のナンチャラとは対照的だ。受け止めることはできたが、手に痺れがきた。


「地磊震、二連!」

(ゴギィィィン!!)


 もう一度同じ技が来た。反撃の隙を与えないほどの速さだった。これも受けることはできたけど、手の痺れがさらに増した。手の感覚が無くなってきた。


「二度あることは三度あるものだ!三連!」

(ゴギィィィン!!!)


 やばい!三撃目がきた!避けることも間に合わず、剣で受けるしかなかった。でも、痺れて握力をなくした腕では受けきれない。思わず剣を落としてしまった。


「命運尽きたな!覚悟!」

「グローイング・フラッシュ!」

「ぐぬっ!」


 意表を突くつもりで、目くらましの魔法を使った。その隙に落とした剣を拾い、俺は攻撃を加えた。手に力が入らないが技は使えるはずだ。


「霽月八刃!」

(ボガァ!!……ザバァァァァ!!)


 侍はとっさに腕で庇い、さっきと同じように斬った部分が砂に変わって崩れた。


「今だ!プロミネンス・バースト!」


 相変わらず、小さな火の玉しか出せなかったが、それで十分だ。火の玉は侍の元に飛んでいき、砂煙に引火して爆発が起きた。


(ドガァァァァン!!!!)

「おわっ!」


 飛び退いて爆発から逃れたので、俺は巻き込まれずに済んだ。思ったより大きな爆発が起きてビックリした。


「鉱山で塵に引火して爆発が起きたって話は本当だったみたいだな。砂で一か八か試してみる価値はあったぜ。」


 昔聞きかじった知識と、敵の意表を突くために練習しておいた魔法が役に立った。とはいえ、アイツがこれで死ぬわけがない。


「ダメ押しの霽月八刃だ!」


 気配は確かにそこにあった。爆発の塵と煙ではっきりとは見えないが、それだけでも居場所は確認できた。


(ザンッ!!)

 斬った。これで終わりだ。……でも、何だろう?さっきと同じ違和感を感じる。


「雷破音速拳!」


 気付くのが遅かった。侍の拳が俺の腹に食い込んでいた。


「粉塵爆発とは面白いことをする。魔法も使うとは。」

「何で…だ?気配は…そ…こに…?」

「地縛傀儡術と残心の法を組み合わせて、拙者が残心の法で気配を残し、砂の鎧を操作して、あの場にいると見せかけたのだ。」


 見事に化かされた。気配を鎧に移して、自分の気配を消していたってのか?妙な違和感の正体はこれだったんだ。


「ちく…しょう……。」

「卑怯とは言うまいな?拙者はどうしても先に行かねばならぬのだ。許せ。」


 その言葉を聞いてから、俺の意識は遠のいていった。
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