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第5章 完成!究極の超次元殺法!!

第256話 ジンなんとかっていう人!

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「ハア、ヒィ!か、買ってきたでヤンスよお!」

「おーっ、以外と早かったね、ワンちゃん!ありがと!」


 ウチらは予選会を見に来た。観戦中に小腹が空きそうな気がしたので、ワンちゃんに名物“コロッセオン”を買ってきてもらった。この辺で激バズり中のクリームたっぷりのスイーツだ!ウチ?ウチはその間場所取りをしていたのだ!こいうのは重要だかんね!


「そろそろ始まるんでヤンスか?」

「うん。そうみたいなんだけど、なんかモメてるらしくって、始まんなくてさあ……。」


 ウチらはいわゆる偵察目的で見に来ている。ホントはエルるんの応援に行きたかったけど、「絶対勝つから他の人を見てきて」とか言い出すもんだから渋々従った。ウチ自身もあのえらっっそうなヤツが気になったから、弱点でも探っておこうと思った次第なのだ。


「あの例のジン・ペイヨンとかいう人が原因なんでヤンスかねえ?」

「違うよ!ジン・ペ・ヨンジュン!そうだよ、あのクソジジイがなんかヘンなこと言い始めたんだよ。」


 ジジイと大会のうんえーの人があーだ、こーだ言ってる。ちょっと遠いから何言ってるのかわかんないけど!


「……だから、実際にやってみせれば文句なかろう。……聞いておるか、他の参加者ども!貴様ら全員まとめて相手をしてやろう!死にたくなくば、徒党を組んででもかかってくるが良い!」


 ジジイはとち狂った事を言い出した。周りの人全部に聞こえるように。その一声でみんなが静まりかえった。そしてすぐに罵声が飛び交った。みんな今にでも飛びかかって行きそうな空気に一変した。


「オイ、ジジイ!調子に乗ってんじゃねえぞ!嘗めた口利いてんじゃねえ!」

「皆さん、落ち着いて下さい!このままでは予選会が開始できません!」


 うんえーの人が必死になって周りの人たちを止めようとしている。それでも、みんなの興奮は収まらない。これは大変なことになりそうだ!


「今さら此奴らを止められるとでも思うか?構わず開始すれば良い。なあに、一瞬で片が付く。そうであれば、貴様らも楽であろうに。」


 ジジイのもとへ雪崩のようになって参加者達が押し寄せる!瞬く間にジジイの姿が見えなくなった!あっという間にジジイは揉みくちゃのボロ雑巾みたいにされるだろうと思った。でも……ウチらはこの後、その想像よりも恐ろしい光景を見る羽目になった……。
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