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第5章 完成!究極の超次元殺法!!
第299話 知っているのか、ジイさん?
しおりを挟む「な、なんの用だ?」
いきなりなんで、ビックリした。しかも、次の対戦相手だから、思わず身構えてしまった。まさか、この場で雌雄を決しようとでも言うのか?
「お主らに頼み事をしたかった故、この場に馳せ参じた。」
た、た、た、頼み事と申すかぁ!やはり、決戦は避けられんでござるかぁ?お命頂戴つかまつりまするのかぁ?
「頼み事とは何だ?」
さっきまで黙りこくっていたファルちゃんが初めて口を開いた。俺とジジイのやりとりの間に多少の飲み食いはしていたようだ。
「あさっての試合方式についてだ。」
「試合方式?そんなの変えてどうすんの?」
そもそも変えるなんてことが許されているのか?もしかして、ジャンケン方式とか、絶対に笑ってはいけないとか、負けたら罰ゲームとか追加するとかじゃないだろうな?
「試合方式は……巌流島形式を採用したいと考えている!」
「ガンリュウジマ?ナニソレ?」
「むう!ガンリュウジマじゃと!?」
またワケのワカラン専門用語が登場したぞ。侍が絡むと効いたことのない専門用語必ず登場する説、を提唱したいぐらいだ。ん?なんかジジイまで反応してるが、どういうことだ。
「知っているのか、ジイさん?」
「知らん!」
「知らないのかよ!」
なんだ、結局知らんのか!知ってそうなリアクションしやがって!紛らわしい。酔っ払いが話に入って来んなよ!
「拙者が説明致そう。巌流島とは我が故郷に置いて、伝説の剣豪二人が決闘を行った地名を指している。それ以来、互いに因縁を持つ強者が雌雄を決する場の代名詞として用いられている。」
「でも、闘技場は島じゃないし、代名詞なら別に特別ルールじゃなくてもよくない?」
変に名前を変えるだけで、特に意味はないのでは?それとも場所変えてやんの?海とかに行ってたら時間かかるじゃん?
「いや、島は闘技場に作る。設備を利用し擬似的に島を設営するのだ。」
「……は!?」
島を作るぅ!?無理だろ!作ってたら、どんだけ時間がかかるんだよ。闘技場をプールにでもするつもりか?工事費用もかかるだろうし、無茶苦茶だ。
「設備って意味なら、出来なくもないぜ。闘技場を海にすることなら可能なはずだ。」
ファルちゃんまでおかしなこと言い始めた!闘技場が海になるわけないじゃん!魔法でも使って、海に見えるようにするとかなら話は別だけど。
「あの闘技場は昔から、様々な催し物が行われていた。ただの闘技だけじゃなく、“模擬海戦”すら行っていたこともあるらしい。その設備を使えば海を作ることは出来る。」
「左様。その設備の噂を聞いた拙者は大会運営に掛け合ったのだ。勇者との準決勝は特殊方式で戦いたいとな。運営側も話題の強者同士の一大決戦となれば、採算は取れると、拙者の要求を飲んだのだ。」
うそーん!マジでやるつもりなんか。冗談で終わると思ってたら、大会側もノリノリってことか。
「続いて試合規定について説明致そう。島での決戦は基本的に一対一とし、相棒は水上の船にて待機を基本とする。」
「タッグ戦なのにわざわざ制限をするのか?」
「船上での待機中は遠隔攻撃での援護も可とする。途中で人員の入れ替えも可能とする。ただ、二人同時に島へ上がる場合は制限を設ける。10秒間のみ可能とし、それ以上は失格となる。規定については以上だ。」
なるほど制限付きで可能にしておくわけだ。一時的に助けに入ったり、連携技を繰り出すことも可能にしているのか。
「ここでもう一度確認させてもらおう。拙者の提案は受け入れるか、否か?」
「いいぜ。その試合方式で戦おう。」
「では、明日運営に伝えるとしよう。」
蓋を開けてみればとんでもない提案だったが、結果的には侍の要求を飲んだ。断る理由もないし、それでいいだろう。侍が変な企みを企てるはずもないので、やりたいようにやらせてやろう。派手にやり合って、会場を大いに沸かせてやろうじゃないか。
「若いの、お主も一杯やらぬか?」
「かたじけない。ご老人、お相手仕る!」
今度は飲み会が始まってしまった。どうやら、侍も酒好きのようだ。
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