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第5章 完成!究極の超次元殺法!!
第320話 決意
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サヨちゃんは俺に「逃げろ」と言った。あくまで大武会は見世物でしかない。逃げても罪になって捕まったり、他に誰かが死ぬわけじゃない。だから、逃げても問題はないだろう。……でも、そんなやり方は俺自身が納得できない。
「逃げるのじゃ。あの男は何としてでも、どんな手段を用いてでも止めてみせよう。場合によっては殺害、封印、追放の手段をとる。あの男はおそらく魔術には疎いはずじゃ。手段を選ばねば如何様にもすることは出来る。そして、エル坊のことも絶対に死守する。」
サヨちゃんらしいな。どんな手段でも使えば、何とかなるかもしれない。でも、俺は嫌だ。
「逃げればいいじゃない! アンタ、ウチに逃げることを奨めたクセに、自分は逃げないってどういうつもり!」
そうだった。俺はミヤコに逃げろと言った。言い回しは違うけど、同じような意味のことを言った。他人に言っといて、自分はやらない。確かにおかしいかもな。
「……でも、ミヤコも結局逃げなかったじゃないか? 逃げずに使命を全うしたじゃないか。」
「そうだけど! あのときはウチが逃げたら、みんな死んでたかもしれないから! 今のアンタは違うじゃん! 逃げないと死んじゃうんだよ! アンタが死んだら、エルるんはどうなんの? ひとりぼっちにするつもり? エルるんを悲しませる奴は絶対に許さないからね!」
「……それでも、俺は逃げない。」
俺は決意を宣言した。もちろん、その場の空気が悪くなったのは言うまでもない。特に女性陣の気分をかなり害してしまったようだ。
「この分からず屋! 大バカゆうしゃ!!」
ミヤコから平手打ちが飛んできた。俺はそれを容赦なく止める。もうすでに、俺の中で決意は決まっていたからだ。俺は逃げない。立ち向かう。誰にも邪魔はさせない。
「ダメだ。こればっかりは絶対にゆずれない。逃げたらダメなんだ。俺が勇者だからとかそういうのは関係ない。俺自身の問題だ。……いや俺とエルちゃんの問題だ。この娘も俺が逃げるなんて思ってない。だから無茶したんだ。俺はその決意に報いたい。誰に何を言われようと、彼女の信じる“俺”でありたんだ。」
「バカ!!」
「大馬鹿者!!」
「バカすぎて何も言えないわ……。呆れた。」
サヨちゃん、ミヤコ、ジュリアからは否定的なリアクションをとられた。でも、全員ではない。レンファさんとメイちゃんは黙ったままだった。
「じゃあ、男の俺がこの場にいても邪魔になるだけだから、出て行くよ。」
その場の空気的に居心地が悪くなったし、そもそも、女性用の医務室だったからだ。そのままいたら、エルちゃんの治療の邪魔をしてしまうだろう。
(……バタン!)
部屋を出た俺はドアのすぐ側に誰かがいることに気付いた。ファルだ。腕を組んで、背を壁に預け、たたずんでいた。
「いたのかよ。」
「悪いか?」
「いや、別に。」
さすがは我が相棒といったところか。中に入ってこないのも、コイツらしさが出ている。
「なあ、さっきの話聞いてたのか?」
「聞きたくなくても、聞こえてくるに決まってんだろ。」
「で、どう思った?」
「お前、最低だな。」
「言ってくれるじゃないか。」
「あくまでレディたちに対してのことだ。なっちゃいないな。」
「どうせ俺は女性のことを何もわかってませんよ。」
「フン。でも、男としてはそれで正解だ。俺でも同じ選択をする。」
「ありがとよ。」
「別にお前に共感したとか、そういうのではないからな。意見が同じだっただけだ。」
「そうか。」
「それよりも、今日も行くんだろ?」
「どこへ?」
「飲み屋にだ。」
「ああ、そうだな。またジジイの世話をしなくちゃいけないからな……。」
俺達はそのまま、いつもの場所へ向かった。
「逃げるのじゃ。あの男は何としてでも、どんな手段を用いてでも止めてみせよう。場合によっては殺害、封印、追放の手段をとる。あの男はおそらく魔術には疎いはずじゃ。手段を選ばねば如何様にもすることは出来る。そして、エル坊のことも絶対に死守する。」
サヨちゃんらしいな。どんな手段でも使えば、何とかなるかもしれない。でも、俺は嫌だ。
「逃げればいいじゃない! アンタ、ウチに逃げることを奨めたクセに、自分は逃げないってどういうつもり!」
そうだった。俺はミヤコに逃げろと言った。言い回しは違うけど、同じような意味のことを言った。他人に言っといて、自分はやらない。確かにおかしいかもな。
「……でも、ミヤコも結局逃げなかったじゃないか? 逃げずに使命を全うしたじゃないか。」
「そうだけど! あのときはウチが逃げたら、みんな死んでたかもしれないから! 今のアンタは違うじゃん! 逃げないと死んじゃうんだよ! アンタが死んだら、エルるんはどうなんの? ひとりぼっちにするつもり? エルるんを悲しませる奴は絶対に許さないからね!」
「……それでも、俺は逃げない。」
俺は決意を宣言した。もちろん、その場の空気が悪くなったのは言うまでもない。特に女性陣の気分をかなり害してしまったようだ。
「この分からず屋! 大バカゆうしゃ!!」
ミヤコから平手打ちが飛んできた。俺はそれを容赦なく止める。もうすでに、俺の中で決意は決まっていたからだ。俺は逃げない。立ち向かう。誰にも邪魔はさせない。
「ダメだ。こればっかりは絶対にゆずれない。逃げたらダメなんだ。俺が勇者だからとかそういうのは関係ない。俺自身の問題だ。……いや俺とエルちゃんの問題だ。この娘も俺が逃げるなんて思ってない。だから無茶したんだ。俺はその決意に報いたい。誰に何を言われようと、彼女の信じる“俺”でありたんだ。」
「バカ!!」
「大馬鹿者!!」
「バカすぎて何も言えないわ……。呆れた。」
サヨちゃん、ミヤコ、ジュリアからは否定的なリアクションをとられた。でも、全員ではない。レンファさんとメイちゃんは黙ったままだった。
「じゃあ、男の俺がこの場にいても邪魔になるだけだから、出て行くよ。」
その場の空気的に居心地が悪くなったし、そもそも、女性用の医務室だったからだ。そのままいたら、エルちゃんの治療の邪魔をしてしまうだろう。
(……バタン!)
部屋を出た俺はドアのすぐ側に誰かがいることに気付いた。ファルだ。腕を組んで、背を壁に預け、たたずんでいた。
「いたのかよ。」
「悪いか?」
「いや、別に。」
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「なあ、さっきの話聞いてたのか?」
「聞きたくなくても、聞こえてくるに決まってんだろ。」
「で、どう思った?」
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「言ってくれるじゃないか。」
「あくまでレディたちに対してのことだ。なっちゃいないな。」
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「フン。でも、男としてはそれで正解だ。俺でも同じ選択をする。」
「ありがとよ。」
「別にお前に共感したとか、そういうのではないからな。意見が同じだっただけだ。」
「そうか。」
「それよりも、今日も行くんだろ?」
「どこへ?」
「飲み屋にだ。」
「ああ、そうだな。またジジイの世話をしなくちゃいけないからな……。」
俺達はそのまま、いつもの場所へ向かった。
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