81 / 331
第2章 はぐれ梁山泊極端派【燃えよ、十字剣!!】
第81話 笑ってはいけない! クルセイダーズ本部24時!!
しおりを挟む「うへあっ!? なんかお花畑が見えるでヤンス!」
ウチは今、ワンちゃんに付き添って医務室にいる。運び出された後、こっそりついていったのだ。その方が中を色々見て回れると思ったからね。追いついて見てみるとワンちゃんはベッドに寝かされ、治療を受けていた。治療といっても痛みを抑える治療術を使ってもらっているだけ。でも、なんか大げさだ。魔力の無駄遣いな感じだ!
「ああ、そうなんだ? それならついでにお花畑の向こう側に行っちゃいなよ!」
「じゃあ、お言葉に甘えて……あっ!? なんか、ひいお爺ちゃんが手招きしてる……って、行っちゃったら、死んでしまうヤンスぅ!!」
ワンちゃんは急にガバッと起き上がった。覚醒した! 死のフチから帰ってきたようだ。でも、股間を押さえながら再びバタンと倒れた。
「危なかった! 危うく死ぬところだったでヤンス!」
「惜しかったなぁ! ちぇっ!」
「あっしを勝手に殺さないでほしいでヤンス!まだ死にたくないヤンス!」
「ええ~っ? 自分で汚らわしいモノを破壊して死ねたんなら本望なんじゃないの?」
「ひどい、ひどいでヤンス! あっしの立派なモノは汚くないでヤンス!」
「でも、あっても使い道ないでしょ?」
「しょぎゃわーーん!?」
ワンちゃんは奇声を上げて、再び気絶した。痛恨の一撃で大ダメージを喰らったようだ。
「あの……治療の邪魔をしないで下さい……。」
「てへっ! ゴメンナサーイ!」
いやー、ついついワンちゃんで遊びたくなったもんだから。おや? 誰か人が入ってきた。
「客人か? 見かけない顔だな?」
えらくゴツいオジサンが入ってきた。デカっ! 医務室の入り口にギリギリ入れるか入れないかぐらいの大きさ! 太ってる? いや、それもあるかもしれないけど、ゴツゴツしてもいるので物凄いマッチョだ! ウチらパーティーの新人ゴリラがガリガリ君に見えるくらいゴツい! 何、この人?
「ど、どうしてこちらに?」
治療術士の人が動揺している。周りの人達も一斉にかしこまっている。中には敬礼をしている人もいる。何事? この人、エラい人とかなんかなのかな?
「ウム、なにか訓練場の辺りで騒がしい気配を感じたのでな。様子を見にいこうと思っている。ここには途中立ち寄っただけだ。ここからも異質な気配を感じたのだ。」
異質な気配って、まさかウチらのことを言ってる? ていうか、異質なんて失礼な表現使うな!
「このお二人は勇者様のお連れだそうです。この犬人《コボルト》の方が訓練場で粗相を起こしたそうなので、治療しております。」
「ほう、これが勇者の連れか? てっきり、旅芸人と娼婦かと思うたわ。」
誰が旅芸人とか娼婦なんだ! ムキー! 失礼なオッサンだなあ!
「ああん? 誰が娼婦だ! このヤロー! ウチはインフルエンサーだ!」
「いんふるえんさー? なんだそれは最近の娼婦は名義を変えたのか?」
「だから! 違うって言ってんだろぉ!」
ムカついたから、足のスネを思いっきり蹴ってやる! どんなにゴツくても、スネは昔から泣き所って言われてるから、痛いはず! 失礼なオッサンは泣いてしまえっ!
「痛ぁあ!!!」
「なんだ? 何かしたか?」
なんで? 蹴っ飛ばしたウチの方が逆に痛いってどういう事? 蹴った感触もおかしい! なんか石みたいに硬かった! 岩か? 体、石で出来てるんじゃないの?
「はわわわわ!!!」
よく見たら、周りの人達がみんな青ざめてる! 石のオッサンを見てビビってるような?
「はっはっはっ! 娘、もしや私を蹴ったのか? たいした根性だな! 気に入った! 娼婦にしておくにはもったいないわ!」
「だから娼婦じゃないって言ってんだろ! クソオヤジ!」
「冗談を言っただけだ。貴様、神聖魔法や魔術の心得があるな? 奇天烈な格好をしてはいるが、それなりのセンスはあるようだ。」
「な、なんでそんなことがわかんの?」
「私ほどの者となれば、気配だけで相手の能力、力量が測れるものなのだ。私相手に素性を隠すことは不可能ということだ。」
見ただけでわかるって、そんなこと出来るなんて聞いたことがない! 当てずっぽうでたまたま当たっただけじゃないの?
「貴様、非凡な才能を持ち合わせているようだな? 我がクルセイダーズに取り立ててやらんでもないぞ。ん?」
「誰がクルセイダーズになんか……。」
何、いきなりウチを勧誘するだなんて! 例え、褒められたとしても絶対にやだかんね! こんな石みたいに硬いオッサンに勧誘されたなんて人に知れたら、一生の恥だ!
「まあ良い。それよりも勇者に会いに行くとするか。」
オッサンは背を向け、医務室を出ていこうとする。その後ろ姿を見たら……ハゲてる! 頭のてっぺん辺りから後頭部にかけた辺りまで、毛がない! ダッサ! ぷぷーっ!!
0
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
盾の間違った使い方
KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。
まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。
マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。
しかし、当たった次の瞬間。
気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。
周囲は白骨死体だらけ。
慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。
仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる