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第2章 はぐれ梁山泊極端派【燃えよ、十字剣!!】
第103話 ワクワクすっぞ!!
しおりを挟む「それから、そこにいるのは勇者か。牛野郎の依代だった奴もいるな。強そうなのばっかりでワクワクしてきたぞ!」
魔王は俺やエルの存在も認識し、睨みを利かせている。今まで会ってきた魔王は邪悪さがにじみ出ていたが、コイツはちょっと違う。雰囲気的には宗家とか総長みたいな武人に近い感じだ。ワクワクするとかいう言動にも嘘は感じられない。本当に嬉しそうな気配を漂わせている。蛇とは違う意味で異質な感じがした。
「ボス、アンタ、コイツら全員を一人で相手しようとしてないか? ズルいぞ! イグレスは俺が倒すんだからな!」
「硬えこと言うなよ! こんな機会滅多にないんだぞ。」
なにやら揉めている。魔王は俺ら全員を相手する気マンマンらしいが、隻眼のデーモンはエドと再戦を望んでいるようだ。それ以前にコイツらは上司と部下の関係のはずだが、友達同士みたいなノリで接している。仲間意識の方が強いのだろうか?
「ボスがその気なら力尽くで奪うまでだ! ヒョアッ!!」
隻眼が何かたぐり寄せるようなジェスチャーをした。挑発のつもりだろうか? それにしては動作が大げさな気がする。加えて、こちらに何かが近づいてくる気配を感じた。
「まさか!?」
その時、後ろを振り向いたら、さっきの黒い光球が凄いスピードで接近してきていた。打ちっぱなしで終わりかと思ったら、動きをコントロール出来るタイプの技なのか! 本当にまさかの展開だった。
「気を付けろ、みんな! 後ろから飛んでくるぞ!」
「ムウ!」
接近してくる光球に対して、みんなで身構える。アレは動きを制御出来るはずだから、ある程度引きつけて軌道を見極める必要がある。下手な避け方をすれば喰らってしまう。待ち構える間に異変が起きた。目の前にあるゲイリーの体がピクリとしたような気がする。
(ギュオオオァァッ!)
光球が後十歩程の距離に迫ったとき、急に軌道が下方向に変わり、ゲイリーの体に向かっていった。
(ボシュン!!)
ゲイリーに当たり光球は消滅した。向かっていったというより、吸い込まれたように見えた。何が起きたんだ? 意味がわからない!
「おいおい、ネグロス、お前ぇ、ノーコンになったんじゃねえか?」
「違うぞ、ボス! 何故かあの死体に吸い込まれちまったんだ!」
操作していた側もそういう認識のようだ。明らかに軌道がおかしかった。何故、こんなことが起きたのか?
「ふふふふ! ふっかぁぁぁぁつ!!」
不気味に笑いながら、ゲイリーはムクリと起き上がった。おかしい。確かにコイツは死んでいたはずだ! 何が起きたんだ!
「何モンだ、テメエは! ゾンビかよ!」
「違うぞ、ネグロス。俺たちゃ、そんな野暮なことはしねえ。あるとしたら、そっちの牛の女が死霊術でも使ったんじゃないか?」
念のため、エルの様子を見てみると、違うと言いたげに、首を横に振っていた。そんな訳がない。エルはむやみに死霊術は使わないしな。とはいえ、魔王側も使っていないと言っている。死霊術じゃなかったら、本当に生き返ったということなのか?
「誰がゾンビだぁ! 俺は死なねえんだよ! ちょっと寝てただけだぁ!」
「まあいいや! ネグロス、責任とって、そのヘンな奴の相手でもしてろ! 俺はコイツらとやるから!」
「ズルいぞ、ボス!」
「ああん? ビビってんのか、片目サルぅ!」
「チクショウ、誰が片目だ! 木偶の坊が調子に乗るなよ!」
なんだかんだで、部下にゲイリーを押しつけようとしている。よっぽど俺やエドと戦いたいらしい。そして、隻眼はゲイリーの挑発に乗り戦いを挑み始めた。
「エル、悪いけど、ゲイリーのヤツを援護してやってくれ。俺はエドと一緒に魔王の相手をする。」
「うん。あまり無理はさせられないしね。」
それぞれ、二対一の構図が出来上がり、最終決戦に向かおうとしていた。出来れば、ロッヒェンの戦いをみまもってやりたかったが、仕方ない。お互いに勝利を信じて戦うしかなさそうだ。
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