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第3章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派【灰と青春と学園モノ!!】
第196話 掃除屋シルヴァン!
しおりを挟む「何者だ!」
突然現れた謎の銀仮面。もしかしてダンジョンのボス……? それとも違反行為をしたエピオンへのお仕置き……? んなワケない! 聞いてないよ、そんなもの!
「聞いたところで私の正体は知るまい。我が名はシルヴァン。人呼んで掃除屋といったところかな。」
エピオンは思い当たらない様子で、ウチらに向けていた敵意を銀仮面に変えた。ウチらだけじゃなくてアイツにとっても、想定外の乱入だったみたい。
「掃除屋だと……?」
掃除屋だなんて、場違い感が凄い。ホントの意味ではないんだろうけど、ある意味、軽い言い方をしてるのが恐い。まるで平気に人を殺してしまいそうな……。
「オレを始末しに来たってことか? ちょっと規則を破っただけで、殺害か? 物騒な所だな、学院ってのは。」
「規則を破っただけ? いやいや、お前はそれ以上に罪深い行為を働いている。我々が感知していないとでも思っていたのか?」
「クッ……!?」
エピオンは悔しそうにうめき声を上げた。ということは何か怪しい事をしていたんだろう。何のためかは知らないけどスパイ行為でもしてたんだろうか?
「だからこその掃除、制裁をするために私はやってきた!」
銀仮面はエピオンに奇妙な武器を向けた。見たこともない道具、例えるなら、矢と弦が付いていないボウガンみたいな感じ? そんな意味不明な物を敵に向けて構えている。
「破壊!!」
(……ボンッ!!!)
一瞬だった。ダンジョンの壁に丸い穴が空いた! 変な武器の直線上にあった壁に穴が空いたんだ! エピオンは事前に危険を察知して避けて、少し離れたところにいた。
「破壊!!」
(ボゴォン!!!!)
銀仮面は再び同じ動作をした。その後の出来事は同じ、壁に穴が空き、エピオンは事前に回避している、この流れが何回か繰り返された。ウチらはただその様子を見ているだけで、何も出来なかった。
「どうした? 手強い相手をご所望だったのだろう? これでは戦いにはならない。お前は逃げ回るのを楽しみたかったのか? 普段のお前がそうであるかのように?」
「黙れ! クソ野郎!」
(ビシュン!!)
エピオンは右手を振って、小手に付いた爪を銀仮面に向けて投げつけた。追従剣を同時に三本も展開し、銀仮面を強襲する! それぞれ三方向、死角を狙って配置された。
「追従剣か! 面白い! 受けて立つ!」
(ビュン!!)
「死ね! 細切れに切り刻んでやる!」
「破壊!! 破壊!! 破壊!!」
追従剣《オービタル・ブレイド》は切り刻むどころか、瞬く間に謎の武器で全部消滅させられてしまった! 信じられないほどの速さだ! 戦士じゃないウチには何が起きたのか瞬時には理解できなかった。理解したときには、全部相殺されている。そんな感じだった。
「そんなバカな!?」
「嘘みたいな本当の話。それは今、お前が見ている現実だ。そして、そのままお前との実力差を示している。」
「このままで終わると思うなよ!」
銀仮面の大胆な挑発にエピオンは怒りを爆発させた! 右手にはあの、黒い炎の様な剣を出現させて、銀仮面へ斬りかかっていった。さっきまでのジュニアやリキシィの動きより速い!多分、あの鎧のせい! 反則だ!
「憎しみの炎で焼き尽くしてやる!」
エピオンは凄い勢いで剣を振る。斜めに、横に、ときには突きを織り交ぜて! それでも、攻撃が全然当たらない。銀仮面はエピオン以上の速さで全部躱していた。
「憎しみに囚われていては為すべき事も為すことは出来ないだろうな?」
「黙れ!!!」
「破壊!!」
「クッ!?」
エピオンの激しい攻撃の合間に銀仮面は反撃を挟んだ。咄嗟の行動にエピオンは危険を感じたのか、回避のついでに間合いを引き離した。
「こうなったらこの技だ! ダークネス・イレイザー!!!」
出た、得意技の闇のシャイニング・イレイザー! 闇の斬撃が銀仮面に向かって飛んでいく!
「フフ、同じさ! どんな技であろうと私には通用しない! 破壊!!」
打ち消した! いとも簡単に! 技を消されてもエピオンはまだ諦めてない。もう一度、同じ構えを取った。
「アクセレイション・オーバーライド! ダークネスイレイザー・ダブルスタック!!!」
二回同じ技を放って、バツの字に交差させた! さっきよりも勢いが凄くなってる!
「どんなに強かろうと我が術式の前には無力! 破壊!!」
(バシュンッ!!!!)
大きな破裂音と共に黒十字の衝撃波はかき消されてしまった! こんなの反則だ! 何しても消されるじゃん!
「悔しかろう。これが攻防一体の最強術式、破壊だ!」
これが魔術だなんて……。どんな物でも壊す魔術! こんなのに勝てるわけがない。
「これに懲りたら、おとなしくしておくことだ。今日は掃除をしにきた訳ではない。警告をしに来た。そのついでに遊んでやったんだ。」
「おとなしくなんかしていられるものか!」
「フフ、威勢の良いことだ。だが、近いうちにイヤでもおとなしくなるだろう。あまりの無力感を感じてな。楽しみにしておくがいいさ。」
銀仮面は意味深な事を言って、この場を立ち去ろうとしていた。でもエピオンは動こうとしなかった。少し苦しそうにしている。急激に力を使いすぎたのかもしれない。
「そうそう、忘れるところだった。お前達は勇者の知り合いだったはずだな? 彼には近いうちに会うことになると伝えておいてくれ。さらばだ!」
銀仮面は最後に高笑いしてから、消え去った。転移魔術で脱出したんだろう。
「クッ! 次は必ず殺す!」
エピオンも悪態をついて、同じく転移魔術で消え去った。なんだったんだろう。あまりにも衝撃的な事が続いたから、ワケわかんなくなっちゃったよ、もう! せっかくの楽しい実習が台無しだ……。
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