225 / 331
第3章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派【灰と青春と学園モノ!!】
第225話 対立と分断
しおりを挟む「せめて理由だけでも聞かせてもらえるか?」
不可解なので聞けるなら聞いておきたい。彼にとってはこんなことをするメリットはないはずなのだが……? 単に魔が差しただけとは思えないのだ。
「ヘッ! いつもヘタレ根性丸出しなヤツがイキってんじゃねえぞ! どうせ浄化委員会とかと取引でもしたんだろ?」
個人的な事情という線も考えられるが、何らかの組織と結託した結果というのもあり得るかもしれない。とはいえ彼に声をかけそうな組織はどこも思いつかない。
「トニヤ君、あなたならよくご存じなんじゃないですか? インスティチュート・ソサエティの存在を。僕が彼らの手先だったとしたら、どうします?」
「あぁ!?」
興奮したトニヤと不敵な笑いのジムは睨み合っている。憎んでいる組織に属してるとわかったなら、トニヤも黙ってはいられないのはわかる。とはいえ、俺が忘れられてしまっている。先にジムへ質問したの俺なんだけど?
「実は僕の体は生身ではありません。ゴーレムと化してしまっているのです。」
「ハッ、とっくに人間辞めてるってか? そりゃ、テメエみたいな雑魚はうってつけの人材だろうさ。入れ替わったところで誰も気付きはしないだろうからな。」
「やめろ、トニヤ。お前、そんなに人を傷付ける事をいう人間だったか? いい加減にしろ!」
「コイツはもう人間じゃねえよ! それに常々、オドオドしてたから、イライラしてたんだ。本音を言って何が悪い!」
「本音って……お前!」
トニヤのような不良気質のあるタイプからしたら、おとなしいジムの様なタイプは理解できないんだろうな。口には出していなかったが、日頃から鬱憤が溜まっていたと見える。もっともそれはトニヤだけではないだろう。おそらくジムも……。
「あなたにはわからないでしょうね。僕の様な人間の気持ちが。」
「わかってたまるかよ! 負け犬根性が染みついたヤツの気持ちなんか知りたくもねえな。知ったら自分にも移っちまうぜ、負け犬根性がよ!」
「コラ、トニヤ、いい加減にしろ!」
トニヤの野次は留まることを知らなかった。こんなんじゃ普通にいじめが成立している。状況が状況とはいえ、許されることじゃない。
「僕は成績が良くなかったので、退学になりそうでした。退学になっても死ぬわけじゃありません。でも、僕にとっては“死”を意味しています。実家に戻ったところで、家を勘当されるのは確実。そのことで絶望した僕は自ら命を絶ちました。」
「ケッ、結局、負け犬じゃねえか。無能だから死んだんだ。真っ当な結果だぜ。」
「やめとけって言ってるだろ!」
ジムはこれまでの経緯を話し始めた。これはトニヤの野次に燃料を投下したのも同然だった。だが俺はその話を聞いて、トニヤとは正反対の感情を抱いていた。他人のようには思えない。まるで自分自身の話を聞いている気分になった。もちろん、似たような経験をしたからなのだが。
「命を絶ったはずが、ある日、意識が戻ったんです。体を見たら人型の人形の様な姿になっていたいました。するとすぐにインスティチュート・ソサエティの人達が現れて説明を受けたのです。『君は選ばれし者だ。失った体を不死身の体に移し替えたのだ。我々と共に陥れた人間達を排除しよう』と告げられました。」
どうやらジムは強行派の洗脳を受けてしまったようだな。同じ全身ゴーレムになっちまったローラとは随分経緯が違う。もしかしたら、トープス先生とローラが特殊な存在なのかもしれないが。
「どこかのセン公と一緒だな。体を与える代わりに協力を強制されるんだ。ゴーレムになっても、結局、犬は犬だな。」
「お前、犬とか言ってるけど、自分もそうなんじゃないのか?」
「なんだと、オラ!」
「今はジムの番だぞ。その話はまた後でじっくりしてやるよ。」
「あぁ!?」
トニヤもおそらく洗脳されている。二人とも大人に利用されているんだ。なんとか解放してやりたい。この状況では骨が折れそうだが。
「とにかく事情は話しました。もう十分でしょう? 早く出て行って下さい。ここから放り出されば、命の保証はないでしょう。自ら手を下したかったですが、身の程は知っているので、魔獣達に任せることにします。」
「そうか。じゃあ、タニシの事は任せる。行くぞ、トニヤ。」
「うるせえ! 言われなくたってわかってる!」
俺たち三人は砦を出て行った。日は暮れてるとはいえ、何が出てくるかわからない。こっから本格的なサバイバルが始まるんだ。でもその前に、トニヤのヤツとも一度話しておきたい。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
器用貧乏な赤魔道士は、パーティーでの役割を果たしてないと言って追い出されるが…彼の真価を見誤ったメンバーは後にお約束の展開を迎える事になる。
アノマロカリス
ファンタジー
【赤魔道士】
それは…なりたい者が限られる不人気No. 1ジョブである。
剣を持って戦えるが、勇者に比べれば役に立たず…
盾を持ってタンクの役割も出来るが、騎士には敵わず…
攻撃魔法を使えるが、黒魔道士には敵わず…
回復魔法を使えるが、白魔道士には敵わず…
弱体魔法や強化魔法に特化していて、魔法発動が他の魔道士に比べて速いが認知されず…
そして何より、他のジョブに比べて成長が遅いという…
これは一般的な【赤魔道士】の特徴だが、冒険者テクトにはそれが当て嵌まらなかった。
剣で攻撃をすれば勇者より強く…
盾を持てばタンクより役に立ち…
攻撃魔法や回復魔法は確かに本職の者に比べれば若干威力は落ちるが…
それを補えるだけの強化魔法や弱体魔法の効果は絶大で、テクトには無詠唱が使用出来ていた。
Aランクパーティーの勇者達は、テクトの恩恵を受けていた筈なのに…
魔物を楽に倒せるのは、自分達の実力だと勘違いをし…
補助魔法を使われて強化されているのにもかかわらず、無詠唱で発動されている為に…
怪我が少ないのも自分達が強いからと勘違いをしていた。
そしてそんな自信過剰な勇者達は、テクトを役立たずと言って追い出すのだが…
テクトは他のパーティーでも、同じ様に追い出された経験があるので…
追放に対しては食い下がる様な真似はしなかった。
そしてテクトが抜けた勇者パーティーは、敗走を余儀無くされて落ち目を見る事になるのだが…
果たして、勇者パーティーはテクトが大きな存在だったという事に気付くのはいつなのだろうか?
9月21日 HOTランキング2位になりました。
皆様、応援有り難う御座います!
同日、夜21時49分…
HOTランキングで1位になりました!
感無量です、皆様有り難う御座います♪
【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
※2026年半ば過ぎ完結予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる