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第3章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派【灰と青春と学園モノ!!】
第231話 私が確かめてやる!!
しおりを挟む「必ず死ぬはずだ! 人間ならば!!」
俺はアンネ先生から執拗な攻撃を受けている。水と地の属性の複合攻撃だ。今いる場所は砂浜だから、完全に地の利を生かした攻撃だ。主に水塊や石つぶてを使っている。
「殺して確かめるとか言ってるけど、水や石ぐらいでは人は殺せないぜ、先生?」
「その割には律儀に避けているではないか! 死なぬはずの物をどうして避ける必要があるのだ?」
「さあ、どうしてかな? 理由は先生の方がよくご存じなんじゃないか?」
「ほざけ!」
ぱっと見、命に別状はない魔法に見える。でも、俺の勘が危険であると告げている。水塊は明らかに顔面を狙ってきている。これは窒息や視界を奪うことを目的にしていると思う。石つぶては、小さく見えてもかなりの速度で打ち出してきている。当たれば刺さったり、体を貫通する可能性はありそう。当たり所が悪ければ十分に致命傷になるだろう。
「続けて多方向から撃てば、無効化の術も使えまい! いつまで私の攻撃を凌げるのかな?」
さっきの七光りマンに比べたら、戦闘慣れしてる人間のやり口だ。魔力の消費も最小限だから持久戦にも向く。最小限の魔法で動きを捕らえ、本命の必殺魔法で仕留める戦法つもりなのだろう。
「目に見えていれば避けられるだろう。だがそれが無数で小さければ、どうなるだろうな?」
周囲の砂が塊になって持ち上がり、宙を漂い始めた。イヤな予感がする。アレが全部襲いかかってくる!
「喰らえ、サンド・ストーム!!」
(ドバババババッ!!!)
「どわっ!?」
砂嵐が一瞬にして、俺を包み込んだ。これじゃ、目も開けられない。峨嶺辿征も使えない。使っても、目の前の砂が消えるわけじゃない。こういう自然現象を利用した魔法には対処しづらいのが峨嶺辿征の弱点だ。相手はそれをわかって攻撃してきている。本気で殺すつもりのようだ。だったら俺も手を抜いてやる必要はないな!
「こういうのはどうよ!」
俺は異空跋渉で砂嵐から逃れ、アンネ先生の背後に回った。先生の尻が見える。今見て思ったが、先生結構スタイルがいいな。でも、エルには負けるかな?
「フフ、黙って砂まみれになっていればいいものを! 貴様の行動が読めないとでも思っているのか!」
横から、海の方向から大きな何かが接近する気配を感じた。振り向くと、水で出来た蛇が大きな口を開いているのが見えた!
「アクア・サーペント! 水属性の中でも高等な魔術だ。コントロールにはセンスと絶大な魔力が必要だが、応用範囲の広い魔術なのだ。これを凌げる人間は学長くらいしか私は知らない。」
水の大蛇から逃れるため、大きく間合いを取ろうとした。しかし、蛇は意外と動きが速く、すぐに追いつき、俺に噛み付こうとしてくる。
「こりゃ参ったな。魔法ってこんなことも出来るのかよ!」
「驚いたか、これが魔術の極意だ。水と地属性は火や雷、氷に比べればエネルギー的には威力は劣る。だが、自然にはありふれているから、自然環境を利用しやすい。」
大きくうねりながら水蛇は攻撃を仕掛けてくる。流れる水のような無駄のない攻撃に俺はだんだんと追い詰められていった。
「こうやって形を為して擬似的な魔法生物を形成することも出来る。しかも術者の魔力供給がある限り相殺、解呪もされにくい。」
霽月八刃を使うか、とも考えたが、一時しのぎにしか使えなさそうだ。おそらく、すぐに復活するだろう。本体である先生とつながった気配として感じるのだ。先生自身もそれらしい発言をしているし。そうなってる以上、本体を斬らないと水蛇は消滅しない。剣があれば水蛇ごと先生を斬れるんだが、手刀ではそこまでの威力は出せない。かといって鯉昇龍門を使おうとしても、蛇に喰われるような形になりそうなので危険だ。
「かみつきだけではなく、こんなことも出来る!」
(ギュルギュルッ!)
水蛇は俺の体に巻き付いた! 俺の動きは完全に封じられた。本当に大蛇が巻き付いているみたいにガチガチに固められてしまっている!
「ハハハ、いい気味だ! 勇者をこんなにも簡単に拘束してしまえるとは! これで証明が出来そうだ。貴様も死ぬということを!」
正真正銘の大ピンチだ! これから抜け出す方法を早く考えないといけない。この間にも、先生は次の魔法の準備を始めているようだ。どうする?
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