【第2部完結】勇者参上!!~究極奥義を取得した俺は来た技全部跳ね返す!究極術式?十字剣?最強魔王?全部まとめてかかってこいや!!~

Bonzaebon

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第3章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派【灰と青春と学園モノ!!】

第243話 エゲつない程の格の違い

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「ファルちゃん!」

「勇者にしては随分と痛々しい姿になってるじゃないか、相棒?」


 魔術師の総本山とも言える魔術学院。そこには一度も姿を現さなかったし、噂とか評判の話も聞いたことはなかった。学長の身内の可能性が高いのに。その張本人がここに現れた。そしてそのとなりには小柄でふくよかな女性…メイちゃんがいた。


「が、学長? 学長が何故ここへ?」


 ラヴァン、いや、引き連れている魔術師連中やアンネ先生、トニヤ、ジム、ここにいる全員が驚愕の表情を浮かべていた。学長の顔はみんな知っているので、驚きを隠せないようだ。


「あのクソ野郎に似てるってか? バカ言え! あんなのと一緒にするな! このローブの剣十字が目に入らねえか! 学長と決別した放蕩息子の噂くらいは聞いたことあるだろ?」

「わ、若様なのですか?」


 魔術師連中が口々に“若様”とつぶやいている。みんなファルの事を知らないわけではないようだが、その姿を見たのは初めての人間が多いようだ。学長自身もノーコメントと言っていたように、ファルちゃんの事自体、この学院ででは禁忌タブー視されていた可能性はある。


「裏切りの後継者が何故ここへ? あなたは学院への立ち入りを禁じられているはず! 学長のご子息とはいえ、あなたも拘束させて頂く!」

「は? 何抜かしてんだ、このタコ! テメエら如きに俺を拘束出来ると思ってんのか?」

「な、何を!」


 ファルを捕らえると宣言するラヴァン。それに真っ向勝負で迎え撃とうとするファル。その間にファルはメイちゃんへと指示を出し、俺の所へと向かわせてきた。


「勇者さん、応急処置をします!」

「すまない。世話をかけるな。」

「いいですよ、これくらい。それよりも無茶しすぎです! これを知ったら、エルちゃんが悲しみますよ!」

「そうだよな。つい、後先考えず、無茶しちまった。」


 メイちゃんは治療魔法を使い始める。とはいえ、手首をそのままつなげようとはせず、止血する事に専念しているようだ。時間の経過と共に出血が収まっていく。本格的な治療は後からということだろう。骨の治療は魔法でも手間がかかると聞いたことがある。それよりも失血で死ぬのを食い止めるのが先決だろうし。


「彼を捕らえろ! 手段は問わない! ただし、命だけは取るなよ!」


 ラヴァンが部下達に命令を下し、自身も魔法の準備をしている。それから次々とファルの動きを制限するような現象が起こり始めた。地面の砂が足に纏わり付いたり、砂浜の向こう側から草が伸びてきて腕に絡みついたりしていた。ファルはその現象に対しても全く動じずに、ふてぶてしい態度を崩さなかった。


「そろいもそろって、この程度かよ? ショックウェーブ!!」

(ブワッ!!!!)


 轟音と共に風が巻き起こり、魔術師の集団はまとめて吹き飛ばされた。敵の魔法で動きを制限され、魔法を使う素振りを全く見せなかったのにこの威力! この一通りの流れだけで、雑魚との格の違いを見せつけている!


「ご不満かな? では、これならどうだ! グラビティ・フィールド!」

(ヴォォォォン!)


 唯一、吹き飛ばされてもすぐに持ち直したラヴァンが魔法を発動させた。鈍い音と共にファルが砂にめり込む! 重力を強くする魔法のようだ。空間を操る魔法を得意とするラヴァン定番の魔法だ。俺も学院内で何度か喰らった事がある。逃げ足を止めるのによく使う手段だ。


「雑魚共をまとめ上げる立場のお前でもこの程度か? 全く学院ってのは、能力主義な割には大したヤツがいないな?」

「私を舐めるな!」

(ヴヴヴォォォォォォン!!!)


 ファルの一言にキレたラヴァンが重力魔法を強めた。よりファルの体が砂にめり込んでいく! 下手したら体が潰れるんじゃないのかというくらいに。


「あぁ!? 舐めてんのはテメエの方だろうが! ダウン・バースト!!」

(……ッ、ドンッッッ!!!!!)

「ぐはっ!?」


 ラヴァンが見えない力で地面に叩きつけられた。同時にラヴァンの足元の砂も巻き上がる! 見たところ、真上から空気の塊を叩きつけたのかもしれない。ファルは風魔法で重力魔法に似た効果を再現したんだろう。これも格の違いを見せつけるために違いない!


「重力制御か? 大げさな名前のクセに大したことねえな? こんなモン、風属性で十分余裕で再現できるぜ。」

「……くうっ!?」


 学院勢の魔術師達がファルたった一人に手も足も出ない状態にされていた。俺は人生で初めて見た魔術師がファルだったから、アイツを基準にしていたんだが、アイツ、ホントとんでもないんだな。一般の魔術師は割と常識的な強さだったのだ。誰でも超人的ってワケじゃないのが良くわかった。


「かくなる上は……、我が最大の秘術でも喰らえ! スター・バースト!!」


 ラヴァンは最大火力の魔法を放った。秘術って割には、頻繁に披露しているような気がするんだが? それはそうと、ファルはコレをどう防ぐのか? それが気になってしょうが無かった。無防備に喰らって消えるなんて思っちゃいない。俺は相棒だから、それが良くわかる!
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