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第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】
第271話 勇者たちの休息
しおりを挟む「なんとか一段落、といったところかな? みんなには落ち着いてもらって、次に備えないとな。」
学院の至る所で巻き起こっていた争いの火種。それは学長の新体制宣言を切っ掛けに起こり、更にタルカスらゴーレム勢力の反乱により混迷の事態に陥った。俺達勇者一行は各地を周りゴーレム達の暴走を収め、それぞれの勢力の一旦の停戦を持ちかけた。ほとんどが納得はいっていないようだったが、どの勢力も怪我人や設備の被害は少なくなかったので、渋々従ってはくれた。
「お疲れ様。あなたはじっくり休んだ方がいいわ。ちょっと無理しすぎなんじゃない?」
「まだ動けるさ! この後の会合もあるしな。そこが正念場だ。その結果次第でタルカスを退けられるかが決まってくるから。」
「ダメよ! 私達に任せてくれればいいから! 体力的に動けるからといっても、あなたは手術が終わったばかりなのよ。今後の体調に障りかねないわ。」
義手の接続手術は問題なく終了した。その後の戦闘でも、問題は起きなかったし、痛み等の不都合も起きていない。これは剣から義手を作ったからというのもあるし、トープス先生やメイちゃんの処置が適切だったからというのもある。
「休む前に、先に飯だな! 朝以降は何も食べてないから、腹が減ってしょうがない。ちょっと炊き出しの所に行ってくる!」
「行ってらっしゃい。」
現在の状況が状況だけに食事なども普段通りにはいかない。俺らのDIY寮は備蓄とか自給自足をやっていたので問題なかったが、学院の施設に頼りっきりだった中級以上の学生や教員などは逆に困窮する事態となった。そこで始まったのが有志による炊き出しである。
「かまへん、かまへん! 好きなように食べてーや! ちょいとカロリー高いけど、こういう時はスタミナ付くモン食べなはれや!」
何と商売一辺倒と思われたサンディーのオッサンが率先して行っていたのである。「こんなんなってもうたら、商売あがったりや! 食材も無駄になるさかい、みんなに好きなだけ喰わせたるわ!」とか文句を言いつつも炊き出しを始めたのだ。
「オウ? 勇者のアンチャンやないか。アンタ、義手の手術したらしいな? ワシんとこの“狂い豚カレー”特別に喰わしたるわ! 術後の養生も様なるはずやで!」
皿に盛られたご飯に焦げ茶色のスープの様な物がかけられた物を手渡された。異様にスパイシーな香りが漂ってくる。俺の故郷でよく見かける漢方薬的な薬膳料理みたいなもんだろうか? 系統は違うだろうが、精力は付くかもしれない。
「あ、ああ。ありがたく頂いとく。ありがとよ!」
これに倣ってミヤコの店も同じ事を始めた。「は? あり得ないんだけど? ブタが慈善事業出来るんだから、ウチらに出来ないはずはない!」とか、同じように文句を言いつつも活動を始めた。ただの炊き出しとはいえ、双方争っている様だ。サービスの質で。普段はライバル同士でもいざとなれば、人のために動く事は辞さないということか。
「なかなかウマいな! 違う系統だけど、辛さの山岳地方の豆腐料理みたいなモンかな? 辛ウマイ!」
故郷の山岳地方にも激辛料理があるのだが、それと似ている。アッチは山椒のシビれるような辛さに対して、コッチの茶色い物は口の中が熱くなるような辛さがある。結構癖になりそうな味だ。
「メ、メダカではないのか! しかも、分身しておる! いつの間にそのような技を身に付けたのだ!」
あれ? 何故か侍ことコタロウさんがそこにいた。エピオンと共に学院に潜入していたんだろうか? タニシとタガメおじさんを見て驚いている。たしか、オガワ家のご先祖様と関係があるんだっけか?
「お侍さん、また間違えてるでヤンス! あっしらはメダカじいちゃんの子孫でヤンス!」
「ほえーっ!? この人がじいちゃんの話に良く出てきたお侍さん? じいちゃんから何百、何千回も聞かされたでガンスよ!」
なるほど。メダカ爺さんはやたらとコタロウの話をしていたのか。年寄りって同じ話を延々とするからなぁ。どこでも同じなんだな。
「よう、手術後ってのに随分と元気そうじゃないか?」
誰かと思ったら相棒だった。銀色カルメンの相手をしてもらっていたはずだが……なんか首を脇に抱えてるんですけど! モシカシテ、コロコロしてしまったのでは!
「な、な、な、生首!?」
「違えよ、馬鹿! これはヤツの兜だ。一応、戦利品ってところだな。これを解析すればあの鎧の事がわかるだろうよ。」
「中身はどうなった! それの方が気になるんだが!」
「逃げられてしまった。侍があと一歩のところまで追い詰めたんだがな。ちなみに素顔はお前の予想通り女だったぜ。」
侍はやっぱ応援に駆けつけてくれたのか! カルメンの正体もリン先輩だったか。ファルと侍の二人がかりで戦っても、逃げて帰れるとはアイツも中々やるな……。俺でも逃げれる気がしない。
「あとな、銀色だけじゃなくて、金色のヤツも現れた。似た鎧だが魔術の反射能力と大型の魔術デバイスで破壊の術式を使ってくるんだ。逃げきりやがったのも、そいつのせいだ。ヤツも要注意だぜ。」
銀色に金色の相方か? 何者だ? 学長の手下か? それとも……島からの生還以来、姿を見せていないアイツが正体か? あんまり考えたくはないが、リン先輩が相方に選びそうなのはヤツしかいない……。
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