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第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第1幕 異界塔士Ro・Ar
第254話 迷宮内で神隠し……?
しおりを挟む「何!? 若い連中がみんないなくなっただと?」
ロアが突然、私達の前から姿を消して間もなく、他のパーティー、サヨさんから緊急連絡があった。同じダンジョン内なので別行動を取っていたとしても、思念波の魔術で他のパーティーや外の作戦本部とも交信することができる。入って早速連絡を取り合うことになるなんて思いもしなかった。
「こっちはロアがいなくなった。これは羊の術中に嵌められたと判断してもよさそうだな。」
『うむ。おそらくは精神的に不安定になっている物を巻き込むトラップに巻き込んだんじゃろうな。』
何かキッカケがあると考えれば、彼が精神的に動揺していたということ。サヨさん達のところも若い子が中心という事はやっぱり、あのやり取りにみんな何かしら想うところがあったんだと考える事ができる。
『若いとはいえ、ゴーレムの小僧は巻き込まれておらん。』
「ああ、そいつの体は特別でな。魔術に対してはかなりの抵抗力を持っているんだ。同じタイプのゴーレムには苦戦させられたからよくわかる。」
『ふむ、そういうことか。他に力士も巻き込まれておらんのじゃから、やはり未熟者を狙って一網打尽にする罠を使ったようじゃ。とは言えな……。』
「ああ、俺もそこは引っかかっている。これは羊の魔王のやり口じゃない。」
二人は揃ってこの事象に疑問を持っているみたいだった。羊の魔王の使う手段として考えるには違和感を感じる、と。確かに、あの魔王は実験で作った合成生物とか人造人間など、彼が得た悪趣味な実験で得られた成果を使ったり、巧みに人をおびき寄せて罠に嵌めるという手段を使うと言われている。今回はそれらとは違う集団を使ってきたということになる。
『まるでこのやり口は……蛇の魔王じゃ。あやつの使う手段に似ておるな。特にエル坊、そなたはあやつの術の被害を受けたこともあろう。あの時と似ているとは思わぬか?』
「確かにそうですね……。私が里帰りした時と同じ……。」
あの日、私は異空間に閉じ込められ、私のトラウマ、記憶を蹂躙され、母の遺産を奪われそうになった。そして、私を人質にロア達を倒そうと画策していた。人の精神世界を利用し、人を弄びながら、屠ろうとするやり方は蛇の魔王の常套手段だ。私の時以外ではミヤコちゃんを騙して、勇者の剣を破壊した事件を引き起こしたとも聞いた。
「ということは、蛇の魔王も今回の件に関わっているのか? だとしたら、非常に厄介な事になる。同時に二人の魔王を相手にすることになるんだからな。」
『うむう、奴ら魔王は結託することは少ないんじゃがなあ。あったとしても下位クラス、特に虎と牛は過去に共闘している事例は古来から多分に見受けられた事実なんじゃが……。』
「確かに八傑集のツートップの二人が共闘なんて、今まで聞いたことのない話だ。両者ともに厄介な奸計を使う者同士の結託は最悪クラスの大事件だぜ。」
彼ら魔王は同じ魔王軍、トップの鼠の魔王をリーダーとして結集してはいるけど、共同作戦を取る事は牛や虎の魔王くらいしか見られない傾向にあった。互いに競い合い、成果を上げることができれば、魔王軍での地位が向上し、特権もランクに応じて与えられる事が知られている。
逆にそうでなければ、ランクも低下し、他の魔王からも顎で扱われるような事になってしまうらしい。それがあるから常に競い合うために結託という選択肢をかなぐり捨てて個々に行動しているのだそう。それでも、人類に被害をもたらしているんだから、彼らの力は圧倒的で恐れられる結果になっているんだと想う。
「これもロアの所にいたスパイから得られた情報が元になっているのかねぇ? 俺らの人員の脆い所を分析して、突いてきているように感じるな。」
「ゲイリー君のことですね……。」
「なんや? アンタらの所にスパイを送り込んできよったんか? 難儀な奴らやな。」
「ええ、彼の弟子入り志願者を装って、人造人間を送りつけてきていたんです。特に彼からは暗黒の力の気配を感じなかったのですが……。」
彼は最初にタニシさんに取り入り、強引な形で押し掛けて来た一般人を装っていた。彼が異様に頑丈で腕力・体力が並外れている所以外は特におかしいところなんてなかった。でも、次第に人間離れした力を見ることが多くなり、絶命したはずがその度に蘇ってくるというような様な事もあったため、存在を疑わざるを得なくなった。でも、まさか、彼が人造生物で魔王の手先だとは思わなかった。
「ゲイリー君は蛇の魔王との戦いの直前に私達の仲間に加わりました。その時点では、特に私達に外を成す行動は取っていなかったのですが……。」
「その時、羊の魔王は様子を見ていただけか……。今回はどういう風の吹き回しか、結託の道を選んだのかもしれないってワケか。一度、ロアの討伐に失敗した蛇の魔王が協力を持ちかけたのかもしれないな。」
「うむ、そう考えておいた方が良かろう。ロアを手強しと見た両者が結託したとしても無理はない。あやつは虎、猿の魔王を倒し、学院の支配者フェルディナンドをも倒したのじゃからな。それに四天王、鶏の魔王まで行動を見せ始めた。手柄を横取りされぬ前に行動を取ったのかもしれぬ。」
分析しただけでも恐ろしい事実が判明した。でも、彼らを罠から救うにはどうすれば……? 私達にだって危険が及ぶかもしれない。二人の魔王が結託してこちらの戦力の分断を図り、それぞれ各個撃破を考えているのかも……?
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