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第二十話 近代国家の制度化:富国強兵と教育
夏の午後。扇風機の風が教室のノートをぱらぱらとめくる。先生は黒板に大きな文字を書き込んだ。
「富国強兵」「殖産興業」「学制」
「前回は明治新政府が成立した経緯を扱いました。今回は、その新政府がどのように『近代国家』を形づくっていったのかを見ていきます」
先生はまず「徴兵令(1873)」の話を切り出した。
「国を守るには軍隊が必要です。江戸時代の武士だけに任せていては外国の軍隊にはとても対抗できません。そこで明治政府は国民皆兵、つまり国民全員が兵士になる義務を持つという発想を導入しました」
そこで、和真がペンを置き、ふと口を開いた。
「先生……ひとつ質問してもいいですか? 国を守るために、軍隊って本当に必要なんでしょうか?」
教室が少しざわついた。悠翔も横目で和真を見ている。
先生は少し頷き、答えた。
「いい質問ですね。当時の人々の間でも同じ疑問がありました。そもそも日本は海に囲まれた島国ですし、戦を避けたいと考える人も多かった。徴兵令が出されたときには『血税一揆』と呼ばれる反対運動も起きています」
悠翔が腕を組んで続ける。
「でも……その制度があったから、後の戦争で国を守れたという見方もできるんですよね?」
「そうです。徴兵制は確かに国を強くしました。ただし同時に、個人が国家に従属するという考え方を強めてもいったのです」
先生は黒板に「学制(1872)」と書き加えた。
「教育制度も同じです。国民を統合し、兵士として命令を理解できる人材を育てる。もちろん読み書きが広まり、社会が進歩したという良い面もありましたが……その背景には『国家のための国民』という意識がありました」
美月が手を挙げた。
「女の子も学校に行けるようになったんですよね。でも実際にはお金がかかって、行けない子も多かったって聞いたことがあります」
「ええ、その通り。理想と現実には差がありました。しかし明治政府は教育こそが国を強くすると考え、推し進めていったのです」
最後に先生は「殖産興業」と書き添えた。鉄道、工場、そしてお雇い外国人。
和真が小声で呟く。
「結局、どれも“強い国をつくるため”なんだな……」
悠翔はノートに「国家のための個人?」と書き残し、窓の外を眺めていた。
「富国強兵」「殖産興業」「学制」
「前回は明治新政府が成立した経緯を扱いました。今回は、その新政府がどのように『近代国家』を形づくっていったのかを見ていきます」
先生はまず「徴兵令(1873)」の話を切り出した。
「国を守るには軍隊が必要です。江戸時代の武士だけに任せていては外国の軍隊にはとても対抗できません。そこで明治政府は国民皆兵、つまり国民全員が兵士になる義務を持つという発想を導入しました」
そこで、和真がペンを置き、ふと口を開いた。
「先生……ひとつ質問してもいいですか? 国を守るために、軍隊って本当に必要なんでしょうか?」
教室が少しざわついた。悠翔も横目で和真を見ている。
先生は少し頷き、答えた。
「いい質問ですね。当時の人々の間でも同じ疑問がありました。そもそも日本は海に囲まれた島国ですし、戦を避けたいと考える人も多かった。徴兵令が出されたときには『血税一揆』と呼ばれる反対運動も起きています」
悠翔が腕を組んで続ける。
「でも……その制度があったから、後の戦争で国を守れたという見方もできるんですよね?」
「そうです。徴兵制は確かに国を強くしました。ただし同時に、個人が国家に従属するという考え方を強めてもいったのです」
先生は黒板に「学制(1872)」と書き加えた。
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「ええ、その通り。理想と現実には差がありました。しかし明治政府は教育こそが国を強くすると考え、推し進めていったのです」
最後に先生は「殖産興業」と書き添えた。鉄道、工場、そしてお雇い外国人。
和真が小声で呟く。
「結局、どれも“強い国をつくるため”なんだな……」
悠翔はノートに「国家のための個人?」と書き残し、窓の外を眺めていた。
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