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第六十七話 「世界に踏み出した日本──第一次世界大戦と二十一か条の要求」
「さて、今日は日本が“世界の舞台”に出ていく話です」
教壇に立った先生が、地球儀を軽く回した。
「前回は国内の産業と民衆の変化を見ましたね。
その裏で、世界でも大きな戦争──第一次世界大戦(1914~1918)が起こっていました」
先生は黒板に年号を書きながら続ける。
「日本はこのとき、日英同盟を理由に“連合国側”として参戦します。
主な目的はドイツが持っていた中国・山東省の権益を奪うこと。
つまり、ヨーロッパの戦争が極東にも波及したんですね」
生徒の一人が手を挙げた。
「先生、それって……結局また“権益争い”ですよね?
戦争って、やっぱり正義とかじゃなくて“利害”なんじゃないですか?」
「いい視点ですね」
先生は頷いた。
「そう、各国とも“自国の利益”を守るために動いた。
日本も例外ではありません。
戦争に勝つと、勢いに乗った日本は1915年、中国に“二十一か条の要求”を突きつけます」
黒板に「二十一か条の要求」と大きく書かれる。
「これは、ドイツが持っていた権益の譲渡に加えて、中国の内政や警察まで日本の影響下に置こうとするもの。
当時の袁世凱(えんせいかい)政権は渋々受け入れましたが、中国国内では“日本への反発”が爆発します」
「え、それって……今の“反日感情”の始まり?」
「そういう見方もできます。
日本は列強に並んだつもりだったけど、アジアの国々からは“帝国主義の仲間入りをした”と思われてしまったんです」
教室が静まり返る。
先生は少し間を置いてから言葉を続けた。
「皮肉なことに、第一次世界大戦の勝者として日本は“国際連盟の常任理事国”になります。
でも同時に、“アジアの盟主”を名乗るようになったことで、欧米にもアジア諸国にも距離を置かれていく……。
この時期から日本の“孤立”が始まっていたんですね」
「つまり、勝っても嫌われたってことですか?」
「そう。勝利の代償は、信頼の喪失でした」
先生はそう言って、黒板にもう一つの言葉を書いた。
「力の誇示は、いつか信頼を削ぐ。」
生徒たちはノートを取りながら、何か腑に落ちない表情をしている。
「でも先生、当時の日本人にしてみれば、“ようやく世界と肩を並べた”っていう誇りもあったんじゃないですか?」
「もちろん、それも正しい。誇りと傲り(おごり)は紙一重なんです。
だからこそ歴史を学ぶんです。“成功”の中にある“落とし穴”を見抜くためにね」
チャイムが鳴る。
先生は黒板を見つめながら、静かにチョークを置いた。
「次は、“その落とし穴”がどんな形で現れるのか──」
教壇に立った先生が、地球儀を軽く回した。
「前回は国内の産業と民衆の変化を見ましたね。
その裏で、世界でも大きな戦争──第一次世界大戦(1914~1918)が起こっていました」
先生は黒板に年号を書きながら続ける。
「日本はこのとき、日英同盟を理由に“連合国側”として参戦します。
主な目的はドイツが持っていた中国・山東省の権益を奪うこと。
つまり、ヨーロッパの戦争が極東にも波及したんですね」
生徒の一人が手を挙げた。
「先生、それって……結局また“権益争い”ですよね?
戦争って、やっぱり正義とかじゃなくて“利害”なんじゃないですか?」
「いい視点ですね」
先生は頷いた。
「そう、各国とも“自国の利益”を守るために動いた。
日本も例外ではありません。
戦争に勝つと、勢いに乗った日本は1915年、中国に“二十一か条の要求”を突きつけます」
黒板に「二十一か条の要求」と大きく書かれる。
「これは、ドイツが持っていた権益の譲渡に加えて、中国の内政や警察まで日本の影響下に置こうとするもの。
当時の袁世凱(えんせいかい)政権は渋々受け入れましたが、中国国内では“日本への反発”が爆発します」
「え、それって……今の“反日感情”の始まり?」
「そういう見方もできます。
日本は列強に並んだつもりだったけど、アジアの国々からは“帝国主義の仲間入りをした”と思われてしまったんです」
教室が静まり返る。
先生は少し間を置いてから言葉を続けた。
「皮肉なことに、第一次世界大戦の勝者として日本は“国際連盟の常任理事国”になります。
でも同時に、“アジアの盟主”を名乗るようになったことで、欧米にもアジア諸国にも距離を置かれていく……。
この時期から日本の“孤立”が始まっていたんですね」
「つまり、勝っても嫌われたってことですか?」
「そう。勝利の代償は、信頼の喪失でした」
先生はそう言って、黒板にもう一つの言葉を書いた。
「力の誇示は、いつか信頼を削ぐ。」
生徒たちはノートを取りながら、何か腑に落ちない表情をしている。
「でも先生、当時の日本人にしてみれば、“ようやく世界と肩を並べた”っていう誇りもあったんじゃないですか?」
「もちろん、それも正しい。誇りと傲り(おごり)は紙一重なんです。
だからこそ歴史を学ぶんです。“成功”の中にある“落とし穴”を見抜くためにね」
チャイムが鳴る。
先生は黒板を見つめながら、静かにチョークを置いた。
「次は、“その落とし穴”がどんな形で現れるのか──」
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