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第六十九話 昭和の幕開け
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教室の窓の外には、淡い冬の日差しが射し込んでいた。
黒板には大きく「昭和の始まり」と書かれている。
先生はチョークを置くと、振り返って生徒たちに言った。
「さて、前回までは大正時代の産業の発展や政党政治の動きについて学びましたね。今日はその続き、いよいよ昭和の幕開けに入ります」
「昭和って、いつからなんでしたっけ?」と、一人の生徒が手を挙げる。
「良い質問です。昭和は1926年、つまり大正15年の12月25日から始まりました。ちょうど大正天皇が崩御され、その翌日から新しい元号が『昭和』となったんです」
「じゃあ、1925年まではまだ大正なんですね」
「そう。つまり1920年代後半というのは、“大正デモクラシーの余韻”と“新しい時代への不安”が交錯していた時期なんです」
先生はスライドを切り替え、当時の新聞記事を映した。
「第一次世界大戦後、日本は世界的な好景気の波に乗って工業が急速に発展しました。いわゆる“日本の産業革命の完成期”です。紡績、製鉄、造船などの重化学工業が一気に伸び、都市には工場が立ち並びました」
「でも、その反面、格差も広がっていきました」
別の生徒がノートを見ながら口にする。
「その通り。農村では不況が続き、都市の物価は上がり、貧富の差が広がっていきました。そして、その不満が大きく表れたのが――1918年の“米騒動”ですね」
教室の空気が少し張りつめる。
「富山県の主婦たちが米価の高騰に抗議して立ち上がり、全国に広がったあの騒動です。やがてこの動きは、政治の在り方にも影響を与えました。1918年に誕生した原敬(はらたかし)の“本格的政党内閣”は、民意を政治に反映させようという新しい時代の象徴でした」
「でも、そんな流れも長くは続かなかったんですよね?」
「そう。昭和に入るころ、日本は再び厳しい現実に直面します。1929年の世界恐慌、金融不安、そして軍部の台頭……。つまり、“昭和の幕開け”は、明るさとともに、不安の影を孕んでいた時代の始まりだったんです」
先生の声が静かに教室に響く。
生徒たちは、それぞれのノートに「昭和=希望と混乱のはじまり」と書き留めていた。
黒板には大きく「昭和の始まり」と書かれている。
先生はチョークを置くと、振り返って生徒たちに言った。
「さて、前回までは大正時代の産業の発展や政党政治の動きについて学びましたね。今日はその続き、いよいよ昭和の幕開けに入ります」
「昭和って、いつからなんでしたっけ?」と、一人の生徒が手を挙げる。
「良い質問です。昭和は1926年、つまり大正15年の12月25日から始まりました。ちょうど大正天皇が崩御され、その翌日から新しい元号が『昭和』となったんです」
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「でも、その反面、格差も広がっていきました」
別の生徒がノートを見ながら口にする。
「その通り。農村では不況が続き、都市の物価は上がり、貧富の差が広がっていきました。そして、その不満が大きく表れたのが――1918年の“米騒動”ですね」
教室の空気が少し張りつめる。
「富山県の主婦たちが米価の高騰に抗議して立ち上がり、全国に広がったあの騒動です。やがてこの動きは、政治の在り方にも影響を与えました。1918年に誕生した原敬(はらたかし)の“本格的政党内閣”は、民意を政治に反映させようという新しい時代の象徴でした」
「でも、そんな流れも長くは続かなかったんですよね?」
「そう。昭和に入るころ、日本は再び厳しい現実に直面します。1929年の世界恐慌、金融不安、そして軍部の台頭……。つまり、“昭和の幕開け”は、明るさとともに、不安の影を孕んでいた時代の始まりだったんです」
先生の声が静かに教室に響く。
生徒たちは、それぞれのノートに「昭和=希望と混乱のはじまり」と書き留めていた。
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