『戦後80年の教室──記憶と対話のディベート』

キユサピ

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第七十二話 「孤立する日本――国際連盟脱退と日中戦争へ」

黒板には、前回の文字が残っていた。

1931年 満州事変
1932年 満州国建国
1933年 国際連盟脱退

先生は静かにチョークを取ると、その間に新しい言葉を書き加えた。

リットン調査団(1932年)

「さて、前回の続きです。
満州事変のあと、日本は“満州国”をつくりましたが、
世界の国々は“それは侵略ではないか”と疑いを持ちました。
そこで国際連盟は、実際に現地を調べるために“リットン調査団”を派遣したんです」



「調査団はイギリスのリットン卿を団長として、各国の代表が参加しました。
彼らは半年以上もかけて中国と満州を回り、日本や現地の人々の話を丁寧に聞きました。
そして出した結論は――『満州国は日本軍の行動によってつくられた国家であり、中国の主権を侵している』というものでした。」

生徒たちの表情が固くなる。

「つまり、国際社会は“日本の主張は認められない”と判断したわけです。
日本は『自衛のためだった』と訴えましたが、理解されませんでした。」



先生は黒板に新しい年号を書いた。

1933年 国際連盟脱退

「1933年、スイス・ジュネーブでの会議。
日本代表の松岡洋右が、こう言って会場を去ります。」

『我々は、正義と名誉を守るために退場する!』

「日本は世界の“平和の舞台”から自ら降りてしまった。
それが、国際社会との決定的な決裂――つまり“孤立”の始まりでした。」



「その後、日本はどうなったのですか?」
生徒の問いに、先生はうなずいた。

「孤立の果てに、日本はさらに『自分たちの道を行く』ようになります。
1937年、盧溝橋事件をきっかけに日中戦争が始まり、
1938年には国家総動員法が制定。
国民も企業も、すべてが“戦争の歯車”になっていきました。」
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