戦国時代に宗教や科学を広めたら、モテウハでした〜俺、ルイス・フロイスなんですけど…

アサシン

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浅井氏の興亡

海賊王に俺は会う

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 永禄12年9月初旬 堺

 俺達は硝石の商談を終えたあと、今井宗久殿の屋敷へと向かった。

 今井宗久殿に頼んでいた人探しの件、探してもらっていた人物が見つかったとの連絡を受けたからだ。

 俺が宗久殿に探すのを依頼していた人物とは林道乾(ピン・イン)

 明代の倭寇の頭目で、後にマレー半島パタニ王国の女王、ラージャビルに召し出されて高官になる中国人である。

 パタニ王国でも、財をなしてイスラム教のモスクを建てて現地のサクセスストーリーとして伝説にのこるのだが…海賊上がりが役人になってどうやって財をなしたかについては謎。

とにかく、今はまだパタニ王国に召し出されておらず、倭寇の取り締まりから逃れるためにマカオに潜伏中であった。

 それを宗久殿が貿易商のつてをたどって探しだし、堺まで呼びよせてきてくれたわけだ。

 さて、商談といこうか。


♠️
 俺達は宗久殿に案内されてある部屋に通された。

 その部屋は宗久殿の屋敷の客間なのだが…外国人との商談に使う部屋のようで赤いカーペットが敷き詰められ、重厚な感じの4人掛けのテーブルと椅子が置かれている。

 そこで宗久殿が椅子をすすめた。向かい側には上質な明服を着たかっぷくのよいダンディな髭のおじさんが鎮座していて、挨拶のために椅子から立ち上がる。

「こんにちは、はじめまして林と申します」(明語。以下全て明語)

「織田家に仕えておりますフロイスと申します。遠路はるばるようこそおいでくださいいました」(明語。以下全て明語)
と俺も応じる。

 お互いに着席し、俺の背後に共である伊右衛門と千代、慶治が立つ。

それから、コトンとワイングラスが3つおかれ、宗久殿がそこにポートワインをそそいでいく。

♠️
 カチンと乾杯してワインで口を潤したあと、林(ピン)殿が口を開く。

「マカオに潜伏中のそれがしに何の用でしたかな?」

「マカオからこの堺までの船旅は大変だったでしょう。実は、林殿を見込んでお願いというか…商談がありまして。それがしが仕えている織田家との商談なのですが」

俺がそういうと宗久殿が助け船をだすように口を開く

「織田家っちゅうのは今、この国で一番勢いのある、これから将来有望な領主様ですわ」(明語。以下全て明語)

「ほう…戦乱つづきのこの国で一番勢いのある領主の部下殿…しかも南蛮人の宣教師どのに商談を持ちかけられるとは…興味深い。伺いましょう。」


「はい」

 さて、どこから話したものか…。
俺は当時の世界情勢を考える。
欲しいのは、インドネシアの良質な石炭と鉄鉱石なのだが…。

まず、懐から石炭を一つだす。美濃で取れたものだ。
そして宗久殿に地球儀を持ってきてもらう。

それから石炭をピン殿にわたす。

「これは?」

「それは石炭。いわゆる燃える石です」

「ほう…燃える石ですか…これが欲しいということですかな…商ったことがありませんが…何にお使いになるので??」

 石炭の用途ね…この時代では鉄を作るのにはおろか、動力としても使われていまい。用途がわからないのも無理はない。
 
「はあ、鉄を作る反射炉を作りたいと考えておりまして、反射炉の熱源としてこれを大量に備蓄しておきたいのです。まぁ、今、提示しているものは品質が悪いので、これより黒くて硬いのが欲しいのですが…黒ければ黒いほど、硬ければ硬いほど良質なのです。あと、鉄のもととなる鉄鉱石も欲しいですね」

 俺が反射炉を作りたいと考えているのは本当だが、実現できるのは当面先になりそうだ。
なぜなら、二基四炉からなる反射炉を一個たてるのに6千両もの金がかかるから。つまり、6億円である。10基立てるとして、その額は60億円。

 この財源には心当たりがあるが、まぁそう簡単に集められる額ではない。反射路を2•3個つくるのに資金がたまるまで5年はかかると見込んでいる。

 しかし、反射炉に火を灯しつづけるのに石炭が大量に必要になることもわかっているため、5年後を見据えて今から石炭を備蓄しておこうというわけだ。

 石炭がなくても木炭で代用できたりもするが…。木をたくさん伐採しないといけないので山の神が怒りそう。

 まあ、それは比喩。環境的に問題がありそうだから検討したものの木炭はあまり使いたくないという結論に達した。


「はぁ…それとそれがしになんの関係が…」

「その良質な石炭をこの国だけでは賄うことが難しいのです。良質な石炭が眠っているのがこことかなんですけど」

 俺は地球儀のある場所を指す。東南アジアの南方にある細長い島。

―現代でいうところのインドネシアだ。

 南蛮貿易の仲介地としても栄えている国。倭寇との繋がりもあるだろう。

「ははぁ。それがしにそこから石炭とやらいう燃える石を仕入れてきて欲しいということですか?そこと商いをしたことは確かにありますが…」

 林殿は首をひねる。


「そのあたりで石炭などという燃える石を扱っておりましたかな?」


「はは…燃える石との認識はあるでしょうけど…そんなに頻繁に使われているものではありませんでしょうな…それに単純にその国と商いの仲介をしていただくためにあなたを堺までお呼びしたわけでもありません」


「…と、いいますと?」


「あなたに訪れていただきたいのは、ここではないということです」
 俺は林殿にインドネシアに行ってもらいたいというわけではないことを伝える。


「あなたに訪れてもらいたいのはここです」

 俺はインドネシアの海を隔てた北上にある半島を指差した。

 タイのあたり。
パタニ王国である。

「はぁ、燃える石が手に入る場所より北の半島へですか…?」

「ええ。ここにあるのはパタニ王国という国なのですが…お家騒動でごたごたしているようですね」

「はぁ」

「それで…あなたには…えーと…その国を…のっとっていただきたいのです」

「…」

 あれ?ノーリアクション??
聞こえなかったかな??

 俺の使命は信長様が本能寺の変で討たれるのを防ぐことと、信長様を世界の覇者にすること。

 今は、朝倉攻めの準備に追われているが、同時に世界戦略も進めておかなくてはならない。
その世界戦略の一端を話しているのだ。大切な話なので、どこかのハーレム物の主人公のようなごときスルースキルを発動してもらっては困るんだけどな…


「は?」

 数瞬固まったあと…やっと声を発するという機能を思い出したかのように林殿は聞き返す。


「は?いや、この半島にある国―パタニ王国をのっとってくださいとお願いしているのですが…」 

「はぁああ?!」
 中国人の元海賊の頭たるダンデイなおじさんはまったく訳がわからないといったさまで絶叫した。
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