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出会い
しおりを挟む「フロルちゃーん」
わたしはフロルちゃん家の前で声を上げた。
「お、ヴァイオレット嬢ちゃん」
花束を抱えた、ジョンさんが足を止めた。
「こんにちは、ジョンさん。綺麗なお花ですね!」
花束は赤、黄色、白と、とてもあざやかな色合いだ。
「結婚式のブーケの依頼が来てな」
「結婚式ですか」
わたしも、将来は貴族と
結婚しないといけないんだろうな。
「そうだよ。嬢ちゃんは可愛いから、もう少し大人になったら、縁談がたくさん来るだろうな」
「えー、まさかぁー」
わたしはアハハと笑う。
ジョンさんもガハハと豪快に笑った。
「フロルなら部屋にいるぞ、嬢ちゃんに会いたがってたから、遊んでやってくれ」
わたしは「はーい」と返事をして二階に上がった。
「フロルちゃん!一緒に遊ぼ!」
扉をノックすると勢いよくフロルちゃんが
飛び出してきた。
「レティちゃーーーーんっ!」
そのままの勢いで抱きついてくる。
「会いたかったよぉ」
キュンッ
可愛いっ!
「わたしも会いたかったよフロルちゃん!」
わたしはこの可愛い小動物を抱きしめる。
「レティちゃん!今日はお外に行かない?」
フロルちゃんがキラキラした瞳で聞いてくる。
「えっ、外?」
『危ないからしばらく外に出てはいけないよ』
お父様の言葉が脳裏をよぎる。
うーん。
チラッとフロルちゃんを見ると
星みたいにキラキラした瞳でこっちを見ていた。
「可愛いっ、決めた!外に行こう!」
フロルちゃんの可愛さに負け、
わたしは速攻で決めた。
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
「どこに行くの、フロルちゃん」
「うふふ、秘密の場所だよ」
秘密の場所?
ここは森の中。
フロルちゃんに案内されるまま、森の奥深くまで
来てしまった。
うぅ、お父様、お母様、ごめんなさいっ!
歩みを進めていると、
ひらけた場所に到着した。
目の前には大きな湖があって、ピンク色の花々が周りを取り囲んでいる。
「うわぁ!綺麗っ!」
思わず大きな声を上げてしまう。
そこだけまるで聖域みたいに光が差していて綺麗。
二人で花冠を作って遊んでいると、
「お前ら誰だ?」
と声がした。
九歳くらいだろうか。
わたしたちより背が高い。
漆黒の髪に紺色の瞳が印象的な
美少年。
「ここは、俺の場所だぞ」
腕を組み、眉を吊り上げる美少年くん。
俺の場所?
「あなたは誰?」
「そっちから名乗るのが先だ。」
上から目線の物言いにムッとする。
「わたしはヴァイオレットよ。こっちはわたしの友人のフロルちゃん」
フロルちゃんがぺこりと礼をする。
「ふん、俺はこのフォルトゥナ王国の王子、カイルだ。庶民が勝手に俺の森に入るなど、言語道断だ!帰れ!」
「何よ、その言い草!」
わたしはムッとなって立ち上がる。
「れ、レティちゃん」
フロルちゃんがふるふると首を振る。
カイルを怖がっているのだろう。
だけどわたしは自称王子のカイルに口を開く。
「さっきから俺の森って言ってるけど、この場所はみんなの森でもあるんだからね!」
「は?みんなの森?ふざけんな、ここは俺の場所なんだよ!」
幼稚園児ですか?と言いたい。
「あーそうですか、一国の王子ともあろうお方が
国民の憩いの場を奪うなんてことがあっていいのでしょうかね?」
負けじと言うと、カイルはうっと怯んだ。
「まったく、困った人だね」
わたしは、はぁっとため息をついた。
「さ、フロルちゃん遊ぼう」
わたしはカイルに背を向けて座る。
「っおい」
カイルが鬼気迫ったような声を出した。
「もうっ、何?」
振り向くと、巨大なクマがわたしを見下ろしていた。
〈オマエノマリョク、ウマソウダナ〉
そして頭の中にそんな声が響く。
「き、きゃぁぁぁぁっ!」
フロルちゃんもクマに気付くと悲鳴を上げた。
大きな爪がわたし目がけて振り下ろされ、
わたしの視界は真っ暗になった。
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