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第7話 許嫁エルフとスローライフ

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 ボコボコにされるテルフォード。
 殴られ蹴られのリンチだ。


「ぐはあああ、やめ、やめろおおおおおおお!! 悪かった!! 僕が悪かった! やめてくれええええええええええ……!!」


 ボロ雑巾のようにズタボロになるテルフォード。
 ついには白目をむいて気絶した。

 村人たちは満足したようで戻っていった。


「……終わったか」
「終わりましたね、エイジさん」
「テルフォードは領地に戻しておくか」
「どうやって戻すんですか?」

 賢者スキルに転移魔法スキルがある。
 俺はそれを習得していた。
 ただ、スキルの使用には対象が動いていないことが前提だった。今の状態なら発動可能だ。

「まあ、見てな。――テレポート!」

 強制テレポートをテルフォードに向けた。
 領地の座標は持っているから、一瞬だ。

 テルフォードの体は消え、領地に転移。これで懲りて戻ってくることはないだろう。


「消えちゃいました……!」
「テレポートさ。これを使えるのはそうはいない」
「さすがエイジさんですっ」


 脅威が去り、村に平和が戻った。
 けど建物に被害が出ている。

 俺の賢者スキルで直していく。
 木材をもらってどんどん直していく。


 やがて元通りに。
 俺は村人たちから絶賛され、村長にも認められた。


「エイジくん、君は素晴らしい。賢者だったとは」
「いえ、村長さん。俺は当然のことをしただけです」
「うむ。そんな君を村に迎えたい。行くあてがないんだろう?」
「いいんですか?」
「ああ、娘のアンジェリカも君が気に入ったようでね。ぜひ頼みたい」
「ありがとうございます。そうさせていただきます」

「じゃあ、さっそく家へ」

「いえ、家は自分で作ります。婚約者のファウスティナと共に住みますから」

「なに!? そのエルフさんは婚約者だったのか!?」


 驚く村長さん。そうだ、ファウスティナのことを話していなかったっけ。


「すみません」
「謝る必要はないさ。ただ、娘がどう思うか……まあいい、これも恋だ」


 村長さんは好きなところに住んで良いと許可を出してくれた。俺は感謝して、ファウスティナを連れて歩きだす。


「行こう、ファウスティナ」
「ありがとうございます、エイジさん」


 その後、俺は村の少し離れた場所に家を作った。
 木造の落ち着いた家だ。
 エルフの家を参考にした。


 婚約破棄され、領地を追放された俺だが、今は幸せだ。この村には感謝しかない。それとファウスティナ。

 彼女は俺のことをずっと想ってくれていた。

 こうして村まで追いかけてくれたし、支えてくれる。

 許嫁エルフ・ファウスティナと共に、これからもスローライフを続けていく。
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