闇の錬金術師と三毛猫 ~全種類のポーションが製造可能になったので猫と共にお店でスローライフします~

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中

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第6話 宮廷錬金術師が現れた

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自室へこもり、ポーションの製造を続けていく。

まずは魔力回復の『ブルーポーション改』から作っていく。

通常、魔力の自然回復には途轍とてつもない時間が掛かる。だけど、ブルーポーションを飲めば中級クラスの魔法を何度か使えるくらいには魔力が回復する。

でも、それも一回飲んで数発が限度。
だからこその“改造ポーション”だ。

ブルーポーション改は、レシピによれば――


【ブルーポーション改】
【効果】
このポーションの重量は非常に軽く、携帯しやすい。また、魔力の回復力も通常の二倍ある。このポーションは三回使用できる。使用後、ポーションは消滅する。


なるほど、レッドポーションの魔力版というわけか。
そもそも、ブルーポーションの相場は5000ベルとかなり高い。並の錬金術師の作るブルーポーションでも3500~4000ベルと少し安い程度。

だが、今の俺は『全種類ポーション製造』スキルによってポーションを製造しまくったおかげで錬金術師のランクが上がっていた。


C級から――なんと『B級』になっていたんだ。


「カイリさん、そのランクって上がると良い事があるんです?」
「良い質問だね、ヴァルハラ。うん、ランクが上昇すると製造コストも安くなるし、ポーションの製造成功率もアップする。それに品質とか回復力もアップするんだよ」

「ほ~、そんな特典があるんですね」

「だから、錬金術師はみんな必死になってランカーになろうとする」
「ランカー?」

「上は最高SSS級まであるんだよ。そこまで到達できる錬金術師は極わずか。それこそ宮廷錬金術師クラスだよ」


噂によれば、SSS級は四人いるかどうからしい。
俺は会ったこともないけど、このアルデバラン王国の城とかにいるんだろうな。


「では、ポーションを沢山作ればレベルアップできるのですね」
「そうだ。俺たち錬金術師は、モンスターを倒して強くなるのではなく、ポーションを作りまくって腕をみがくことによって強くなるんだ」

とはいえ、モンスターを倒して経験値を得るという方法もなくもない。けど、錬金術師は基本的に脆弱ぜいじゃく。ひ弱。端的に雑魚なのだ。

強くなるには、ひたすらポーションを作る方が利口。


「では、さっそく作りますか?」
「うん。材料はブルーハーブだね。あと、基本セット」


毎度おなじみの錬金術師のポーションレシピ、ポーション瓶、すり鉢があればいい。


「でも、ブルーハーブがありませんよ」
「……あ、あああああああ!!」


そうだ、肝心なことを忘れていた。
まだ材料を買っていなかった。


「まさか忘れていたんですか、カイリさん」
「あ、ああ……俺としたことがブルーハーブを忘れてしまうとは! お金はあるし、ちょっと高くつくけど露店で仕入れるか」

「それだと利益が減りませんか」
「まあね。けど、仕方ないかなぁ……もう取りにいく時間もないし」
「明日にして、自分で取りに行くとか」

「少し前にやったことがあるけど、ひとりでハーブの採集は大変だよ」
「そうでしたかぁ、これは余計なことを」
「いや、いいんだ。ともかく、少し露店を見てみよう」
「分かりました!」

ヴァルハラを頭の上に乗せ、俺は家を出た。


* * *


露店街へ向かうと、夜にもかかわらず活気があった。
たくさんの冒険者がアイテムを追い求めている。
そんな中で顔見知りの常連客、ウィルソンが声を掛けてきた。爽やかな好青年だ。

「よう、カイリ。いつもレッドポーション改をありがとう。あれのおかげで、ダンジョンの攻略がはかどってさ~!」
「お役に立てて良かったよ、ウィルソン。ご贔屓ひいきに」
「もちろんさ、カイリの“改造ポーション”は他の錬金術師にはない唯一無二、ユニークポーションだからね」

「そう言ってくれると嬉しいよ。じゃあ、俺は買い物へ……」
「ああ、待ってくれ、カイリ」

呼び止めるウィルソン。
俺は振り向いた。

「どうした?」
「あー…フェンリルのことは聞いたか?」
「ああ……。聞いたよ、解散したってな」
「そうだ。でな、フェンリルが解散してから不穏な動きがある」

「不穏な動き?」

「うん。ギルドマスターのベケットだと思われる人物が何か事件を起こしていると騒動になっていた」

「な、なんだって?」
「事件の内容はまだ分からない。今、現場は衛兵だらけで近づけないんだ」

いったい、何があったんだ。
ベケットのヤツ、まさか誰かに八つ当たりとか?
そんなに切羽詰まっているのか。

「分かった。こっちも気をつけるよ」
「おう。ところで、何を探しているんだ?」
「ブルーハーブだよ。ブルーポーションを作ろうと思ってさ」

「え……ブルーハーブだって?」

 顔つきが変わるウィルソンは、頭を横に振った。

「そうだけど、なにか問題でも?」
「ブルーハーブは、宮廷錬金術師のフォーマルハウト様が全て買い占めていったぞ」

「へ……マジ?」

ていうか、宮廷錬金術師の名前を初めて耳にした。そんな名前だったのか。それに、ここにいたの!?

マジか、マジか……!
会ってみたかったなぁ。


「残念だが、ブルーハーブは探すだけ無駄だと思うぞ」
「うわぁ、ショックだな。自分で集めるしかないか」
「ダンジョンへ行くなら手伝おうか?」
「いいのか、ウィルソン」
「構わないよ。自分は女の子に振られたばかりで孤独ソロだからな……」

ダバーと滝のように涙を流すウィルソンは、まさかの失恋中だった。なんてこった、大丈夫かよ。

「そうだったか。じゃあ、気晴らしにもいいかもね」
「ああ、カイリの手伝いで少しでも彼女を忘れられるといいな……」

 ウィルソンは、はぁ~…と溜息を吐く。
 なんか空気が重いって。
 けど、直ぐに元気な表情を見せて背を向ける。

「じゃあな、ウィルソン」
「おう。また明日な、カイリ!」

 手を振ってウィルソンは去っていく。
 最後まで見守ると、ヴァルハラが頭の上から声を掛けてきた。


「へえ~、カイリさんのお友達ですか!」
「いや、常連客。まあ、仲はいいけどね」
「金髪でカッコイイ人でしたね。身なりもしっかりしていましたし、貴族っぽい人でした」

「どこかの豪商の息子って聞いたよ」
「おぉ! 仲良くなっておいた方がいいじゃありませんか」
「そうなのかなぁ」

「って、カイリさん……まさかお友達とかいないんです!?」

「…………」

「こ、これは失礼を!」


はは……心の中で笑うしかない。
けど今はヴァルハラがいるから寂しくないさ。
そうだ、猫で十分さ!


今日のところは帰宅し、明日の為に備えた。
ウィルソンと仲良くか……きっかけがあればいいけど。
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