39 / 43
第39話 侯爵家の屋敷で一泊
しおりを挟む
辺りはすっかり夜に。
食事に招かれ、俺とヴァルハラは食堂へ。
「ようこそ、カイリ、ヴァルハラ。座ってくれ」
長机の一番端にはエルナトが座っていた。
少し離れた場所にアシャの姿もあった。いつの間に。
指定された場所に座り、俺は感謝を示した。
「食事までありがとう、エルナト」
「これくらいはお安い御用さ。さあ、食べてくれ」
目の前には豪華な料理が立ち並ぶ。
高級ステーキとか魚料理や野菜、普段は口にできないようなものばかりだ。
「カイリさん、このお料理……凄いですよ」
「そら、貴族だからな。てか、ヴァルハラよ、人間の姿でなくていいのか?」
「そうでした!」
ピカッと光るなり、ヴァルハラは猫から人間になった。その光景をエルナトは関心して見ていた。
「その幼女がヴァルハラの人間の姿か」
「……そ、そうですが。わたしに何か?」
困惑するヴァルハラは、エルナトの視線に慌てる。どうやら、俺やウィルソン、グレイス以外の人間には、人見知りが激しいらしいな。
「いや、ジロジロ見て悪かった。それよりも食事にしよう。好きに食べていい」
ナイフとフォークを手に取り、俺は肉を切っていく。
* * *
「――ふぅ、美味かったぁ」
比較的静かな食事が終わり、お腹が満たされた。これほど美味しいものを心行くまで楽しんだのは初めてだ。……これが貴族の食事かぁ。毎日美味いものが食べられて羨ましいな。
こういう生活は憧れる。
俺もいつかどこかに屋敷を建てようかな。
「とても美味しかったですわ、エルナト様」
優雅に、そして静かに食事を進めていたアシャが口を開く。あんまり会話に参加しなかったな。
「それは良かったよ、アシャ。ところで君はこれからどうするつもりだい? ほら、カイリを捕まえる予定じゃなかったっけ」
「……っ! そ、それはそうですけれど……もういいんです」
「どうしてだい?」
「彼は、敵だったわたくしを牢から出してくれた。それが利用する為だとしても……こうして故郷に帰ってこれたのです。感謝しかないですわ」
「なるほど、では敵対関係ではないのだね」
「はい。カイリとは大監獄の件で契約を結びましたから。以降は自由に動きますけれど」
「これからどうするんだい?」
「わたくしは一度、家へ帰ります。お父様も心配なされているでしょうから」
紅茶を楽しむアシャは、俺の方を見ていた。なにか言って欲しいのか。まあ……そうか、ここまで同行してくれたし、礼くらいは言っておこう。
「アシャ、助かったよ。あとは好きにしていい」
「そうさせてもらいますわ」
* * *
食事が終わり、各々部屋へ戻った。
そういえば『大浴場』を好きに使っていいとエルナトが言っていたな。
「ヴァルハラ、俺は風呂へ行く」
「では、わたしも」
「……またかぁ? いいけどさ」
「わたしとカイリさんは一蓮托生ですよぉ」
最近物騒だし、一人残すわけにもいかないか。
ヴァルハラが連れ去られでもしたら……俺はもう立ち直れない。
「じゃあ、行くか。着替えも貸し出してもらったし」
「はい、参りましょー!」
再び部屋を出て『大浴場』を目指す。
メイドのシャロンが一階の西側にあるとか言っていたな。
歩いていくと、見えてきた。
あの扉か。
大きな扉を開け、中へ入ると――。
「「……え」」
俺とエルナトの声が被った。
お互いに見合って――けれど、エルナトは全裸で……って、マジかよ!!
「おやおや、カイリくん。覗きかね」
「こ、これは失礼を!! そんなつもりはなかったんだけど……!!」
「いやぁ、いいさ。カイリくんとヴァルハラもお風呂なんだろ。一緒に入ろう」
「い、一緒に!?」
エルナトは普段は男装っぽいというか、威厳あるけど――脱げば普通に女の子だ。胸も大きいし、真っ白な肌が輝いていた。
「構わないさ。大事な取引相手だからね」
「だ、だけど……」
「実はちょっと話したいこともあったんだ。付き合ってくれ」
「でも!」
「大丈夫。タオルは巻くからさ」
じゃ~んと白いバスタオルを巻くエルナト。それでいいのだろうか。……けど、本人が良いというのだから……付き合うしかないかな。
話しも気になるし。
食事に招かれ、俺とヴァルハラは食堂へ。
「ようこそ、カイリ、ヴァルハラ。座ってくれ」
長机の一番端にはエルナトが座っていた。
少し離れた場所にアシャの姿もあった。いつの間に。
指定された場所に座り、俺は感謝を示した。
「食事までありがとう、エルナト」
「これくらいはお安い御用さ。さあ、食べてくれ」
目の前には豪華な料理が立ち並ぶ。
高級ステーキとか魚料理や野菜、普段は口にできないようなものばかりだ。
「カイリさん、このお料理……凄いですよ」
「そら、貴族だからな。てか、ヴァルハラよ、人間の姿でなくていいのか?」
「そうでした!」
ピカッと光るなり、ヴァルハラは猫から人間になった。その光景をエルナトは関心して見ていた。
「その幼女がヴァルハラの人間の姿か」
「……そ、そうですが。わたしに何か?」
困惑するヴァルハラは、エルナトの視線に慌てる。どうやら、俺やウィルソン、グレイス以外の人間には、人見知りが激しいらしいな。
「いや、ジロジロ見て悪かった。それよりも食事にしよう。好きに食べていい」
ナイフとフォークを手に取り、俺は肉を切っていく。
* * *
「――ふぅ、美味かったぁ」
比較的静かな食事が終わり、お腹が満たされた。これほど美味しいものを心行くまで楽しんだのは初めてだ。……これが貴族の食事かぁ。毎日美味いものが食べられて羨ましいな。
こういう生活は憧れる。
俺もいつかどこかに屋敷を建てようかな。
「とても美味しかったですわ、エルナト様」
優雅に、そして静かに食事を進めていたアシャが口を開く。あんまり会話に参加しなかったな。
「それは良かったよ、アシャ。ところで君はこれからどうするつもりだい? ほら、カイリを捕まえる予定じゃなかったっけ」
「……っ! そ、それはそうですけれど……もういいんです」
「どうしてだい?」
「彼は、敵だったわたくしを牢から出してくれた。それが利用する為だとしても……こうして故郷に帰ってこれたのです。感謝しかないですわ」
「なるほど、では敵対関係ではないのだね」
「はい。カイリとは大監獄の件で契約を結びましたから。以降は自由に動きますけれど」
「これからどうするんだい?」
「わたくしは一度、家へ帰ります。お父様も心配なされているでしょうから」
紅茶を楽しむアシャは、俺の方を見ていた。なにか言って欲しいのか。まあ……そうか、ここまで同行してくれたし、礼くらいは言っておこう。
「アシャ、助かったよ。あとは好きにしていい」
「そうさせてもらいますわ」
* * *
食事が終わり、各々部屋へ戻った。
そういえば『大浴場』を好きに使っていいとエルナトが言っていたな。
「ヴァルハラ、俺は風呂へ行く」
「では、わたしも」
「……またかぁ? いいけどさ」
「わたしとカイリさんは一蓮托生ですよぉ」
最近物騒だし、一人残すわけにもいかないか。
ヴァルハラが連れ去られでもしたら……俺はもう立ち直れない。
「じゃあ、行くか。着替えも貸し出してもらったし」
「はい、参りましょー!」
再び部屋を出て『大浴場』を目指す。
メイドのシャロンが一階の西側にあるとか言っていたな。
歩いていくと、見えてきた。
あの扉か。
大きな扉を開け、中へ入ると――。
「「……え」」
俺とエルナトの声が被った。
お互いに見合って――けれど、エルナトは全裸で……って、マジかよ!!
「おやおや、カイリくん。覗きかね」
「こ、これは失礼を!! そんなつもりはなかったんだけど……!!」
「いやぁ、いいさ。カイリくんとヴァルハラもお風呂なんだろ。一緒に入ろう」
「い、一緒に!?」
エルナトは普段は男装っぽいというか、威厳あるけど――脱げば普通に女の子だ。胸も大きいし、真っ白な肌が輝いていた。
「構わないさ。大事な取引相手だからね」
「だ、だけど……」
「実はちょっと話したいこともあったんだ。付き合ってくれ」
「でも!」
「大丈夫。タオルは巻くからさ」
じゃ~んと白いバスタオルを巻くエルナト。それでいいのだろうか。……けど、本人が良いというのだから……付き合うしかないかな。
話しも気になるし。
11
あなたにおすすめの小説
追放された公爵令息、神竜と共に辺境スローライフを満喫する〜無敵領主のまったり改革記〜
たまごころ
ファンタジー
無実の罪で辺境に追放された公爵令息アレン。
だが、その地では神竜アルディネアが眠っていた。
契約によって最強の力を得た彼は、戦いよりも「穏やかな暮らし」を選ぶ。
農地改革、温泉開発、魔導具づくり──次々と繁栄する辺境領。
そして、かつて彼を貶めた貴族たちが、その繁栄にひれ伏す時が来る。
戦わずとも勝つ、まったりざまぁ無双ファンタジー!
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
ゴミ鑑定だと追放された元研究者、神眼と植物知識で異世界最高の商会を立ち上げます
黒崎隼人
ファンタジー
元植物学の研究者、相川慧(あいかわ けい)が転生して得たのは【素材鑑定】スキル。――しかし、その効果は素材の名前しか分からず「ゴミ鑑定」と蔑まれる日々。所属ギルド「紅蓮の牙」では、ギルドマスターの息子・ダリオに無能と罵られ、ついには濡れ衣を着せられて追放されてしまう。
だが、それは全ての始まりだった! 誰にも理解されなかったゴミスキルは、慧の知識と経験によって【神眼鑑定】へと進化! それは、素材に隠された真の効果や、奇跡の組み合わせ(レシピ)すら見抜く超チートスキルだったのだ!
捨てられていたガラクタ素材から伝説級ポーションを錬金し、瞬く間に大金持ちに! 慕ってくれる仲間と大商会を立ち上げ、追放された男が、今、圧倒的な知識と生産力で成り上がる! 一方、慧を追い出した元ギルドは、偽物の薬草のせいで自滅の道をたどり……?
無能と蔑まれた生産職の、痛快無比なざまぁ&成り上がりファンタジー、ここに開幕!
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる