金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中

文字の大きさ
45 / 62

S級大魔法・ダークサイクロン

再び中立地帯・スコット目指して歩き出す。先の方から馬車が近づいて、僕達の目の前で止まった。いったい、なんだ。首を傾げていると、馬車の中から、貴族が現れた。

 この威厳のあるジェントルマンスーツは、ランカスター帝国の貴族っぽいな。小太りの中年の男は、こちらに近づいてくるとニヤリと笑う。

「小僧、名はなんと?」
「僕? 僕はヘンリーだけど」
「ほう、平民のようだな。まあいい、それより……お前の隣にいる少女。美しいな」

「ヨークか。この子は、僕の仲間だ」

「そうか、お前の仲間か。よし、言い値で買おう。いくらだ?」

「は?」

 この人、いきなりを言うんだ。
 仲間を売れるわけないだろ。
 というか、この貴族は人身売買でもしているのか? つい最近、ようやく奴隷商人を壊滅させたのに。


「100万セントどうだ? 足りなければ300万セント出す」
「いやいや!」
「分かった。500万――いや、1000万セント出そう」

「お金の問題じゃない!」


 叫ぶと、中年貴族は少し驚いていた。けど、それでも諦めなかった。


「1000万セントだぞ!? ああ、分かった。ならばもう3億でもいい! 3億あれば一生遊んで暮らせるぞ。まったく、ここまで出させるとは、お前は運がいいな」


 ……しつこい。
 ヨークも良い顔をしていなかったし、僕の後ろに隠れていた。

「ヘンリーさん、わたくし……売られちゃうんですか?」
「売るわけないだろ。ヨークは、僕の人生を変えてくれた恩人であり、大切な仲間なんだから」

「ヘンリーさん。わたくし……はいっ。信じています」


 もちろんだ。お金の問題じゃない。というか、なんでもお金で買えると思ったら、大間違いだ。貴族はこれだから。


「これ以上は無駄です。僕たちは先を行くので」
「貴様ァ!! 平民の分際で!! もういい、ならばお前を殺して、その美少女を奪ってやる!!」

 いきなり杖を振り回す貴族。
 杖の先から炎の魔法・ファイアーボルトを発動して襲ってきた。……嘘! いきなり! しかも、背後にはヨークもいるんだぞ。

 せめてヨークだけは守ろうと、かばった。

 防御姿勢を取り、物凄い勢いの炎に包まれた。熱い。とんでもなく熱い。このまま焼かれて死ぬのか……?

 いや、そうでもなかった。

 幸い、S級クラスの武具が守ってくれた。魔法耐性が高かったんだ。ラッキー!


「ふぅ、危なかった……って、ヨーク!!」


 よく見ると、ヨークは手に火傷を負ってしまっていた。そんな。守り切れなかったんだ。

「……うぅ」
「大丈夫か、ヨーク!」
「ごめんなさい。わたくし、ヘンリーさんを回復していたので……」


 そっか、ヒールもしてくれていたんだな。だから、僕は傷がひとつもなくて。けれど、ヨークは自分の回復にまで支援魔法を回せなかったんだ。

 あの貴族を許せない。

 僕は怒りに震え、ヤツの方へ向き直った。


「お前、よくもヨークを傷つけたな」
「取引に応じないお前が悪いんだ!!」

「そうか。なら、もう容赦はしない。テイマーとして命じる。スイカ、お前の力を見せてやれ! ダークサイクロン!」

「了解ですっ! あたしもすっごく怒っていますから、本気でいかせてもらいますよぉ!!」

 ドラゴンに変身し、速攻でダークサイクロンを放つスイカ。巨大な黒い渦が飛び出て、貴族と馬車を巻き込んだ。


「黒い渦!? な、なんだ、これは!! うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


 竜巻に飲まれ、貴族はどこかへ吹き飛んで行った。というか、渦が巨大すぎてやばいっ。ごうごうと黒い風を巻いて、どんどん遠くへ行ってしまった。


「スイカ、お前強くなったなあ」
「えへへっ! あたしも日々精進しているんです」
「そうだな、よくやった」

 スイカ(ドラゴンモード)の頭を撫でてやった。これは驚いた。ちょっと前まで、プチスキルだったのに、今は立派なアルティメットスキルだ。S級ランクといっても過言ではないはず。つまりこれは『S級ダークサイクロン』といって間違いないだろう。


「それより、ヘンリーさん。ヨークさんの容体です!」
「そうだった!! ヨーク、ホワイトポーションを飲むんだ」

「……ありがとうございます」

 回復力の高いポーションを飲ませ、治療した。ふぅ、火傷くらいなら回復できたな。危なかった。状態異常によっては死に至るからな。

「良かったよ、ヨーク」
「ヘンリーさんのおかげです! わたくし、嬉しくて嬉しくてっ」

 抱きつかれて、俺はドキドキしまくった。けど、なによりヨークが無事で本当に本当に良かった。ぎゅっと抱きしめた。
感想 9

あなたにおすすめの小説

「女のくせに強すぎて可愛げがない」と言われ婚約破棄された追放聖女は薬師にジョブチェンジします

紅城えりす☆VTuber
恋愛
*毎日投稿・完結保証・ハッピーエンド  どこにでも居る普通の令嬢レージュ。  冷気を放つ魔法を使えば、部屋一帯がや雪山に。  風魔法を使えば、山が吹っ飛び。  水魔法を使えば大洪水。  レージュの正体は無尽蔵の魔力を持つ、チート令嬢であり、力の強さゆえに聖女となったのだ。  聖女として国のために魔力を捧げてきたレージュ。しかし、義妹イゼルマの策略により、国からは追放され、婚約者からは「お前みたいな可愛げがないやつと結婚するつもりはない」と婚約者破棄されてしまう。  一人で泥道を歩くレージュの前に一人の男が現れた。 「その命。要らないなら俺にくれないか?」  彼はダーレン。理不尽な理由で魔界から追放された皇子であった。  もうこれ以上、どんな苦難が訪れようとも私はめげない!  ダーレンの助けもあって、自信を取り戻したレージュは、聖女としての最強魔力を駆使しながら薬師としてのセカンドライフを始める。  レージュの噂は隣国までも伝わり、評判はうなぎ登り。  一方、レージュを追放した帝国は……。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る

神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】 元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。 ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、 理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。 今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。 様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。 カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。 ハーレム要素多め。 ※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。 よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz 他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。 たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。 物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz 今後とも応援よろしくお願い致します。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。