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第三代リヴァーズ伯爵
ヨークを狙っていた不届き者を撃退したところで、僕たちは先を急ぐ。また変なのに絡まれたら大変だ。だけど、旅にトラブルはつきものであるように、またも事件に巻き込まれた。
――それは、中立地帯・スコットに入ってからだった。
ヨークがお腹が減って“美味しいものが食べたい”と言ったので、僕は金貨をあげた。軽い足取りでヨークは、お店へ。直ぐ戻ってくるだろうと視線を外していたのがマズかった。
いつまで経っても戻ってくる気配がなかった。
「遅いですね、ヨークさん」
「そうなんだよな。少し心配だ」
スイカと一緒になって“そわそわ”する。確か、あの少し離れた場所にあるお肉屋さんに行っていたはず。向かって、お店のおっちゃんに事情を聞いてみた。
「銀髪の子を見なかった?」
「ん? 銀髪の子? あぁ、あのとんでもなく可愛い子かい。その子なら、どこかの貴族に連れていかれたぞ」
「は!?」
まさか、貴族って……さっきのアイツじゃないだろうな。クソッ!
「スイカ、君は上空からヨークを探してくれ」
「ラジャ!!」
空高く飛びだっていくスイカ。僕は地上から探す。ヨークのヤツ、いったいどこに!
街中を探したけれど、ヨークの姿はなかった。もしかして、どこかに連れて行かれている? チクショウ、僕が一瞬でも目を離したせいだ。
頭を抱えていると、スイカが戻ってきた。
「ヘンリーさん、見つけましたよ!!」
「おぉ、どこだ!?」
「この先の“大きなお屋敷”です!」
この先?
貴族街があるエリアだ。やっぱり、連れ去られたんだな。走って向かう。
スイカの案内でお屋敷の前に来た。すると、そこには僕よりは年上の青年がヨークを連れ歩いていた。家へ入れる気か!?
「ヨーク!!」
「え……あれ。ヘンリーさん?」
ヨークは気づいて、こちらに駆け寄ってきた。くそう、背の高い柵が邪魔して連れ出せない。
「馬鹿! 心配したんだぞ!!」
「ごめんなさい。突然、貴族の人に話しかけられて……、意識が朦朧として……、体が勝手に動きだして、それで……わたくし」
なぜかヨークは、貴族の方へ行ってしまう。なんだ、何が起こっている? しかも、貴族の男はヨークの手を握り、ベタベタしていた。な、なんで!!
「君がヨーク様の連れか」
「おまえ、何者だ。なんで人様の連れをさらった」
「さあね。ヨーク様がついて来たんだ」
そんな馬鹿な。
「いや、おかしいだろ。それはまるで“魅惑”のスキルの類だ」
ていうか、頭を撫でたり頬を触れたり……されるがままじゃないか。ヨークはきっと何かしらのスキルで操られているんだ。そうじゃなければ“体が勝手に動きだして”なんて言わないはずだ。
「フハハ、そう思うかい?」
「当たり前だ。ヨークは返して貰うぞ」
「落ち着け、少年。俺は第三代リヴァーズ伯爵アンソニー。この中立地帯の賛同者の一人」
アンソニー、男はそう名乗った。
でも伯爵だって?
そうか、おそらくネヴィルの関係者。
「だから、なんだ。関係ないだろ!」
「あるさ。もともとヨーク様と俺には婚約予定があったんだ。でも、行方不明になっていてね。まさか、君が連れ歩いていたとは」
「なんだって!?」
「おや、知らなかったのかい。この中立地帯・スコットは、ヨーク共和国の聖女である彼女を迎える代わりに同盟を組むと約束したんだ」
そんな約束を?
でも、ネヴィルは何も言っていなかった。僕を騙していた? いいや、違う。この男の独断専行とか。そう考えるのが自然か。
「もういい、ヨークは返してもらう。その子がいないと僕は困るんだ」
「やれるものなら、やってみるといい」
そこまで煽ってくるなら、僕は怒った。柵を飛び越えようとすると、ビリビリと電気が走って僕はその場に落ちた。
「……ぐっ! な、なんなんだ、この柵」
「それは不法侵入を防ぐ為の特殊な柵さ。風属性魔法が常に走っている。だから、ビリビリっとくるのさ。今のはあえて弱くしてやったけど、次はもう容赦しない」
そうか、僕が飛び越えるのは無理か。僕はな。
「スイカ、君の飛行でヨークを連れ出すんだ」
「もちろんです! ヨークさんは、あたしにとっては名付け親ですから!」
ドラゴンに変身し、柵を飛び越えるスイカ。あっと言う間にヨークの頭上へ。肩を掴んで持ち上げた。さすが、S級飛行能力!
「――なッ。馬鹿な! エンペラードラゴンの子供だと!! ふざけるな!!」
スイカを追い駆けるアンソニーは、柵を攀じ登ってしまった。そんなことをすれば、どうなるか自分がよく分かっているくせに、でも、ヨークが取り返されるという事態に注意散漫になったんだろうな。
アンソニーは、素手で柵に触れて――ビリビリビリビリっと全身に電気を走らせていた。
「んぎゃあああああああああああ!!」
ひょっとして、コイツはアホなのか?
――それは、中立地帯・スコットに入ってからだった。
ヨークがお腹が減って“美味しいものが食べたい”と言ったので、僕は金貨をあげた。軽い足取りでヨークは、お店へ。直ぐ戻ってくるだろうと視線を外していたのがマズかった。
いつまで経っても戻ってくる気配がなかった。
「遅いですね、ヨークさん」
「そうなんだよな。少し心配だ」
スイカと一緒になって“そわそわ”する。確か、あの少し離れた場所にあるお肉屋さんに行っていたはず。向かって、お店のおっちゃんに事情を聞いてみた。
「銀髪の子を見なかった?」
「ん? 銀髪の子? あぁ、あのとんでもなく可愛い子かい。その子なら、どこかの貴族に連れていかれたぞ」
「は!?」
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「ラジャ!!」
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頭を抱えていると、スイカが戻ってきた。
「ヘンリーさん、見つけましたよ!!」
「おぉ、どこだ!?」
「この先の“大きなお屋敷”です!」
この先?
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「ヨーク!!」
「え……あれ。ヘンリーさん?」
ヨークは気づいて、こちらに駆け寄ってきた。くそう、背の高い柵が邪魔して連れ出せない。
「馬鹿! 心配したんだぞ!!」
「ごめんなさい。突然、貴族の人に話しかけられて……、意識が朦朧として……、体が勝手に動きだして、それで……わたくし」
なぜかヨークは、貴族の方へ行ってしまう。なんだ、何が起こっている? しかも、貴族の男はヨークの手を握り、ベタベタしていた。な、なんで!!
「君がヨーク様の連れか」
「おまえ、何者だ。なんで人様の連れをさらった」
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そんな馬鹿な。
「いや、おかしいだろ。それはまるで“魅惑”のスキルの類だ」
ていうか、頭を撫でたり頬を触れたり……されるがままじゃないか。ヨークはきっと何かしらのスキルで操られているんだ。そうじゃなければ“体が勝手に動きだして”なんて言わないはずだ。
「フハハ、そう思うかい?」
「当たり前だ。ヨークは返して貰うぞ」
「落ち着け、少年。俺は第三代リヴァーズ伯爵アンソニー。この中立地帯の賛同者の一人」
アンソニー、男はそう名乗った。
でも伯爵だって?
そうか、おそらくネヴィルの関係者。
「だから、なんだ。関係ないだろ!」
「あるさ。もともとヨーク様と俺には婚約予定があったんだ。でも、行方不明になっていてね。まさか、君が連れ歩いていたとは」
「なんだって!?」
「おや、知らなかったのかい。この中立地帯・スコットは、ヨーク共和国の聖女である彼女を迎える代わりに同盟を組むと約束したんだ」
そんな約束を?
でも、ネヴィルは何も言っていなかった。僕を騙していた? いいや、違う。この男の独断専行とか。そう考えるのが自然か。
「もういい、ヨークは返してもらう。その子がいないと僕は困るんだ」
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そこまで煽ってくるなら、僕は怒った。柵を飛び越えようとすると、ビリビリと電気が走って僕はその場に落ちた。
「……ぐっ! な、なんなんだ、この柵」
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そうか、僕が飛び越えるのは無理か。僕はな。
「スイカ、君の飛行でヨークを連れ出すんだ」
「もちろんです! ヨークさんは、あたしにとっては名付け親ですから!」
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「――なッ。馬鹿な! エンペラードラゴンの子供だと!! ふざけるな!!」
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